町村敬貴の名言 一覧

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町村敬貴のプロフィール

町村敬貴、まちむら・ひろたか。明治生まれの農場経営者、国会議員。北海道出身。札幌農学校(のちの北海道大学)を卒業後、米国に留学し10年間現地の牧場で働き、米国の最新酪農について学ぶ。滞米中にウィスコンシン州立農科大学を卒業。その後帰国し、江別に近代的な牧場を開き、北海道酪農の振興に務めた人物。同牧場は北海道の牧場のモデルケースとなり、多くの牧場に影響を与えた。貴族院、衆議院議員も務めた人物。

米国人の牧夫は体格も立派で馬力もあるし、手も熊手のように大きく指も太い。もちろんそのころはトラクターや便利な農機具などはないからすべて肉体労働だ。なにくそ、負けてなるものか。私は彼らに伍して激しい労働の真っただ中に飛び込んだ。とくに外国人、いやその村の唯一の日本人だけに、むしろ辛い仕事をかってでた。
【覚書き|牧場経営を学ぶために米国の牧場で働いていた時期を振り返っての発言】


弟の金五(北海道知事)と18歳も開きがあるが、金五の方が兄に見えるらしく、しばしば間違えられる。「兄貴は好きなことばかりやってきたから歳をとらないのだ。知事ともなると、八方から攻められて、自然としわが増える」と、弟はときどきくさる。


仕事は本当につらかったが、気持ちは苦しくなく、むしろ愉快だった。俺はこういう苦労をしにわざわざ米国にやってきたのだ、という信念があったからである。
【覚書き|牧場経営を学ぶために米国の牧場で働いていた時期を振り返っての発言】


年配の経験者の話が一番役に立つ。これが私の体得した勉強法だった。主人の知識はどんらんに学び取ったかわりに、私は主人の命令なら二つ返事で一切引き受けた。最後には「自分を米国のパパと思え」と言ってくれるようになり、親子の愛情と変わらぬようになってしまった。
【覚書き|牧場経営を学ぶために米国の牧場で働いていた時期を振り返っての発言】


私は米国の牧場で働くのは金のためではない、牛の知識さえ吸収すればよい、そのためにはどんな苦労でもするという気持ちだったが、この気持ちが次第に主人に通じてきた。だから私が根ほり葉ほり聞いても、親切によく教えてくれた。
【覚書き|牧場経営を学ぶために米国の牧場で働いていた時期を振り返っての発言】


はたしてここで牧場を経営しても成功するかどうか皆目わからない。ずいぶん乱暴なことをしたものだが、私は私なりに肚が座っていた。十年間米国で学んできたものがバック・ボーンになって、自信と勇気があれば必ずできると考えていた。


泥炭地での牧場経営は、私だからできたのだと思う。私には十年間の米国での知識があり、国内だけの知識だったら必ず失敗しただろう。


土地は土とはいえない泥炭地、札幌の人たちは「あんなところで牧場ができるものかな」と危ぶんだ。しかし、私には米国でなんでもやってのけてきた自信と勇気がある。理想の土地ではないとしても、とにかく牧場つくりにとりかかった。牧場は米国式の徹底した放牧式にした。そのころでは、北海道で放牧式の経営をすることは難しかった。いろいろ苦労もあったが、牧場に牛を放したことが意外に成功、仕事はどうやら軌道に乗ってきた。


20世紀初めごろの米国の農村もまだまだ素朴でのんびりしていた。娯楽といえばたまに小学校でダンスパーティーが開かれる程度。ところがパーティーに出席しても、私は女性と交際しようとせず、若いくせにもっぱら老人の仲間に入った。老人の体験談が一番役に立つからで、老人から畜産、酪農の話を聞いて勉強した。


私はやはり若い人たちに期待したい。私の単調な履歴をあえて紹介した目的のひとつは、若い人たちに読んでもらいたい。私の人生を参考に何かを汲み取っていただきたいからだった。とくに農村の若い人たちには、農業の機械化が進むといっても、精神を置き去りにした農業は成功しないことを伝えておきたい。


札幌農学校(のちの北大農学部)に入学した私は、牧場の近所の一間を借り、朝と晩、つまり登校前と帰宅後は必ず乳搾りをした。普通の学生なら学校の近所に下宿、始業ギリギリまで寝ているものだが、私の生活は牛中心主義だった。


私は一介の牛飼いである。世間から見れば変わり者の一生かもしれない。しかし私は自分の履歴を悔いない。私は毎日、牧場で若者たちと一緒に働いているが、とにかく牛と接すると気分が爽やかになるのだ。この気分の爽やかになるというのは、昔の武芸で奥義に達したということに通ずるものがあると思う。牛に接したときの気持ちは、私の81歳の全生涯を通した結果なのである。


よい牛をつくるには、牛の好む草をたっぷり与えなければならない。そのよい草はよい土壌に育つというのが、私の「米国で学んだ心理」だ。つまり、牛、草、土の三位一体というのが酪農本来のあり方である。


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