荒木飛呂彦の名言 一覧

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荒木飛呂彦のプロフィール

荒木飛呂彦、あらき・ひろひこ。日本の漫画家。宮城県出身。宮城教育大学中退、仙台デザイン専門学校卒業。高校時代から漫画雑誌に作品を投稿。仙台デザイン専門学校在学中に『武装ポーカー』で手塚賞に準入選しデビュー。代表作『ジョジョの奇妙な冒険』は20年を超える長期連載になった。

自分も若いころは、読者アンケートの票数にライバル心を抱くことはありました。だけど、人を倒したいなんて思っても駄目なんですよね。そのうち徹夜で締め切りに追い詰められると、そんなことは言っていられなくなって、結局、自分との戦いになるんです。むしろ、他の作家さんたちを尊敬するスタンスでやっている方が、いい漫画を描けるような気がします。


これは批判でいうのではないけれど、いまの漫画も、新しい表現を開拓してほしいなと思います。ヒットした先行作品の要素を寄せ集めたら売れるに決まっている、というのではなくて。僕も漫画や映画作品について分類や分析をしますけど、その基準も「売れたから」ではなくて、あくまで「自分が面白いと感じたかどうか」だけですから。


少年漫画には、普通はこうしてねと言われるルールがいくつもあります。外国人は出さない、女の主人公は出さないとか。でも僕はわざと反発したわけではなくて、自分なりのセオリーに従って漫画を描いていたらそうなりました。


20歳でデビューしてから、ジャンプの編集部には、絶対にマネするな、先輩の足跡を踏むな、と言われ続けたんです。


手塚賞っていう、わりといい賞でデビューしたんですが、「勝負はこれからだ」とクギを刺されて全然チヤホヤされませんでした。けっこう虐げられていた気がするな。でも、それがよかった。チヤホヤされたらすぐにダメになってたでしょうから。


アイデアを出すことについても、自分との戦いなんです。僕は漫画で謎を追っているつもりなんですけど、アイデア、つまり僕の中では「謎」というものはなくならないものなんです。世界に未開拓地がなくなったように見えても、歴史や人間の内面に新しい謎はいくらでもあって、こちらが描きたいとさえ強く思えばアイデアは出てくるはずなんです。だから、むしろ怖いのは表現意欲がなくなることです。つまり、やはり自分自身に勝たなければならないんですよね。


鳥山明先生みたいに「あの漫画だ!」とサッとわかる絵を描きたかったんですけど、自分の中では全然できていなくて。個性的で、しかも他にない新しい絵を求めて悩んでいましたが、『ジョジョ』の第一部が始まる前かな、イタリア旅行に出かけたのが大きかったんです。イタリアの美術の実物って、彫刻でも絵画でも、写真で見るよりずっとすごいんですよ。作品が醸し出す雰囲気、飾られている現場を支配する迫力。建物も、歩いても歩いても近づいてこなくて、遠近感がわからなくなる騙し絵みたいで、すごくいいんです。こういうものは日本の漫画にはないし、これを漫画にすれば、日本にも欧米にもなかったものになるのでは、と目指すものが見つけられたような気がしました。


漫画を描いていてよく考えるのは……平和を描くと絶対につまらなくなるということ。漫画で戦いがないとつまらなくなるということは、現実の世界に平和が実現していても、人間は何らかの形で日常に戦いを組み込まなければやっていられないのではないか、とは感じるんです。やっぱり、戦いって常にあるもので、否定したらいけないんだろうなぁとは思います。そこから問題になるのは何とどのように戦うのかで、恨みを残さない、誰かを悲しませない、そういう戦い方が要るんです。


週刊連載で鍛えられたのは、一週間分、19ページで読者にひとつのアイデアを伝えるというコツかな。たくさん詰めても読者にはわからない漫画になってしまうから、ひとつでいい、と若いころに編集者に言われてから、いまでも月刊でも大きい見せ場は1回にひとつです。最後のページではさらに人物や状況がパワーアップして「……どうなるんだ?」と引っ張るのが、基本ですね。人間賛歌やルネサンスをテーマにしているので、生命力のある線で絵を描くことは相当意識しています。


仕事は午前11時から午後11時までです。朝は仕事場に行く2時間前には起きて、腕立て、腹筋、スクワットをしたり、それなりに時間をかけて準備をしてから出かけるようにしています。座っている姿勢でいる時間が圧倒的に長い仕事ですから、体を動かしてからじゃないと腕が動かなくて……。


漫画の週刊連載というのは、若くないとできないのかなとは思います。今週の疲れを取らなきゃ来週に行けないんですけど、疲れはどんどん溜まってくるので。だから、漫画の長期連載には体調管理が必要なんです。それで、いまでもそのときの習慣で、毎週、生活のリズムは常に一定に保っているんですよ。


週刊漫画って、一回描いたらリセットできないんですよ。今週、登場人物が右手を怪我したら、うわ、左手にしなきゃ駄目だったんだ、と気づいてもそのまま進めなければならない。はじめはそういう週刊特有の進行がすごく嫌だったんだけど、そのうち、それはそれで味がある、と捉えるようにもなりました。


それぞれ連載を始める前にある程度はストーリーを考えておくんです。テーマも、バーンと打ち出している「人間賛歌」であるとか、「敵も味方も、肯定的にものを考える人しか出さない」であるとかいう、軸として追う部分は揺るがないようにしています。でも、肉付けの細かい部分については、事前に決めつけすぎると、たとえば来週の読者とか、今年の時代の空気みたいな目の前にあるものとズレてきてしまうし、連載をしているうちに、どうしても自分ではコントロールできないところが出てくるんです。だから、日記やジャズのようなものだと納得するしかなかったんです。


僕にとって、漫画を描くということは日記を書くみたいなものなんです。ジョジョって、すごく構築した作品だとよく思われているんですけど、自分の中ではそのときその場で考えたことをアドリブで描くジャズみたいなもので、ちょっと間違えてもその現場の一回限りの録音ならではの味が出ていたら面白いんじゃないの、という考え方でやっているんです。そういう感覚になったのは、週刊連載をずっとやっていたからでしょうね。


少年ジャンプに持ち込みの電話をして、出たのがたまたま初代担当の椛島さんという方でした。彼の影響がなければいまのような漫画は描いていないんですよ。彼がずっと「ジャンプでマイナーをやろう」と鼓舞してくれていましたから。「メジャー誌にマイナーが載ってるから面白いんだよ!」と。それで自由にやれたんです。


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