犬伏泰夫の名言 一覧

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犬伏泰夫のプロフィール

犬伏泰夫、いぬぶし・やすお。日本の経営者。神戸製鋼社長。徳島県出身。大阪大学経済学部経済学科卒業後、神戸製鋼所に入社。海外事業企画部長、営業総括部長、ニューヨーク駐在8年、取締役、営業総括部長、常務(人事労政部、経営企画部の総括ならびに法務部、財務部担当)、専務(鉄鋼部門営業本部長ならびに社長特命事項担当)、副社長(鉄鋼部門長)などを経て社長に就任。

あらゆる交渉というものは、お互いの立場を尊重しながら誠意を尽くすことが基本となります。ディベートカや交渉術といったノウハウ的なものを否定はしませんが、それがあれば勝てるといったものではないように思います。


やむを得ず、納得してもらう前に行動に移す場合には、後追いでもいいから納得感を醸成すべきです。時間や手間がかかったとしても、最初に納得につなげた方が、結果的にはその後の展開がスピーディーに進むものです。


今の時代はスピードが最も重視されています。納得を得られるまで議論していては間に合わないという見方もあるでしょう。しかし、急いでいるあまり、「分からないやつは分からないんだ」と納得を置き去りにして進めてしまうのは良くないことです。


ビジネス上のやり取りや交渉はむしろ、それが終わった後の方が大事なことが多いのではないでしょうか。何となく不満だけれども交渉で負けたのだから仕方がないというのでは、相互の関係を長期的に継続させることは難しい。相手も自分も納得できるようなやり取りにしなければなりません。


「説得と納得は違うよ」。私はよくこう言ってきました。説得された側はその場のやり取りで負けたからついてくるのであって、納得しているわけではありません。これは交渉の成功を持続的に保証するものではないのです。


自分が通したいと思うことが10あって、相手も10持っているとします。自分の10がすべて通るというのは稀であって、通常は互いに3つずつ切り捨てて、7つずつを取るといったことになるわけです。ここでは物事の優先順位を常に考えながら、切り捨てるものを決める必要があります。交渉や折衝を成就させることが大事であり、「これを諦めてでも成立させる」といった判断が、やり取りの中では求められます。すべて満足がいくような完封勝利などは滅多にありませんから。


交渉と言うと少し大げさになりますが、私たちは日々、人と人とのやり取りや関わり合いの中にいます。その際私が常に心がけるべきだと考えているのは、たとえ双方の認識が異なっていても十分に意見を出し合うことです。胸襟を開いて、相手の話をまずは受け入れる。そして自分の考えもしっかりと述べるのです。


1980年代末、米鉄鋼大手USスチールとの合弁事業の交渉に、神戸製鋼所側のサブリーダーとして参加しました。当時、自社の技術力や設備に絶対の自信を持っていたUSスチールとの交渉は難航し、席を蹴ってみようかと思ったこともありました。それでも1年の間に日米間を28往復もしながら、こちらの主張を粘り強く伝え、相手の主張にも耳を傾けて議論を進めました。意見がぶつかり合ったときには、単に「ノー」と拒否するのではなく、「それはフェアだと思いますか」と繰り返し相手に問いました。そうしていくうちに隔たりは徐々に埋まり、最終的には合意に至りました。テーブルを挟んで交渉した先方の幹部とは、その後も長く親交が続いています。


今日のオンリーワンの地位を明日も維持するためには、大変な努力が必要です。研究開発や製造技術のレベルアップに力を入れ、「ものづくり力」を強化し続けなければなりません。


我々は、他の追随を許さないオンリーワン製品を数多く持つ優良企業を目指して、日夜努力していくことが重要だと考えています。


我々は昔から、鉄鋼をはじめ、アルミ、銅、機械エンジニアリング、電子材料など、いずれの製品においても、お客様と一緒になって明日に望まれる素材や製品を先取りして開発し、提案してきました。そうしたお客様との親密な関係があるから、世界のトップシェアを誇るオンリーワン製品を数多く生み出せたのです。お客様との密なる関係こそ、我々の財産です。


新興企業は新しい製造設備を持つため、製品の質も高いと思われがちですが、そうとは限りません。高い品質の製品を安定的に生産するため、我々は製造設備に数々の改良を加えています。そのノウハウは、長年の蓄積から生み出されたものです。


日本の製造業が、素材メーカーに求めるレベルは非常に高いものがあります。たとえば、単に硬いだけ、あるいは柔らかいだけの鋼(はがね)をつくることは難しくありません。ところが、硬くて柔らかい鋼となると難しいのです。自動車のボディでは加工しやすいように柔らかさが求められる一方で、衝突時の衝撃を守る硬さも必要です。こうした高機能な鉄鋼製品をつくれるのは、日本だけです。


現在、日本の鉄鋼業が好調なのは、お客様である日本の製造業が世界で存在感を高めたことが影響しています。それに対応して、鉄鋼各社も価格競争が激しい汎用品ではなくハイエンド品の比重を高めてきました。


90年代にはデフレの影響もあって鉄鋼会社は人、設備、債務の3つの過剰を抱える構造不況の代表業種とされました。しかしその間、各社は自分たちの強みを生かすため、事業の選択と集中を進めてきました。これらの過程では大変な痛みを伴いましたが、そのプロセスが終わりかけたころ、鉄鋼の世界的な需要が拡大するという追い風が吹きました。


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