葛西敬之の名言 一覧

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葛西敬之のプロフィール

葛西敬之、かさい・よしゆき。日本の経営者。JR東海会長。新潟生まれ東京育ち。東京大学法学部卒業後、日本国有鉄道(国鉄)に入社。米国ウィスコンシン大学大学院でMBA取得。国鉄の分割民営化にともない、東海旅客鉄道(JR東海)に移る。取締役、総合企画本部長、常務、副社長などを経て社長に就任。国鉄の分割民営化に尽力した人物。そのほか、国家公安委員、教育再生委員会委員、JR東海・トヨタ・中部電力の共同出資による全寮制男子校海陽学園の副理事長なども務めた経営者。主な著書に『人生に座標軸を持て-自分の価値は自分で決める』『未完の国鉄改革』など。

未来を展望するには、歴史を学ぶことが重要。


ナポレオンについていけば絶対に戦いに勝てるという厚い信頼は、ナポレオンが何回も生死の境を越えて兵士たちと勝利を共有する成功体験があったからです。企業活動は生き死にまでいかないとはいえ統率力には、そうした人間学が根源にあります。


得意な分野は人によって異なっており、会社の人事構成を考えるときに、オールマイティの人がいると思うのは間違いです。ですから、会社を一人の人間の型にはめてはいけません。複数の人たちが補い合う体制をつくり、各人の一番いいところを上手く組み合わせて仕事をさせ、信頼関係をつくりあげることが大事です。人事はそのための道具で、臆病で、慎重であるべきだし、決して自分の趣味に合わせた人事をやってはいけません。


日本の多くの企業人や役人には、課題や目標を与えられたときの企画・立案能力や統率・実行能力は非常に高いけれど、前人未到の原野をどう進むべきかを決める能力を持った人はほとんどいません。私は、「自分で戦いのルールを決める能力」に優れたリーダーをいかにつくり出すかが、リーダー育成の要件だと考えています。


リーダーたる者は、新しい方向性、そして次を決めなければいけません。組織を活性化するというのは、常に新しい目標を追いかけ続けることであり、リーダーシップはそれに向かって人の気持ちを収斂させることだと思います。


状況は自らがつくり出すものであって、状況に振り回されてはいけません。自分がルールメイカーであって、人のつくるルールで最適化を図るというのは使われる人間の発想です。地図にないルートを行くことこそ、上に立つ者の務めです。いままではこうだったから、これからもこうなるはずだと予定調和の発想で歩くのは誰にでもできます。


リーダーは達成すべき目標を定めて、それに向かって動く人間でなければなりません。動いているときというのは、人の気持ちはひとつにまとまります。だから、常に受動ではなく、能動であれということです。


クリエイティブな人間は、会社の組織の中ではなかなか育てられません。計画や企画の立案というのは教育可能な分野ですが、人心掌握やクリエイティブなものの考え方は人為的に養成することは難しいのです。マニュアル通りに行動すればいいようなことは誰にでも教えられますが、いざという事態に直面したときに自由自在な発想ができるというのは、天性のものであるだろうし、幼児期からまだ比較的人格が形成される前、すなわち大学を卒業するまでの間くらいの人生体験から生まれてくるものではないでしょうか。


自分のために会社を利用しようとか、自分の立場を良くしようなどと考えている人は、人事の面から見れば低い評価を与えるべきです。


多くの人たちの心をわかり掌握するには、論語にもある通り「吾れ日に吾が身を三省す。人のために謀りて忠ならざるか、朋友と交わるに信ならざるか、習わざるを伝えしか」、つまり人のために何かをしてあげるときに、忠(真心)をこめてやったかどうか。友達と付き合う際に、信頼を裏切ることなく常に誠実に対応したのかでしょう。孔子は人心を掌握するには真心や思いやり、誠実さが必要であると教えているわけです。


リーダーになる人間は組織の中で時間をかけて育てていくものですが、リーダーの条件には大きく分けて3つあると思います。第一は「創造する企画立案能力」。第二は「計画する着想・方向性決定能力」で、参謀力と言ってもいいでしょう。第三は「遂行する統率・実行の能力」で、人の気持ちを良くわかり、多くの人たちの心を掌握する能力です。


人事評価でとくに良くないのが、人の評価を拙速に判断し、それさえもすぐに変えることです。


自分のことを自身でわかる人はいません。自己評価や自己目標を科学的、かつ分析的にやっているつもりでも、自分はすべてが人並みだと評価する人もいます。同じような状態にありながら自分は抜群だと評価する人もおり、人によってモノサシが違います。評価する上司も癖が強かったり、人によって異なりますから、モノサシが固定しておらず常に客観的だとは限りません。だから長い時間をかけて、たくさんの人がその人の仕事ぶりを見続け、その結果、多くの人が持った印象が一番適正な評価なのです。


人の能力を見るうえで、現在よく使われる人事評価方法、つまり自己分析をさせて目標を設定し、その達成度を上司が評価するという方法はほとんど意味がないと思っています。最も大切なのは、いろいろな人が長い期間にわたって評価したものを集約して判断することでしょう。


どういう人間がクリエイティブになるかは神のみぞ知る世界ですが、何らかの方法で育てることができるとすれば、人類の歴史の中でプラトンや孔子の時代からやってきたやり方しかないんだろうと思います。それは幼いときに、読み書き算盤を徹底的に教えることです。ただ、習う基礎はだいたい面白くないものですが、それとは関係なく、まずは効率よく教えることです。基礎力さえついていると、例えば読書であれば自分の面白いと思うものが読めるわけですから、読書を通じて他人の経験から学ぶこともできます。他人のイマジネーションを通じて自分を大きく膨らませることもできるのです。


地図のないところを歩いてきました。遠くの山の頂は見えていましたが、道は雪や雨に閉ざされていました。そこをうつむきながらも歩き続けました。
【覚書き|国鉄分割民営化についての状況を振り返った言葉】


鉄道サービスの盛衰は、宣伝や説明の巧拙によって決まるのではなく、サービスの真価、すなわち安全・正確・安定・快適・高速・効率的な輸送を提供できるか否かによって決まります。当社の主力である東海道新幹線を基幹とする鉄道ネットワークは日本経済の大動脈であり、その価値をいかに高めるかをJR東海発足後20年間の間、一貫してやってきました。もの言いではなく、結果を示し得たのだと思っています。


良い本を繰り返し読むことも大事です。これを記憶として定着させるためには、人に語り聞かせるというプロセスがとても大切です。3人の人に話すと、それは記憶され、定着するといいます。自分だけで温めているよりは、仲間と本の内容をテーマに話し合うことが大事で、だからこそ感激を共有できる友達が必要です。


人間一人の力は限られていますが、歴史や古典から学ぶことによって、わずかずつでも、人間としての幅を広げていける。そうすれば、部下をはじめ、周りからの信頼を自然と集められるようになるはずです。


人間の社会は、どこへ行っても同じです。まず基礎があり、体験があって、その上に読書が付加価値を付ける。そして更なる体験がある。これの繰り返しです。


最近の経営者の中には、即戦力を採用すべきだという考え方もありますが、何かに精通しているということは、大学で学んだだけではできません。大学や大学院でやるべきことは、現実の世界であらゆる事態に順応していけるような基礎の知識を十分に身につけることです。鉄道の世界でも、大学院を出たら何でもできるような技術者にすぐなれるなどということはありません。彼らが十分な基礎を学んでいれば、それを土台にして何年かの実務や体験を通じて、世界一の鉄道技師になることができます。


学生時代までは、実学も含め、書物と格闘するように向かい合うことも必要でしょう。しかしそれは、大学や大学院までにすませておいて、その後は、それを土台に自分の頭で考えていくべきです。そのためにも、読書と体験と思索を積み重ねて、教養を深めていくことを勧めます。


本を読むときは、何かを得ようという姿勢で読むのではなく、面白いと思って読むことが大事だと思います。社会人になってからの読書は、知ろうとして読むのではなく、少なくとも好きで読む、できれば楽しんで読むべきです。だから、読書は好きな分野を楽しめばいい。


地図のない道を行く方が得意な人は多くありません。一方で地図があって交通信号がある道を進む方が得意な人はたくさんいます。両方のタイプの人がいてはじめて、会社は回っていくわけです。


読書で得た人間学の素養は、私の職業人としての人生の随所において支えになってきたと思います。それはどの局面においても、歴史上の誰の事跡かという形のものではなく、無意識のうちに身についた処し方としてです。


論語は読んでいるときは面白くないし、読んだからといって人間が変わるという実感もありません。しかし、自分の体験をある程度積み重ねたときに、読み返してみると、なるほどと思い当たるものがあるということです。だから、年を取ってから読み返すべきものなのかもしれません。


世界をリードした偉大な政治家や軍人たちが、いかなる状況の下で何を考え、どのように行動したかということを読書で身につけることによって、自分の体験を膨らませることができるのです。しかし、体験のない物には何をかけてもゼロなので、やはり自分自身の持っている生活体験はパン種のようなものでとても大切で、それに付加価値を付けるのが読書だと思います。


読書を通じて他人の経験から学ぶことにより、自分の原体験を大きく膨らませることができます。その素材となるのは歴史や伝記です。また、他人のイマジネーションを通じて自分の体験を膨らませるということも有効な方法となります。この素材となるのは小説やエッセイです。さらに、他人の感性から学ぶ上での素材は詩歌がよいでしょう。


人間学というのは、実学のように短期養成が可能なものではなく、子供のときからの積み重ねの中で自ら身につけるものです。


中堅幹部社員などになり10人の長、100人の長と上がっていくにしたがって、実学の知識だけでは十分機能することはできなくなります。そのとき、人の気持ちがわかるとか、統率するときにどうしたら人が自分を信頼し、ついてきてくれるのかといったことについての素養が必要になってきます。


ビジネスマン、とりわけリーダーの立場となる人に必要な要素は、二つの軸に分けて考えていいと思います。ひとつは実学、もうひとつは人間学です。20代、30代といった若いころは、法律あるいは経済というような仕事に役立つ実学の知識を証明しないと組織の中で評価されません。ところが、だんだん中堅幹部社員などになるにしたがって人間学が必要になってきます。


歴史を学ぶということは人間を学ぶことでもあります。人間が様々な仕事をしていくうえで必要なことは、「人間学」であり、それには、歴史上の人物、特に国の興亡を担ってきた人々の決断や行動などを学ぶことが大切です。


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