熊本昌弘の名言 一覧

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熊本昌弘のプロフィール

熊本昌弘、くまもと・まさひろ。日本の経営者。神戸製鋼社長・会長。大阪府出身。東北大学法学部を卒業後、神戸製鋼に入社。阪神淡路大震災、アジア通貨危機などを乗り越え同社の経営を行った。日本建設機械工業会長なども務めた人物

もし、多角化の道を諦めていたら、いまの神戸製鋼はありません。当社の重要な柱になっているアルミやチタンだってもともとは多角化事業でした。もちろん、半導体事業から撤退するなど、辛酸もなめています。ですが、このときの経験は私たちの大切な製品のひとつである液晶のターゲット材への進出に生かされています。


阪神淡路大震災のとき副社長として復興の指揮を執ることになった私は、「これはひとつ間違えると神戸製鋼がつぶれるかもしれない」と感じ、まず社員と家族の人命救助を優先し、次に神戸製鋼はなにがあっても神戸を離れない、製鉄をやめないという方針を矢継ぎ早に打ち出しました。会社は自分たちを見捨てないという安心感が社員に広がり、命令もしていないのに多くの社員が休日に会社に出てきて復旧作業に汗を流してくれました。もし経営トップの方針がぐらついていたら、平日でも社員は会社に出てこなかったかもしれません。


生の情報を得て自分で判断するのは大変です。しかし、企業のトップにとって、これが最も大切な能力です。東西貿易の情報を独占して巨利を手にした東インド会社や、徹底的な情報収集で勝利を収めた日論戦争、楽市楽座を開いて全国の情報を集めた織田信長の例を出すまでもないでしょう。


日本人は、情報に対する意識が乏しい気がします。技術情報を安易に海外に出し過ぎです。技術立国を目指さなければならない日本は、情報をもっと大切にすべきでしょう。


阪神淡路大震災で、ひとつ大切なことを学びました。生の情報をきちんとトップに上げさせることです。危機に直面してトップに判断材料がないのが、最も危ない。ここで、「生煮えの情報なんて持ってくるな。対策も持ってこい」なんて部下を怒鳴ったらおしまいです。もう情報は上がってきません。


本業を守ることは大切ですが、それと同じように新しい分野に挑戦することも重要だと思います。それぞれの技術は、他の技術と関連していて連続性があります。製品だけを見れば、まったく関係ないような技術でも、実はつながっているケースは多々あります。それに、自分たちのキーテクノロジーを基に常に新しい分野へ挑戦していくことは、社員のやる気を引き出す効果も大きいと思います。企業は結局、社員のやる気に支えられているのです。


日本の製鉄業が強さを確保し続けていられるのも、私たちが苦しいときに頑張ったおかげだと思っています。私の社長、会長時代、証券アナリストや新聞記者から、「本業一本に絞って経営資源を集中させろ」とか、「多角化は間違っている。武士の商法が成功するはずはない」などと、ひどい言われ方をされました。しかし、私は自分の意思を決して曲げませんでした。


確かに過去には苦しい時代がありました。しかし、どんな産業にだってあるものでしょう。人生だって、苦もあれば楽もあります。苦しいときに何をしてきたかが大切なのです。


製鉄業というと、成熟産業だと思っている人が少ないようです。しかし、それは全く違います。エレクトロニクスでも自動車でも、新しい技術革新を支えているのは素材です。


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