西野裕の名言 一覧

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西野裕のプロフィール

西野裕、にしの・ゆたか。日本のコンサルタント。東京出身。明治大学政治学部卒業後、ベンチャーリンク、エフアンドエムを経て、米国最古の雇用調整コンサルティング会社日本法人チャレンジー・グレイ・クリスマスの社長に就任。その後独立し、コンサルティング会社ビジャストを設立。人材採用についてのコンサルティング活動を行っている。主な著書に『ヘタレ採用ドヘタ経営 採用の常識は営業の非常識』『会社の穴 人が採れない本当の理由』など。

当たり前の日常が、当たり前に続くと思ってはいけません。自分の身は自分で守り、自分の選択において起きたことは自分で引き受ける。そう考えることが一個人として有効なキャリアパスを築く礎となるのです。


私が人員削減をお手伝いした会社の中に、某大手食品会社の子会社がありました。業績悪化の中、苦渋の決断で人員削減を行うことになり、社長自らが矢面に立ち、社員の説得にあたりました。真剣に向き合って自社の未来を考えたときに、どういう選択をしなければいけないのかを一人一人に語りました。残った社員に対しても時間を割いて状況は必ず良くなると何度も説得し、社運をかけてある商品を前面に押し出しました。その会社はいまではすっかり立ち直り業績も好調です。いま思うと、そのときの社長の覚悟が社員に伝わったことが、苦境を乗り切る力となったと感じています。


情報量に比例してやる気は高まり、不安はやわらげられます。残った人員でいまの苦境を乗り越えられたなら、一年後にはこういう状況にたどり着くという未来を示す。残って頑張ろうと思えるような情報を伝えることがモチベーション維持につながります。


かつて個人のキャリアとは、会社が決めるものでした。つまり、キャリア=会社の人事だったのです。自分の意思より、会社から求められることに応えるのが仕事でした。いまは、働かなければいけない43年間に4から5回転職してもおかしくない時代です。キャリアは個人が築く時代に代わってきています。


人員削減後、企業はなるべく早く立ち直りをはからなければなりません。そのため、今後の事業を見据えた組織づくりと適切な要員計画が不可欠となります。これを実現するためにも、経営陣も含め、会社が一丸となって取り組まなければならないのです。


人員削減を考えるとき、日本企業の多くが希望退職という手法を取ります。しかし、単純にこの手法を用いると、必要な人材まで辞めていき、会社が生き残る体力を失う危険性もあります。思い切って社員を大幅に減らし、コストカットに成功したところで、残った人材が疲弊しては会社再生の特効薬にはなりません。やり方を誤ると会社存続の危機に瀕することになります。


人員削減の対象となったからといって、それはその一社での特定の局面での判断でしかありません。所属していた会社の置かれた環境の中で、会社が取った手段、それは客観的な自分の市場価値ではありません。現在の会社で評価が低くとも場所さえ変えれば大活躍する人も大勢います。会社からの評価ではなく、自分自身がこれまでの仕事をどうとらえるかが重要なのです。


日本は欧米のようにドラスティックな解雇手段はとれません。しかし、実質的に人員削減というのは希望退職という名の退職勧奨です。ほぼ100%会社の事情であることは間違いありません。だからこそ退職を受け入れてくれた人に感謝し、次のステップに進むための配慮もしなければなりません。


人員削減をしたことによって、当然、一人あたりの仕事量も増え疲弊感も生まれます。会社の先行きに不安を感じ「このまま残っていいのか」という疑問を持つ人も多くなります。そういう社員に向けて投資家向けの事業再生計画の配布資料を渡したところで意味はありません。コア人材の流出を防ぐためにしたように、会社の実情とこれから先の情報をきちんと面談で説明し、そこで期待する役割を社員一人一人丁寧に伝えることです。


人員削減は、単に何人減らしたから人件費をその分削減できるという数字の足し引き算段ではありません。できるだけ早く会社の再生をするために、必要な組織をつくり、そのためには誰がどういう役割を果たすのかを明確にしなければいけません。コア人材には会社のこれからのビジョンを語り、本人に求めたい役割をしっかり伝えることです。


コア人材とは、今後の事業を運営するうえで必ず必要不可欠な人材のことです。このため場合によっては優秀な人でも辞めてもらう必要が出てきます。確かにパフォーマンスを発揮できていることも大事です。しかし、その人がパフォーマンスを発揮できているのは、別の誰かやチームの助力によることもあり得るのです。すべてのバランスを見ていかなければ、組織の中で緩衝材となってくれている重要な人物や見えざる力となっている部分を失ってしまいます。


辞めざるを得ない人にいかに納得感と共感を持ってもらうか。これが企業にとって最大のリスクヘッジとなります。会社側がこれまでの本人の仕事を認めたうえで感謝を示し、務めてきた時間が決して無駄ではなく有意義なものであったと思ってもらうこと。これが次の人生に向けて本人が再就職を自発的に探す原動力となります。


人員削減の対象となる人に対して、これまでの仕事を否定するようなことを言ってはいけません。数年前のミスをほじくりかえしたり、仕事への貢献度が低いなどといったことをいまさら話したところで、感情的に納得できません。相手はこれまでの自分の人生を否定されているように感じ、揉める原因となります。情報漏えいやマスコミへのリーク、訴訟、ユニオンへの駆け込み、逆恨みや、最悪の場合自殺行為に及ぶ可能性もあります。


リストラのときに経営陣が一枚岩でないとこんなことも起こります。社員の中には、かつての上司や面倒を見てもらった役員に電話をかけてくる人もいます。電話を受けた専務や常務が人事部長の所に「A君だが、いろいろ事情を抱えているようだから何とかしてあげてくれ。一人くらい何とかなるだろう」という内戦を入れてくるのだ。これを業界用語で「パラシュート」といいますが、これでは人員削減が滞ります。


社員の納得を得るには経営層、人事が一枚岩となって人員削減をする必要があります。面談では質疑応答のマニュアルをつくり、ロールプレーをして何を聞かれても同じように答えられるようにすること。部下を前にすると、上司も長く一緒に働いてきた人間を無下にはできないものです。社員も人によってさまざまな事情を抱えています。だからといって面談する上司が情に流されていては会社の再生はできません。


希望退職者を募る前の社員との面談は、削減人数の確保とともにトラブル回避のためでもあります。トラブル回避のためには、辞めざるを得ない人に、話し合いを通じて納得感と共感を持ってもらうことが大事です。そのためにはまず、今後どのように会社が生き残っていくかというビジョンを伝えることです。そして、残念ながらその中で果たしてもらいたい役割がないということを説明するのです。


辞めて欲しい残って欲しい理由を説明する面談をせずに、希望退職者を募ると、いざふたを開けたときに何が起こるかわかりません。辞めて欲しくない人材も含めて予定より多くの人が殺到し、残ってもらうための説得に奔走しなくてはならなくなったり、逆に人数が足りずに期間が延び、通常業務に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。


会社を存続させていくためには、何が何でも決められた人数の退職者を確保しなければなりません。希望退職の応募期間は長くても2週間が妥当です。その時期に既定の人数を集めるために希望退職を募る約2か月前から、企業側が社員一人一人と面談し、残ってほしい人と辞めて欲しい人各々にその理由を説明する機会を設けるのです。


企業が人員削減のリスクを最小限に抑えるポイントは(1)削減人数の確保(2)労使トラブルの回避(3)コア人材の流出防止(4)残った人材のケアの4つです。


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