葉山有樹の名言 一覧

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葉山有樹のプロフィール

葉山有樹、はやま・ゆうき。日本の陶芸家。有田焼で有名な佐賀県有田町出身。15歳で焼き物製造会社に入社。同社で毎日大量の焼き物に絵付けをし技術を磨く。その後23歳で独立。国内外で数多くの個展を開催。細密な描き込みの陶磁器で高い評価を得た。

人間というのはかなりつらいことでも続けているうちに慣れてしまうものなんです。


絵柄に関しては、過去にあったパターンのコピーに過ぎないというようなものには、どうしても本物の迫力は宿らないだろうと思っています。自分なりの図案を描けるようにならなければいけません。


あるものに対して、多大な犠牲の下で成り立っているのかどうかについては絶対に感知されてしまうから、こちらとしては一所懸命にやらなければ、底の浅さが露呈してしまう。人間が「美」を感じるのは、頭と体の限界まで犠牲を捧げきったところ、なのではないでしょうか。


焼きものに対しての絵つけというのは、紙に絵を描くのとはちがい、ずいぶんいろいろな制約があります。どのプロセスでも一回やったらやり直しがきかないので、ちょっとした失敗も許されません。でも、そういう制約の中でこそ、陶磁器というものには存在感が宿ってくれるのではないでしょうか。


僕は最近は、器に絵を描く前の準備として、テーマをもとに物語を文章に書くということもしています。何回眺めても飽きない焼きものには、絵の中に展開していく物語があると思っているからです。しかも、長い物語が、です。ですから、僕もパソコンではなく手書きで、400字詰めの原稿用紙で何百枚ぶんぐらいになる物語を書いて、それから器の制作に入ることもあるんです。そういうプロセスを経ると、自分の中でも、もうどうしても作らなければならない焼きものになってくれますので。


歴史を勉強することも必要です。図柄の背景には何があるのか、どのような意味でその図柄が使われてきたのかを知らなければ、やはり本物にはならない。だから歴史の本を読んだり古典にあたったりして、それぞれの図柄に古来から人々のどのような宇宙観がこめられていたのかを、できるだけ理解したいと思っています。


草花を描くためには、近所の山に出かけてずっとスケッチをしていました。家のまわりに生えている、だいたい128種類ほどの草花なら、何も見ないでも細部も正確に描けるようになるまでスケッチを続けるんですね。植物だけでなく動物や人物にしても、そのように何百回も同じものを描き、あとは勝手に筆の先が動いてくれるようになることを大切にしています。古い焼きものに描かれた文様や生きものなどには、それぞれ意味も起源もちゃんとある。それを自分のものにしなければ、単純な技術だけではどうしても本物のよさは出ないんですよ。


やはり、どこにも属していない個人が焼きもので食べていくためには、とにかく「人のやらないもの」を作るしかありません。だから、同じ値段のものでも、ほかの何倍も手仕事が加えられて凄味があるだとか、何でここまでするんですかと驚いてもらえるくらいにいちいち細かく手を入れていこう、という今の僕の仕事につながる姿勢が、次第にできてきたんです。手がかかっているもののよさも伝わり、器はそのうち買っていただけるようにもなりました。


技術というのは、うまくなれば自然に「もっともっと」と渇望するようになるものですよね。それで僕は、23歳の頃に独立し、自分の窯を持つことにしました。


同じことをずっと続けていれば手に余裕もできるもので、そのうちノルマの2倍の量はこなせるようになっていきます。すると、絵の技術を高めたくもなるものなんです。絵を描くことがどんどんおもしろくなり、「商品の平均レベルを超えてしまうほど、ほかから突出してしまう絵は描いてはいけない」と注意されるほどになりました。


絵つけに関しては焼きものをひとつずつ手に取って絵を描いていても、それでは間に合わないんですね。だから朝の7時に出社したら、まずは金版の上にノルマの量だけの焼きものをザーッと並べておくことにした。いちいち手に取る時間はないので、体ごと移動させながら筆を動かして描いていく。すると速度はかなりあがりました。
【覚書き|焼き物製造会社時代、毎日1200個の箸置きに絵付けをしていた当時を振り返っての発言】


会社では「夜間学校に通いながら仕事をしているなんて」と陰口を言われて、ほとんどお荷物のように思われていました。いじめというのか、器に絵を描くためのもとにする型版というものも、僕だけは貸してもらえなかった。教えてもらえる状況ではなく、古いですけど「仕事は見て盗むもの」で、要領も技術も、自分で工夫して何とか身につけていきました。


おそらく実際に同じような経験をした人にしかわからない世界なのですが、とにかく量をこなしては高熱が出るというプロセスを繰り返すうちに、何だかできるようになっている。そうして、まずは品質がどうとか技術がどうとか言う前に、仕事をするための体を手に入れるということが、こうした仕事にとっては必要だったように思います。


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