諏訪内晶子の名言 一覧

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諏訪内晶子のプロフィール

諏訪内晶子、すわない・あきこ。日本のバイオリン奏者。東京出身。桐朋女子高等学校音楽科を卒業後、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースを修了。ジュリアード音楽院に留学し、単位交換制度でコロンビア大学で政治思想史を学ぶ。またベルリン大学へも留学した。学生時代から才能を発揮し、全日本学生音楽コンクール小学生の部東日本大会優勝、全日本学生音楽コンクール中学生の部全国大会優勝、日本音楽コンクール優勝。チャイコフスキー国際コンクールで日本人初の優勝、バッハ作品最優秀演奏者賞、チャイコフスキー作品最優秀演奏者賞を受賞。

幼少時から大切にしてきたのは、「目的をきちんと自覚しながら時間を過ごす習慣を持つなら、何をしても結果はいいものになる」ということです。芸術家の仕事は、3年や4年もあとまでの計画をいまのうちに立てておいて、自分の進む道を自分でつくりあげていく作業ですから。


人生には本当にいろいろなことが起こるけれど、そのいろいろなことを無駄にせず、経験を自分の内面で芸術として成熟させなければなりません。成熟こそが問われていることなのでしょう。


自分の突き詰めたい目標に向けて、状況の変化に合わせた調整を続けていくわけです。3年後や4年後の計画のためには、という視点で今日をどのように過ごすのかを決めていきます。


演奏家にとって大前提になるのは演奏の技術だから、基礎的な訓練についてはまずどのような状況においても続けます。


主張そのものは外国語で伝えるので語学も大切ですけど、そもそも明確な主張がなければ言葉にさえなりません。また、主張できたとしても、私はこれがやりたいのだという焦点がブレていれば、私の音楽に対する考え方が伝わるはずもないんです。


数年後の計画を立てるときに念頭に置いているのは、活動の幅を狭くしないことです。芸術の活動においては活動の幅を狭くすることならどれだけでもやれるけれど、幅を狭くした後にまた広げることは難しいですから。ただし、活動の幅を広げるといっても、活動の内容や方向性についてはあんまり広げすぎないようにしなければなりません。


演奏ツアーの最中である今日のように、演奏会の時期に入れば、もう演奏会のみに集中することのできるような環境を事前につくっておきます。演奏会の直前までならば私は音楽のほかにもいろいろなことをやるけれど、ツアーが始まったら完全に演奏だけに集中しています。ツアーが終われば地に足の付いた生活に帰還するわけです。ツアーの時期は張りつめたハイテンションで過ごしているので、ずっとそのままの状態でもまたよくないのです。


おもしろかったのは、ベルリン大学ではどの楽器の専攻者も歌の授業に出なければならなかったところでした。私の音域はメゾソプラノでしたが、自分の体を楽器にして歌うとなると、もう私の歌はどうしようもないレベルなんです。ただ、その歌の授業では呼吸と音楽の関係であるとか、フレージングの方法論であるとか、楽器を持たずに歌うからこそ「音楽とは何か」を考えさせられました。このとき、ヴァイオリンの一番の特色はそれこそ「歌うこと」であろうと思ったんです。ヴァイオリンは、歌に最も近い楽器なのではないだろうか、と。


日本にいたころはわりと「譜面通りに弾けているなら問題ないだろう」と考えていたけれど、理論や学問に触れると、以前よりも音楽を理解できるようになりました。それに、いま、いろいろな国の人たちと仕事をするときに自分の主張を伝えられているのは、アメリカに留学したからだと思っています。


もう少し若いころは目の前の経験を消化することに一所懸命でしたから、経験を成熟させるなんてことを考える余裕はなかったんですよね。でも、いまはそうして経験を成熟させるところにこそ芸術の素晴らしさを感じています。


ソリストの仕事の理想というのは、共演者たちの音楽観をもつかんで、それを踏まえたうえでこちらの音楽観を乗せて一緒に音楽をつくりあげることなんですね。共演者との相性もあるのでそのようなアンサンブルが成立するときばかりではないですが、そういうセッションを私自身も共演者も心から楽しみにしています。音楽とは、そのように人とつながって深まっていくものなのでしょう。


最近よく考えるのは、音楽とは、突き詰めれば突き詰めるほどに、一生かけてつくりあげていくものなのだということです。


1990年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝した翌年から、私は国内での演奏活動を休止してニューヨークのジュリアード音楽院に留学しています。数年間は日本での音楽活動をすべてやめて、アメリカにおける音楽活動もかなり抑えました。なぜそうした選択をしたのかといえば、もしもここで学問に集中しなければ、これから先に長く続くであろう音楽活動を支えられる何かを獲得できないままになってしまうだろうと自覚したからです。勉強できる時間がある若いうちに、言葉も含めて海外で勉強をと考えていたのです。


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