福澤武の名言 一覧

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福澤武のプロフィール

福澤武、ふくざわ・たけし。三菱地所会長。慶應義塾大学法学部を卒業後、三菱地所に入社。営業部長、取締役などを経て社長・会長。福沢諭吉のひ孫に当たる人物。

いつもどこかにクレーンが立っている街は活力があります。欧州のように街並みが完成されて手が付けられないところは鑑賞物としてはいいですが、活力は生まれないし、デベロッパーのノウハウも錆びついてしまいます。芸術性と機能性をいかに調和させるか、これからの街づくりの課題です。


当社が丸の内の再開発を始めたころ、副都心が次々にできたため、それが驚異にならないかとよく質問されました。それに対して私は「各所にいい街ができれば東京のパワーが高まるのでいいことだ」とお話ししました。


旧来のやり方を墨守するだけでは時代に合わなくなる。


世の中、これだけ変化しているのだから企業も変わらなくてはいけません。社長時代には、社内でも意識改革が必要だと話してきました。これが三菱地所のやり方だと言っていては駄目なのです。


意識改革を進めるために、外部の血を入れることにしました。いまから10年ほど前に人事構成のゆがみを正すため10人ほど中途採用し、これが成功を収めた経験があったからです。異文化が入ったことで、純粋培養でやってきた社員が大いに刺激を受けたのです。その後、頻繁に中途採用をするようになりました。


いま力を入れている丸の内の再開発事業は、当社にとってもちろん重要ですが、それ以上に日本にとって大事なことです。日本の中の東京ではなく、世界の中の東京と認められなくてはいけません。丸の内カフェをひとつのきっかけにして、社内でも新しいことをやりたいということが出てきました。


日本は人口が減っていき、不動産業が衰退するかのような意見がありますが、まったく違いますね。やることはいくらでもある。人間は宙に浮いて活動できないでしょう。働く、住む、勉強する、憩う、行楽する。人間が活動するところは全部不動産です。特に街づくりは文化の継承という点で非常に大切な役割を担っていきます。今の日本は、野山を切り開いて、新たに開発する必要はありません。問題は、すでにある街をどう再生するかです。


三菱地所は街づくりを仕事としています。仏教に「衆生の善根を開発する」という言葉があるそうで、開発は「カイホツ」と読む。生きとし生けるものが本来備え持っている特性を開いて発揮させることがカイホツだそうです。これは三菱地所が行っている開発とぴったりです。


「エゴイストになれ」。これは療養所の先輩に言われた言葉で、今もよく覚えています。親に迷惑をかけているなんて思わずに、とにかく病気を治すことだけに専念しろ。あれこれ悩むのではなく無神経なエゴイストになって、自分のことだけ考えろ、という意味です。それで救われたというほど、事は単純ではないのですが、この言葉は心に突き刺さりました。「他人は他人、自分は自分」と割り切ることも大事だと納得しました。


ほんの10年ほど前まで、当社の貸しビルに入っている店舗はすべて同じような入口で、看板も規制していました。どんな外壁にするか店舗に選択の自由を認めず、内装も控えめにと言っていました。外壁はいまは、いろいろな色やデザインになっています。社内の意識改革が進んで、丸の内のオフィス街は活性化してきました。


20世紀の後半、日本は経済的に成功して、日本的システムが構築されました。それでいい気になってしまいました。バブルがはじけ、グローバリゼーションの波が押し寄せて初めて「世界」に気が付いたのではないでしょうか。それまでありえなかった金融機関の破たんが起きた1997年秋を機に、社会的大変動が起こったと見ています。このときに日本の戦後体制が決定的に崩壊したのだと思います。


現在は、明治維新のときの第一の開国、敗戦時の第二の開国に続く、第三の開国期であると、慶應義塾大学の石川忠雄元塾長から聞いたことがあります。石川氏は「第一、第二の開国のときには、誰の目にも世の中が大きく変わっていることが明らかで、日本国民はある程度危機感を持つことができた。しかし第三の開国期は、世の中がものすごく変化しつつあるのだけれど、はっきり目に見えない。日本はもうひとつ危機感が足りないように思える」と話されました。


あらゆる生き物の中で、歴史や文化を形作っていく力を持つのは我々人類だけです。それぞれの街の文化、歴史というものを後世に残しつつ、時代にふさわしい形に組み替え、新たな息吹を与えることこそが、現代における真の開発ではないでしょうか。


一昔前、開発といえば、野山を切り開き、新たな都市をつくることを意味しました。しかし、その段階を過ぎ、成熟期を迎えた国に必要なのは、都市を再生させるということ。すなわち、その街で活動する人々が、それぞれの持つ能力をいかんなく発揮し、充実した毎日を送れる手助けをすることなのです。


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