見舘好隆の名言 一覧

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見舘好隆のプロフィール

見舘好隆、みたて・よしたか。北九州市立大学キャリアセンター准教授。旅行会社などにて人事、販促部門で15年間実務を経験したのち、首都圏大学東京のキャリアカウンセラー、一橋大学大学院社会学研究科キャリアデザイン担当特任講師を経て、北九州市立大学キャリアセンター准教授。経営学修士を持ち、専攻は若年者のキャリア形成支援。

スターバックスはアルバイトと社員全員をパートナーと呼び、アルバイトからの社員登用を積極的に進めるなど、正規と非正規社員との間に溝を設けていない。それにとどまらず、古株のアルバイトと新人の間の溝もほとんどつくっていない。同社ではおいしいコーヒーを入れる技術が何よりも重視される。おいしいコーヒーを入れられるよう努力を重ね、その結果ふさわしいスキルや知識を身につけることができる。


みなさんの職場では新人を同志として温かく迎え入れ、しかるべき仕事を与えているだろうか。その答えがNOだとしたら、新人の学習機会を棄損したうえ、早く辞めてくれと言っているようなものだ。自分の職場で若手社員の定着が悪い、元気がないと言う前に、成長を実感できる機会をきちんと用意しているのか若手の身になって考えてみてはどうだろう。


「何々をせよ」と指示したら、必ずそうすることの理由も伝える。「これがルールです」「これは禁止されています」と頭ごなしに言うより、学習効果はずっと高いはずだ。


新人が熟達者から学んでいく学習過程を認知的徒弟制度と名付けたのは米国の認知学者ブラウン(ジョン・シーリー・ブラウン)だ。学ぶ過程は4つの段階に分けられる。

  1. 弟子が親方の仕事を見て学ぶ(モデリング)
  2. 親方が手取り足取り弟子を教える(コーチング)
  3. できそうな仕事を弟子にやらせてみて、できそうもない仕事は親方が支援して完成させる(スキャフォルディング)
  4. 親方が手を引いて自立を促す(フェーディング)

みなさんの職場では、新人はこの認知的徒弟制度の関係下に置かれているだろうか。そうでないのに新人が育たないと愚痴るのは怠慢以外の何ものでもない。


若者を本気で育てるには、次のふたつに取り組む必要がある。若者の「社会化」と「組織化」だ。社会化とは文字通り学生気分を抜けさせ、仕事に携わる社会人として一人前にすることだ。組織化とは若者に組織特有の文化やルールを教え込み、組織の一員にさせることだ。


上司自身が前向きに輝いて仕事しているだろうか。この人のようになりたいと思わせる魅力的な人がいる職場では、若手の離職率も低いはずだ。若手をなじるのは天に唾する行為に等しく、結局は自分たちに返ってくる。


「アルバイトは社員とは別だから、簡単な仕事だけやらせておけばいい」「新人は新人らしくしていろ」と社員や古株のアルバイトから見下されていたら、非正統的周辺に置かれることになって意欲は下がるばかりだ。つまり若手や新人を差別せず、全員が会社という船の重要な乗組員だという意識を持たせることが重要なのだ。


成功や失敗を繰り返し、周辺的な仕事から中心的な仕事を担う立場になっていく過程を経て、自分は組織の一員であるという確かな自覚が生まれる。その自覚が生まれれば、個々の仕事能力は格段に上がっていく。これが組織における学習の本質的考え方である。


企業には必ずクレド(信条)がある。経営理念や行動指針、ミッションと呼ばれることもあり、その企業が大切にしている信条を言葉にまとめたものだ。マクドナルドのマニュアルには、あらゆる仕事に関して「何を、どんな手順でやればいいのか」だけでなく「なぜそのやり方が最善なのか」という行動の背景や理念も説明されている。その結果、マクドナルドが大切にしているルールをクルーが自然に会得していく。


マクドナルドの場合、新人全員にクルートレーナーが付き、仕事で分からないことがあれば手取り足取り教える。そのトレーナーになるためのプログラムまで用意するという念の入れようだ。新人を頭ごなしに叱ろうものなら、意気消沈し辞めてしまうだろう。それを防ぐため、クルートレーナーには新人クルーの一挙手一投足に目を配り、何かが上達したり仕事上の気遣いを発揮したりしたら、すぐ褒めることが推奨されている。同社ではこれを即時フィードバックと呼んでいる。


これだけの店舗、スタッフがいる中では、せっかく採用して育て上げたクルーがすぐに辞めてしまえば莫大な損失を被ることになる。新たな募集をかけるための広告費ひとつとっても大変な金額だ。そこでマクドナルドのビジョンや仕事内容にマッチした人の採用に力を入れる一方、いったん採用した人が短期間で辞めてしまうのを防ぐ仕組みを作ってきたということではないだろうか。


マクドナルドは痒いところまで手が届くマニュアルを整備し、アルバイトではなくクルー(乗組員)という名称を使った。さらに、教育係としての『クルートレーナー』、正社員とクルーの橋渡し役であり店舗管理の一部を担う『スウィングマネージャー』と、アルバイトにも階級を設けた。


せっかく採用した新人が思うように働いてくれない。強く言うとむくれて出社しなくなりそうだし、下手すると辞めてしまう。最近、企業の人事担当者ばかりでなく、部下を持つ30代、40代の管理職の人たちからもこういう悩みをよく聞く。そういう場合、私はこう答えるようにしている。飲食業、たとえばマクドナルドのアルバイト育成法に学んだらどうでしょう、と。


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