野中正人の名言 一覧

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野中正人のプロフィール

野中正人、のなか・まさと。日本の経営者。ファッションセンターしまむらなどを展開する衣料品販売会社「しまむら」の社長。群馬県出身。中央大学法学部卒業後、しまむらに入社。商品四部長、経理部長、取締役などを経て社長に就任。

しまむらの強みは、極端な話「値札を見ないで買っても、思ったほど高くはない」という環境をつくっていることです。


これまで安定して成長してこられたのは、社長の存在感があまりないからじゃないですか(笑)。存在感に乏しいのが、長生きの秘訣だと思っています。私が何をやったかというとあまりない。各部門の担当役員が、これを改善しましょうと提案してくれます。


欧州を視察して得た知識を、しまむらの商品に落とし込む。売り場をファッショナブルなイメージにする。テレビCMも変えるといった提案。これらはみんな担当役員の発案です。私は提案を聞いて、良いと思えば、「いいんじゃないですか」と言う。すると彼らから、「根回しをお願いします」と頼まれる。私は根回し係のようなものです。担当者が主役になって、社長を好きに使ってもらう方が会社はうまく回ります。


高田馬場へ初めての都市型店舗を出店した際、予想を超える来店がありました。現場ではレジ係のパート社員から、「社長、小型のレジがあれば、あと一台置けます」と言われました。すぐに小型レジ台の開発を指示して、1か月で導入しました。うちの会社は、こうした現場の活力に支えられています。


ブランド化などというと、「しまむらにはらしくない」と思われるかもしれません。もちろんシャネルやグッチのような高級ブランドになろうというわけではありません。私の考えるブランド化とは、「お客様に明確なイメージを持ってもらえる」ということです。たとえば、トヨタ自動車のカローラには、多くの人が「燃費がよくて価格が安い」といったイメージを持っているでしょう。これがブランドです。カローラと聞いて「自動車だよね」という答えが返ってくるようでは駄目です。しまむらと聞いて「衣料品店だよね」という答えが返ってくるようでは駄目なのです。


二年間の減収減益がベクトルを修正するいい機会になりました。


ブランド化において最も大切なのは、お客様にどう見てもらえるか。それには、自分たちの一番の強みを、最もわかりやすい形でお客様に伝える必要があります。だから、私の言葉よりもしまむらの店舗を見てもらうのが一番いい。「結構いい商品を、すごく安く売っているな」と思っていただけるはずです。


店長の約7割はパート出身の主婦です。地域で最も優秀な人材を活用できるように、閉店時間を19時として、主婦でも働きやすい環境を整えてきました。店長の発注権限がないのも、働きやすさにつながっています。店長が負う責任は売上と労務管理のみ。商品発注と在庫のコントロールは、すべて本部で行うため、店長であっても他の社員と一緒に19時15分には店を出られます。


社員にとっていい会社であるために、しまむらは自由と公平を大切にしています。パート社員を含めて約14000人の社員からは、毎年4000件を超える改善提案があります。雇用形態に関わらず、あらゆる社員が自由な発想で提案できる風土があります。


コスト削減の努力を取引先だけに押し付けることは絶対にしません。サプライチェーン全体の中でコストを下げる工夫を相互に出し合ってきたからこそ、他店の半値以下という圧倒的な価格を、継続して提供してこられたのです。


しまむらは時代の変化に対応しながら、成長を続けることができました。しかし、この間、決して特殊なことをやってきたわけではありません。私の入社当時から経営陣が標榜してきたことは、ただひとつ。「社員にとっていい会社にしよう」ということだけでした。社員にとっていい会社なら、それはお店にも表れて、お客様にもいい会社になるでしょう。そうすれば売上があがって、株主にもいい会社になります。こうした極めてシンプルな考え方でやってきました。


資材・機能・品質、それにトレンドの面で十分満足いただけるレベルにあり、そのうえで、「にもかかわらず、圧倒的に安い」という形容詞がつくことこそ、しまむらが目指すべきブランドの中身なのです。


しまむらがブランドになるための絶対的な必要条件とは何か。それは、安さです。つまり「しまむら安心価格」が大前提です。しまむらは20年以上前から、いわゆる消し札(値下げの札)を一切使わずに、「この品質でこの値段だったら、絶対に安いと感じてもらえる」という値付けをしてきました。いくら高品質でも、価格が高ければ、しまむらの存在価値はなくなってしまうでしょう。


2000年以降、トレンドのサイクルが非常に短くなる一方で、しまむらの店舗数は1000点を超えるようになり、2、3か月の遅れでは新商品を投入できなくなりました。こうなると、もはや流行の一番先を走る以外にはありません。情報収集力をつけ、極力アタリハズレのリスクを回避する。これが00年代、最初の10年の方針でした。


90年代に入ると、品質だけでなく流行に乗った商品が求められるようになりました。しかし、トレンドを追い求めると、読みが外れたときのリスクが大きいのです。90年代初めは他の店の店頭で売れている商品を調査して、2、3か月後には店頭に並べるようにしました。流れがゆっくりしていたので、たとえ半歩化一歩遅れることになっても、十分商売になりました。しかし、2000年代に入ると、半歩遅れでは売れなくなってしまいました。


戦後のもののない時代から1980年代までは、商品が豊富に揃っていることに価値がありました。私が入社した当時は、店舗内に商品が邪魔なほど溢れていました。ところが次第に「安いだけ」では通用しなくなりました。品質が伴わなければ、いくら安くても売れないのです。そこで「安くて、品質のいいものがありますよ」が店の基本になりました。


私自身が口下手なので、偉そうなことは言えませんが、しまむらという会社もメディアの露出を控えめにしてきたので、あるいは口下手企業だったと言えるかもしれません。しかし、いまブランド化をテーマに口下手脱却を図っています。


新年会と社員旅行も重要な行事です。新年会・社員旅行には全社員の90%以上が参加します。費用は会社持ちで、参加は任意。主婦業と両立している社員にとっては、気兼ねなく出かけられるいい機会になっていると思います。ただし、いずれも食事がまずいと参加者が減ります。女性の目はシビアです。総務部は社員の心をつかもうと、毎回必死になって企画を練っています。


しまむらの経営理念には、「人間尊重の経営」という言葉が入っています。お取引先にも、自社の社員にも安心して働き続けてもらうためには、やはり私たち一人一人がきちんと仕事ができることが重要です。それなくして、人間を尊重することは不可能なのです。あなたはこの仕事には向いていないから、次はこっちの仕事をやってみましょうと、こうしたジョブローテーションを頻繁に繰り返しても会社を辞める人がほとんどいないのは、適材適所の徹底追究が企業文化としてしっかり定着しているからだと思います。


人材育成は、基本的にはいろいろな仕事を経験してもらいながら適性を見ていきます。いろいろなことを経験させてみないと適正なんてわかりませんから。だいたい、2年から3年でジョブローテーションをしていっています。


東日本大震災のとき、多くの店舗が本社の指示を待たずに独自に営業を再開していました。なぜなら、近所のお客様から「お店を開けて欲しい」という要望がたくさん寄せられたからです。社員も全員揃ってないし、電気が来てないからレシートも出せないけれど、手書きの領収書なら出せる。すべて事後報告でしたが、各店舗の判断で次々と営業を再開していったのです。「なんであそこまでしてお店を開けようとしたの?」と社員たちに聞いてみたところ、「地域のお客様に期待されているのがわかったから」という答えが返ってきました。社員は震災を通して地域に密着したサービスを真面目に行うことの意味を肌で感じたのではないかと思います。そういう会社の一員であることは、やはりプライドや働きがいにつながるのではないでしょうか。


面白いことに、「社員にとっていい会社にしましょう」と言い続けていると、それを前提にしてモノを考えるようになります。責任を負わされるのを恐れるより、むしろ自分たちの方から積極的にやっていこうという気持ちが強くなるのです。


もちろん仕事ですから当事者の責任はゼロというわけにはいきません。しかし、失敗をしたらその責任を追及するというカルチャーもしまむらにはありません。


社員の適性を見極めるのは、なるべく早い方がいいです。のちのち部長職に就いてもらうような人は、場合によっては30代から部長候補として見ています。


有名大学を出た人でも、たくさんの資格を持っている人でも、どの仕事を任せたら成果を出せるのかは、いろいろやらせてみなければわかりません。バイヤーとしてとても優秀な人が開発部隊に異動になって新規出店地の契約交渉の担当になったら全然契約が取れないというケースもあるし、前の部署ではパッとしなかった人が開発部隊に入った途端どんどん新規出店の契約をまとめてしまうというようなこともよくあるのです。だからこそ、いろいろな職場を経験してもらうことが大切なのです。


手前味噌になりますが、「しまむらで働いていてよかった」という社員の声をよく聞きます。しまむらは、いってみれば「正直な会社」です。社員の誤解を招くようなことはあまり言わないし、若いときからかなり大きな責任と権限を持たされます。社歴がそれほど長くない人にも、店長を任せたりします。


当社は基本は終身雇用です。とくに、優秀な人には長く働いてもらいたいと考えています。パートさんでも優秀な方には、どんどん大きな仕事を任せます。いま、パートさんから店長になって仕事を継続している方が1000人以上います。店長の実に70%がパートさん出身です。


当社では同期の間で給料に大きな差をつけることはしていません。仕事ができる人は、ちょっと損をした気分になるかもしれません。しかし、長い目で見れば、優秀な人にはそれなりのポジションが巡ってきますし、上位職に就けば手当てがついて収入が増えますから、それほど大きな不満は出ません。


当社では部下が全員年上なんてこともザラにありますし、「ちょっと部長から降りてもらいますよ」などという降格人事を発令することもよくあります。降格されて会社を辞めてしまう人もいませんし、次に与えられたポジションで成果を出して部長に返り咲くといったことも日常茶飯事です。


これは先代の藤原(秀次郎社長)がよく言っていたことですが、会社を家族になぞらえてみてください。お父さんとお母さんがいて、双子が生まれたとしましょう。その双子が会社の同期生だと思ってください。双子のうち一人は成績がすごくいい。もう一人はいまひとつだとします。もしも両親がお小遣いに大きく差をつけて、成績のいい子だけにたくさんあげたらどうでしょう。きっと、もう一人の子はグレてしまいます。ですから「しまむら」は、成績がよくても悪くても、給与にあまり大きな差をつけないのです。もちろん、100点を取ったらご褒美はもらえます。でも、同期のトップとビリで、せいぜい賞与が10%違う程度にしています。


同期の間で給与に大きな差をつけないという意味では年功序列的ですが、一方で年齢によってポジションを決めることはしていません。会社の中のポジションは、あくまで能力本位で決めています。この点は非常に徹底しています。言い換えれば、徹底して適材適所を図っているのです。


給与に極端な差をつけてそれをインセンティブにするのではなく、納得感がある範囲の差をつければいいじゃないかと考えています。少しでも差があれば、もらえなかった人は頑張ろうと思うはずです。そしてできる人はできない人を助けてあげればいいのです。そうすれば、できる人の株が上がって、カッコいい人になれるじゃないですか。社内からカッコイイと思われることは、生きがいになっていくと思います。


お客様から当てにされるお店になりたい。新しいお洋服を買いたいとき、「しまむらに行けばあるんじゃないか?」と思っていただけるようになりたい。


お客様の期待に応えるには、商品を安く調達することがひとつ。もうひとつは、利幅が小さくても儲けが出る運営をしていくことです。要するに「低価格での調達と、ローコストの運営」ですね。このふたつを徹底して追求していけば、自ずと「お客様の期待を少しだけ超える」商売ができます。そして、こうした経営をずっと継続してきたことが、大きく落ち込まずに済んだ原因ではないでしょうか。


一度決めたら徹底的にやります。例外は一切ありません。


しまむらの強みは、ひとことで言うと「やることが徹底している」という点ではないでしょうか。アパレル業界は返品条件付きの取引が常識ですが、しまむらは完全買い取りです。それもある日、「今日から取引先への返品禁止」と決めたらそれを徹底的に守るのです。取引先への返品禁止を本気でやっている小売業なんて、うちぐらいのものだと思います。


重要なのは定点を継続して見続けることです。一回だけ見て「いまはこれが流行っている」と言い当てるのは誰にでもできます。継続的に観察し続けることによって世界のトレンドがある程度見えてきます。世界の市場から集めてきた情報に日本国内の情報、新宿や渋谷で集めた情報を重ね合わせて、それを次の商談に活かしていくわけです。


常にお客様の期待のちょっと上へ行かなくてはなりません。しまむらは「えっ、こんなに高いの?」と思われては絶対に駄目です。「えっ、こんなに安いの?これならまた買えるわ」と思われれば合格です。ちょっとしたサプライズが絶対に必要なのが、しまむらなのです。


買い物が楽しいと思っていただけるお店になる。それがしまむらの目指すブランド化です。


現代のファッションは「世界同時ファッション」です。世界各国のデザイナーが世界の市場を見てデザインしているので、最終的には同じトレンドに収斂していきます。重要なのは、いくつもあるトレンドのうち、どのトレンドが最も大きなトレンドになるかを読むことです。それがバイヤーの重要な仕事です。


ヨーロッパはパリとロンドン。アメリカは主にニューヨークですが、最近はロサンゼルスも見る必要があるようです。とくにティーンズのバイヤーはパリとロンドンには必ず行っています。2、3か月おきに行っては、一週間ほどかけて、見るべきところを全部見て、また次の観測点に行くのです。


取引先への返品禁止はしまむらにとっても、取引先にとっても結局はいいことです。しまむらのものの考え方は、長期が基本です。取引先とも「太いパイプで長くやっていきましょう」が基本です。お互いに儲かる会社にしていきましょう。うちは営業利益10%を目指しますから、おたくも10%を目指してくださいと。


しまむらが扱っているのは主に女性の普段着ですが、日本の女性は流行に敏感です。テレビ、雑誌、ウィンドーショッピングなどを通して大量の情報を蓄積しています。そんな女性たちが「こういう服が欲しい」と思ったとき、うちの店頭にイメージ通りの服がなければ売れません。つまり、女性たちが欲しいと思うよりも一歩先んじて、商品の準備をしておく必要があるということです。そのため、バイヤーを世界各国の市場に派遣して、定点観測を継続しています。


しまむらは、さすがに百貨店レベルの品質を目指してはいませんが、お客様の期待より少しでも品質が低ければ、「やっぱり安ものね」と思われてしまいます。期待より少し高ければ、「あら、案外いいじゃないの」といっていただける。この見極めが非常に難しい。常に、お客様の期待を少しだけ超える品質を保つこと。これがしまむらにとって、とても大切なことなのです。


日本の消費者は非常に厳しいというこです。とくに最近は、値打ちを見極める目がとても肥えてきているのを感じます。いまは安いだけでは来て下さらない。品質がいいなんて当たり前のことなのです。


しまむらが勝ち組とかいう組に入った事実はありません。ほかの企業さんが苦戦をなさっているときに苦戦の幅が小さかったというだけで、決して景気の影響を受けてこなかったわけではありません。当社も一番業績が良かったのはバブル時代ですし、リーマンショックのときは初の減収減益も経験しました。ただ、しまむらは急激な落ち込みをせずに済んだというだけです。そのあたりをご評価いただいているということでしょう。
【覚書き|しまむらがデフレの勝ち組と呼ばれたことについてのコメント】


大規模な店舗改装も進めます。一部に古いお店や汚れたお店があると、全体のブランドイメージにマイナスの影響を与えるからです。


ライバル店舗も参考にしますが、あくまでしまむら流を極めていきます。当社は商品を折り畳んで陳列することはしません。畳むと、商品をたくさん並べられますが、お客さんが広げてみるのが大変なうえ、従業員には整理するための作業が発生する。当社流のやり方を進化させていきます。


国内市場は厳しいとよく言われますが、既存店の成長余地はまだまだいっぱいある。ライバルの店と比べて、しまむらの売上高はまだ低い。どこが負けているかというと、店舗の見せ方です。見ていて面白くない。陳列技術などには、まだ工夫の余地があります。


当社には製造のノウハウがありません。モノを作るノウハウと商品を企画する力は専門メーカーにはかなわない。私たちはあくまで小売りで、そこにプライドを持っています。もちろん情報をたくさん集めて、選別する目は鍛えています。ただあくまでお客様の目線でこういう商品がこの価格なら売れるという視点です。製造小売りを目指すよりも、取引先のメーカーに、お客様がこういうものを欲しがっていますよと伝えて、作ってもらう方が、ずっといい商品が出来上がってくる。仕入れに徹する小売りとして、まだまだ効率化できる部分がある。それを理屈通りに徹底してやっていくのが「しまむら流」です。


取引先にムダなお金をかけさせない仕組みを追求しています。例えば、システムの利用料や伝票処理の手数料も徴収していません。すべて無料です。かつて従量制で1件当たりいくらといった形で課金していましたが、全部タダにしました。納品してもらった商品の販売データも、パソコンがあればインターネット経由で、取引先はいつでも自由に見ることができます。何が売れて、何が売れていないのかが分かるので、次の商品の提案がしやすくなります。


当社は衣料品メーカーから商品を100%買い取っています。注文したものはすべて当社が引き取るため、作ったものが戻ってくる心配がありません。返品があると商品を運ぶための物流や事務処理などの追加コストが発生します。この追加コストがないため、メーカー側は安く商品を供給できるのです。当社と取引するのは楽だと喜ばれていますよ。返品がなければ、メーカーの担当者の業務量は減ります。返品や帳簿の書き方を覚えなくていいし、数量を数えなくても済む。戻ってきた商品を検品する必要もありません。売値は安くても、「しまむらさんとの取引はボリュームがあるからいい」と言ってもらえる。


当社がライバルと同じ品質の商品を圧倒的に安くできるのは、利幅が薄くても利益を確保できる構造です。当社は売上高に占める販売費・一般管理費の比率が低く、ローコストで運営できる仕組みを築いている。しまむら自身の運営コストが安いだけではなく、商品を供給する衣料品メーカーも、当社とはコストをかけずに取引できる形になっています。取引先の衣料メーカーは、ほかの小売企業と取引する場合よりも、必要経費を抑えられる。だから仕入れ原価が安く、低価格で売っても、利益を生み出せるのです。


しまむらの一番の強さは安さです。ただ、流行遅れだったり、品質を落としたりしたら、お客さんは相手にはしてくれません。日本の消費者、とりわけ女性が商品を見る目は厳しい。今年のトレンドに対応し、品質が良く、しかも低価格。「この品質でこの価格だったら圧倒的に安い」と思ってもらえることが大事です。


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