秋元久雄の名言 一覧

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秋元久雄のプロフィール

秋元久雄、あきもと・ひさお。日本の経営者。住宅メーカー「平成建設」創業者。静岡県出身。高校卒業後、自衛隊入隊を経て拓殖大学経済学部に入学。大学を中退し大都リッチランド、殖産住宅相互でトップ営業マンとなる。その後独立し平成建設を設立。同社は大工を育てる経営を行い、不況に喘ぐ建設業界で右肩上がりの成長を続けた。著書に『高学歴大工集団』ほか。

待遇のよさだけでは人は来ないよ。人はみんな基本的に、自分に合っていて、自らの力を伸ばせる仕事を探しているものなの。だってスキルアップを感じられる仕事のほうが、やってて楽しいからね。


僕は平成建設は、自動車業界で言えばトヨタではなくポルシェにしたいと思っている。つまり、お客さんのターゲットを絞るということ。


社長の仕事は、会社の幹を作ること。その幹を太くしたり、枝葉を茂らせるのは社員の仕事。そのためには、社員がいちいち社長の顔色をうかがわなくても、自分の思いと考えで動ける組織にすることが大事だよね。


うちの会社では春と秋の2回、社長である僕の査定も行なっている。会社をどんな方向に持っていくか、長期ビジョンを示すのは社長の大事な仕事だから僕が決めているよ。でもそのほかの部分については、社員の意思を反映しながら会社を動かしていきたい。そう思って主任以上の社員による社長の査定を始めたわけ。査定項目は「社長としてみんなを引っぱっているか」や「採算をもう少し考えて欲しい」など、35項目からなっていて、社員は自由記述もできるようになっている。ちなみに僕自身は部下の査定は行なっていない。だから部下は自分が何を書いても自分の査定に跳ね返ってくることはないから、結構みんな正直にコメントを書いてくるわけ。経営の参考にさせてもらっています。


社員を主役にするための仕組みとして取り入れたのがチーフリーダー投票制度。これは営業部長や設計部長といった各部門のトップを、年に1回その部に所属する社員が投票で決めるというもの。つまり自分の上司を自分たちで決めるわけ。部下にとって、考え方も合わなければ尊敬もできない上司の下で働くことほどつまらないことはないじゃん。でも投票制度にすれば、「何でこんな人が俺の上司なんだ」という不満はなくなるよね。自分たちで選んだ上司なんだから、その人の下で納得して働ける。また選ばれたほうだって、部下からの信任を得ているわけだから、安心してリーダーシップを発揮することができるよね。しかも年に1回の改選だから、「サボっていたら次は役職を失うかもしれない」という緊張感もある。


僕は平成建設を「社員やお客さんが主役」の会社にしたいと思っている。現実には社員やお客さんよりも、株主や経営者を優先している会社のほうが多いよね。とくにアングロサクソン型の経営が日本に入ってからは、株主が一番で、経営者は株主の意向に従って経営を行ない、社員やお客さんは株主や経営者が利益を得るための手段になっている。これじゃ社員もお客さんも幸せになれない。僕はこれをひっくり返したいと考えている。


こちらの言葉に耳を傾けようとせずに、無理難題を押しつけてくるだけのお客さんの仕事は、こっちから断りなさいと僕は言っている。営業マンが苦労するだけでなく、設計士も大工も施工職もみんなが苦労することになるからね。お客さんが喜びを味わえるとともに、働く人の成長につながってこその仕事だからね。


僕がお客さんにお願いしているのは、「お客さんも一緒になって、長い目で目でうちの社員を育ててください」ということ。マニュアルを持たずにゼロからお客さんと話し合いながら家づくりをしていくわけだから、当然社員とお客さんの間で誤解やすれ違いもあれば、回り道もあるのよ。そうした家づくりの過程で起きるいろいろな出来事を、余裕をもって受け止めてくれるお客さんだとありがたいよね。そういうお客さんと仕事をすることで、社員は成長していくことができるからね。また仕事に対するやりがいと責任を感じることもできる。僕は、社員はお客さんに鍛えられて育つものだと思っているのよ。


うちも最初は静岡県の沼津から始まったけど、今では神奈川県や東京都にも事業所を広げることができた。売上げ的にも右肩上がりの成長を続けていて、創業以来25年連続で増収を継続している。でもだからといって需要の拡大に合わせて急に社員を増やしたら、会社はダメになるよね。能力だけではなくて、価値観が合った人を厳選して採用することが大切だから。それに一人の職人が一人前になるまでには、10年、20年かかるのがこの世界。無理やり促成栽培しようとしたって育つものではないから、育ったぶんしか売上げは上がらない。そこはもう辛抱強くやっていくしかない。


大手のハウスメーカーは数を売らなくてはいけないから、購買層の中でも層が厚いところに照準を定めているよね。そして利益を確保するために、徹底的な工業化によってコストダウンを図っている。もしうちがそれに対抗しようと思ったなら、価格競争になるから、大手と同じように工程をマニュアル化するしかないよね。でもそれは僕が一番やりたくないこと。だからうちは大手と同じ土俵では闘おうとしないわけよ。富裕層はいつの時代にもそんなには多くないけど、常に一定層は存在している。その一定層を相手にビジネスを展開するというのがうちの戦略。だから価格競争に巻き込まれないで済んでいる。品質の良さで勝負できるわけだ。


工程のほとんどすべてを内製化して、ゼロから職人を育てるような手間がかかることは、大手の会社は絶対にやろうとしない。また育成コストがかかるので、中小企業も簡単には真似できない。すると組織の中でロボットや歯車として働くことに疑問を感じていて、本物の大工や職人になりたいという思いを持った若者が、自分の希望を実現できそうな会社はうちしかないわけ。だから意欲のある人材が集まってくる。これがうちの一番の強みだよね。


会社を創業する前には、建設業界の知り合いの社長何人かに「職人を自前で育てる会社を作りたい」という話をしたんだけど、みんなが反対したね。経営効率を上げるためには、外注が不可欠であるというのが業界の常識だから。「職人を社員として雇うと、仕事がないときでも給料を払わなくてはいけないんだよ。人件費はどうするんだよ」と言われた。でも僕は外注にだって無駄が多いことを知っていた。いろいろな業者が関われば関わるほど、打ち合わせや調整に手間がかかるから工期が長くなる。すると管理コストがかさんでいく。けれども内製化すれば、打ち合わせや調整が社内でできるから手間もかからないわけだよね。それに資材の転用率を上げるなど、そのほかの部分で効率化を図っていくこともできる。だから僕はすべてを内製化しても、利益を確保することは十分に可能だと思っていた。


うちでは一人の人間がさまざまな工程を自分で行なえる多能工を育てることにしたのね。だってあんまり細かく分業化されてしまったら、職人は「これは自分が手がけた仕事なんだ」という実感が持てなくなるよね。仕事に対する誇りもなくなるし、全体の工程を見る目も養えなくなる。だから職人を多能工に育てるのは、すごく大切なことなのよ。


今の建設業界は、職人を育てるという意識がほとんどなくなっているのよ。一番の問題は、大工が減っていることなんだわ。大工をやっている人のうち、一番多いのは50代で、次が60代前半と40代後半。若い人で大工になりたいという人が激減している。このままでは、日本から大工という職業がなくなるときがくるよね。でもこうした事態は、業界が自ら招いたことなんだよ。だって大工になっても、所詮ハウスメーカーや工務店の下請けでしょう。しかも工業化や規格化が進められた結果、たいした技術がなくてもできる仕事ばかり。これじゃ若い人が大工に魅力を感じないのは当たり前だよね。


うちの会社では、社員をマニュアルで縛るようなことは絶対にしない。うちが目指しているのは、高級和風住宅の分野を中心に、建設業界の中で日本一の職人集団になること。大工なら大工の世界で、日本の上位100人のうち半分は、うちの会社の社員で占めるようになりたいと思っている。


いまの時代の会社はマニュアルを作って、「この通りにやりなさい」と従業員に押しつける。マニュアル化すれば効率化が図れるから、ローコストでの経営は実現できるよね。また派遣社員やアルバイトでもできる仕事になるから、人件費も抑えることができる。経営者にとっては旨みのあるビジネスだね。でもそれって「働く人にとっては幸せなんだろうか」って思うわけよ。マニュアル化というのは、決められた通りに動くロボットになれってことでしょ。そんな仕事、楽しくないよね。しかも単純労働だから給料も低い。経営者は儲かって幸せかもしれないけど、従業員は全然幸せではないよね。


営業マンとしてハウスメーカーや地元ゼネコンに勤めていた頃、僕はトップ営業マンだったから、仕事を取ってくることはいくらでもできた。でもそのうち「この仕事を取ってきたのはいいんだけど、図面を描く人や施工する人にとってはおもしろい仕事なのかな」って思うようになったわけよ。やっぱり挑戦しがいのある仕事のほうが、彼らもおもしろがって仕事に取り組んでくれるからね。そして難度の高い仕事にチャレンジしているうちに、彼らの腕も上がっていく。するとお客さんに対しても、質の高いものを提供できるようになるよね。つまり働く人も楽しいし、お客さんのためにもなる。本来仕事はそうじゃないとね。


スポーツ選手だって、自己記録を更新するのがうれしいわけだよね。はた目で見れば平凡な記録だったとしても、自分の記録を超えられたことが励みになる。それでつらい練習も頑張ることができるわけだよ。だから意欲の高い人材に来てほしかったら、「ここだったら自分の力を伸ばせそうだ」と、若い人に未来を感じさせられる会社にならないとダメだね。


「信用」を勝ち得た段階で、初めてお客さまにとって「本当に必要とされる営業マン」になれるのだ。その結果、「結婚する娘の家を建てたい」「別荘がほしい」などといった、リピート仕事の好循環へつながっていく。


信用される営業マンの共通点に「お客さまの話をよく聞く」ということがある。自分の話を聞いてもらうことでお客さまは満足し、「この営業マンは自分のよき理解者だ」と思い始め、こちらの提案にも耳を貸してくれるようになる。だから足繁く通うのだ。


お客さまの信頼を得ようとして、要望を何でも聞き入れようとする営業マンをたまに見かけるが、私にいわせると間違いだ。人間の能力には限界がある。やがてその限界に達してギブアップした途端、お客さまは「私の信頼を裏切った」と不満を抱き、商談も破談になってしまう。だから、私は細かい設計変更の要望を受けても、設計の素人であるし、安請け合いしなかった。正直に「わかりません」と話して、次回訪問する際に設計者に同行してもらい、「できる」「できない」をはっきりさせた。実はそうしていくことでお客さまに誠実さが認められ、「信頼のおける営業マン」から「より深い信頼を得た営業マン」へ昇華するのだ。


私は、担当エリアの経営者、開業医といった所得の高い人や、大地主などの富裕層をターゲットに据えた飛び込み営業に徹した。経験上、とくに地方では上位5%の地主が、その地域の土地のおよそ50%を所有していることが多い。彼らはお金持ちで、成約できれば1件当たりの売上は、標準モデルの住宅を売ったときの何倍にもなる。


最もレベルの低い営業はお客さまに「ウチの商品はこんなに素晴らしいので、ぜひ買ってください」と、一方的に売り込む営業だということだ。お客さまにしたらうるさいだけで、門前払いされてしまう。


何でもかんでも費用対効果で考えて「安価な材料で安価に作って安価に売る安易な商売」はもう限界だと思うよ。そういう会社の商品は買ってる方も売ってる方も貧乏になる。経営者だって数千億円の資産があるっていったって本人に実感ないよ。ほとんど株で、お金を使う時間もない。忙しくて、立派な家があっても住めないんだから。


日本人が頭を使わなくなった原因は、スマホも影響してると思う。四六時中、みんな同じ思考回路で同じ情報を入手してるでしょ。人と違う情報を入手して違う考え方をして、常に世間を反面教師にするぐらいでないと成熟市場では事業もスキルも伸びないのにね。


安易な商売をしている会社はとにかくマニュアル主義で、社員に頭を使わせない仕組みを作るでしょ。せっかく神様が唯一人間だけを「頭を使える動物」にしてくれたのに、知恵を働かせないと「人間に使われる人間」になるしかない。


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