藤本隆宏の名言 一覧

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藤本隆宏のプロフィール

藤本隆宏、ふじもと・たかひろ。東京都生まれ。日本の経済学者。東京大学経済学部卒業後、三菱総合研究所を経て、ハーバード大学ビジネススクール博士課程修了。三菱総合研究所勤務を経て、東響大学経済学部助教授から東京大学大学院経済学研究所教授。ハーバード大学ビジネススクール上級研究員。製造業の生産管理方式の研究などで知られている。主な著書に『生産マネジメント入門』『能力構築競争』

欧米型、中国型の「頭を使う戦略」「弱いものに楽に勝つ兵法」から学びつつも、それを鵜呑みにせず、いわば宮本武蔵流の「体を鍛える戦略」をミックスし、バランスをとる。それが経営戦略版の和魂洋才ではないだろうか。


本社の構想力より現場の実力に頼る傾向のある日本の有力企業の場合、むろん今後は本社の戦略構想力、内部統制力の向上にも長期的に頑張っていただきたい。しかし、伝統の力である現場の能力構築なくしては、それらも絵に描いた餅となる。


21世紀の日本の産業構造は、現場の努力の積み重ねの中から姿を現すのだろう。「現場の能力構築なくして産業なし」である。


20世紀後半の日本の生産現場・開発現場が錬成してきた統合型の現場能力をどうやって維持し、どうやって活かすかについては、油断大敵である。能力の構築は少なくとも10年を要するが、崩壊は一瞬である。能力構築の障害になる要因はできるだけ取り除いておきたいものだ。


日本はこれまで100年あまり、「資源のない我が国は、原料・燃料・食料を輸入するために、工業製品は何でも輸出しなければならない」という貿易立国の一念を持って走ってきた。したがって、事製造業に関して、何でもつくり、何でも輸出したいという漠然としたビジョンでなんとなく来てしまった感がある。その帰結が、工業製品は何でも日本でやりたいという「フルセット工業主義」であり、あるいはハイテク製品、高付加価値製品は何でも日本で育てたいという「フルセット先端主義」だったと思える。それは、耳にはやさしいが、戦略性の希薄な産業観だった。


もはや世界の製造業センターといってもいいアジアで、日本の産業が存在感を維持していくためには、我々はいったい何を輸出し、何を輸入していくのか、強み、弱みの自己認識に基づいた戦略的な日本の産業観を持つ必要がある。言い換えれば、経済学が長年考えてきた「比較優位」論を、いまこそ日本に引き寄せて厳しく考え直す必要がある。ただしそこに、経済学があまり正面から導入してこなかった「設計」という工学系コンセプトを注入しつつである。


現場の能力構築を見て、企業経営者がその存続を選択すれば、その現場はとりあえず生き残る。現場が企業の経営者に選ばれる力を「裏の競争力」、商品が市場の購買者に選ばれる力を「表の競争力」と私は呼んでいる。裏表の競争力が両方ともなってはじめて、現場の長期的な生き残りが可能となり、その国にその製品を供給する生産が存続することになる。


企業が多国籍化し多様化した現在、「産業」とは「企業」の集まりを意味しない。産業とはむしろ「現場」の集まりである。どの国にどの現場を持つかに関する企業の意思決定の集積が、各国の産業構造を決めるのである。とりわけ、設計現場の立地決定が、産業の存否にとってこれまでに増して重要である。


経済学はこれまで「生産の立地」を論じることが多かったが、製品の差異化と規模の経済が利く現代の産業においては、結局はどこで設計するかが、どこで生産するかに大きく影響する。


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