横田雅俊の名言 一覧

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横田雅俊のプロフィール

横田雅俊、よこた・まさとし。日本の経営コンサルタント。設計士として働いたのち、外資系ISO審査機関で営業職を経験。同社の世界8カ国2300人の営業マンの中で最年少最短最高記録を更新しトップセールスマンとなる。その後独立し、営業指導に特化したコンサルティング会社、ガーナ―プロダクトを設立。主な著書に『諦めない営業』『営業は感情移入』

育成を諦めた上司の下で、周囲にロールモデルも存在しない状態で人が育つのは難しい。


トップセールスが開眼した5つのきっかけ

  1. 上司、先輩の一言・サポートがきっかけとなった。
  2. 実際に一件売ってみて初めて気づいたり見えたりしたものがきっかけとなった。
  3. お客様の言葉。お客さんから怒られたり褒められたりしたことがきっかけとなった。
  4. 本や雑誌の言葉がきっかけとなった。
  5. 失敗や挫折への反発。なにくそという思いがきっかけとなった。

尊敬していない相手から何を言われても心には響かない。やはり「あんなふうになりたい」「10年後、自分はこういうふうになっていたらすごい」と思える相手でなければ意味がない。大事なことは、誰から言われるかであり、何を言われるかは二の次なのだ。


飛び込みやテレアポによって数を稼いで売らせるという方法では、ぜんぜん能力がなくてもタイミングがよければ売れることがある。すると、経験が生きないのですぐにまた売れなくなる。タイミングが合わない場合は、潜在的に力があっても、それを発揮できずに「売れない営業マン」のレッテルを貼られてしまうこともある。


失敗や挫折のときに営業マンを切り捨てない組織は強い。現実には売れない営業マンをどんどん捨てていく会社もあるが、結局は、ある程度挫折した人を拾っていけるような組織の方が強い。


お金のインセンティブ(報奨)はまったく効果がない。100万円くらい出すなら話は別だが、達成したら数万円と言うレベルのインセンティブは、ほとんど効果がない。若い営業マンは、意外に頭がよくて冷めている。極端に言うと「売ったらインセンティブくれるなんて当たり前でしょ」という思いがある。だから、お金以外のインセンティブによって「売りたい!」と思うように仕向けないと駄目だ。


営業の現場では「売りたい」と思っている人は意外なほど少ない。もちろんノルマが達成できるくらいは売りたいと思っているが、「一番になりたい」「ダントツの成績をあげたい」と念じているような人はほとんどいない。最近は、一番になることよりも趣味の方が大事だと公言する営業マンも少なくない。そういう人たちを、一番になりたいと思うように開眼させていくのが何よりも大切だといっていい。


お客さんに「ありがとう」と言われる。営業マンによっては、そのときに何も感じない人もいるが、これをきっかけに仕事への取り組み方を変えて、トップセールスに駆け上がる人もいる。では何が違うのだろうか。結局、自分ももっと売れるようになりたいと念じている営業マンでなければ感じることはできないのだ。


上司はよく「自分で考えて工夫しろ」という。しかし結果を見せずに「工夫しろ」では、できるはずがない。だから、まず結果を見せて、これを得るための工夫なのだということを最初に体験させる。そうすることで「こうやってみよう、ああやってみよう」というアイデアが生まれてくるのである。


営業マンに最初の一件目を売るのは個人の力ではなく、会社の力である。どうやって一件目を売らせるのか。それを体験させ学ばせるのも、マネジメントの力である。これは「とにかく飛び込みをしてこい!」というような意味の体験ではない。個人任せの属人的営業は完全に時代遅れだ。


最近は組織のフラット化が流行のようになっているが、営業に関しては、依然として「引っ張ってくれる上司」が必要なのだ。といっても、やみくもに熱意で引っ張るのではなく、ある程度リードしつつ、部下のいいところを巧みに弾きだすマネジメントである。


一口にトップセールスといってもタイプはいろいろで、ノリがよくて話がうまい人もいれば、口下手なのに成績は抜群という人もいる。あるいは徹底してロジックで攻める人、態度が大きくてお客さんと対等に口をきく豪傑もいる。だが、どんなスタイルの営業マンにも共通しているのが、意識が変化するきっかけがあったことだった。


一般に「営業マンはセンス」だといわれる。実際にスキルやセンスに優れた営業マンばかりを採用し、そうした人たちの力量によって販売を維持している会社は少なくない。だが、センスやテクニック以前に当人の意識が極めて大事だ。いままでやっていたことに対して「これじゃよくないな」と反省するようになったきっかけ、自分の意識を変える出来事があって、その意識に基づいて行動した結果成果が出る。


営業マンには売れ出すきっかけがある。そのことが今回、1000人のトップセールスマンを対象にしたアンケート調査から明らかになった。数多くのトップセールスと接してきた私の経験からいうと、どんなに優秀な人でも、入社後いきなり売上トップに立つということはありえない。同期入社組の成績は、最初の数カ月は横並びだが、一年ほどたつと、売れている人と売れていない人との差がはっきりしてくるという傾向にある。


顧客の財布は固く、積極果敢にアプローチしても、あっさりはね返されるケースがほとんどだろう。このとき早々に諦めて他の顧客を訪問すべきか、それとも断られても粘り強くアプローチを続けるべきか。効率性を考えると、見込みの薄い顧客にはさっさと見切りをつけて、他の顧客に時間や労力を注ぎ込んだ方がいいように思える。しかし、成熟市場においてその選択は不正解だ。


営業を長く楽しく続けるためには、顧客を資産としてとらえ、一社一社(一人一人)をロイヤルカスタマーに育てていく種まき型営業が欠かせない。長く続けることで資産が積みあがり、安定的に成果を出しやすくなる。そこで余裕ができれば、営業という仕事に、より前向きに取り組めるはずだ。


部下に成功体験を積ませることも効果的だ。ここでいう成功体験とは、大きな案件を受注することではない。必要なのは、プロセスの成功体験。アポが取れなかった顧客とようやく会えた、キーマンが不明だったのにヒアリングを通して判明したといった小さなプロセスを一歩前に進めた経験を積ませることで、部下に自信をつけさせていく。


部下の心に再び火をつけるには、上手くいかない原因は内部要因、自分の意志でコントロールが可能であるということに気付かせなくてはいけない。もちろん内部要因を意識させると言っても、お前が悪いと突き放すマネジメントでは部下を精神的に追い込むことになる。責任追及に陥らないように、一緒に解決策を考えていく姿勢が必要だ。


動機づけ別の営業担当の5つのタイプ

  1. 獲得 契約を取ることで達成感を得てやる気に転化させる。刈取り型営業で力を発揮するタイプなので、種まき型にシフトしつつある現在は目標を見失いがち。
  2. 成長 成長感によってやる気を高めていく。「どんどん成長しているな」という声かけが効果的。自分で成長を確認できるように、訪問件数や目標達成率などの各種指標を視覚化しておくといい。
  3. 評価 いわゆる褒めて伸びるタイプ。言葉によるインセンティブが最も効果的に働く。承認欲求が強いので、厳しい叱咤激励は逆効果になる恐れがある。
  4. 征服 難題を克服することに喜びを感じるタイプ。みんなが避けたがる顧客ほどチャレンジスピリットを持ってアプローチする。褒めるより叱咤激励のほうがやる気につながる場合が多い。
  5. 責任 仕事への責任感や組織へのロイヤリティが強く、部下を持ったり数字に責任を持つ立場になると力を発揮する。金銭より、地位やポストによる報酬でモチベートされやすい。

アプローチをすぐ諦めてしまう部下をモチベートするには、組織的な取り組みだけでなく、上司の個人的な働きがけも重要だ。ただし、こうすれば必ず部下はやる気を出すという万能の方法はない。一人一人やる気を感じるポイントが異なるので、それぞれに適した動機づけを考える必要がある。


成功体験を分析して、自分が上手くいった要因を言語化するのには、営業とは別のスキルや経験が必要になる。他の人が参考にできるような形でナレッジ(知識化した情報)を残せないのは、プロセスを分析してナレッジにしていく術がないからだ。その点をフォローするのもマネジャーの大事な役割だ。部下からヒアリングをして要因分析をしたり、ナレッジの共有を目的にした会議や勉強会を開くなどして、現場任せにしない工夫をしたいところだ。


部下の営業活動を的確に把握しようとすれば、目の行き届く人数はおのずと限られる。優秀なマネジャーでも、せいぜい5から6人が限度。それ以上の部下がいる場合は、5から6人単位のチームに分けて、それぞれのチームリーダーをフォローするといったやり方が最適だろう。


すぐに諦めてしまう部下たちを、「最近の若い社員は粘りが足りない」と切り捨てるのは簡単だ。ただ、いくら精神論を振りかざしても現場は変わらない。


大切なのは情報を集めて全体像を分析することだ。営業担当者個人にそれを任せるのはどうしても限界がある。マネジャーやマーケティング担当に情報を集約させて、競合との差別化ポイントを分析する仕組みを作った方がいいだろう。


差別化に必要な競合の情報は、どこから収集すればよいのか。最も確実な情報源は顧客である。法人営業は、そもそも顧客以外に情報を入手するルートが少ない。コンシューマー向けの場合は、競合商品を自分で購入したり、インターネット上のレビューを参考にすることも可能だが、競合情報を豊富に持っているのは、やはり問屋や小売店などの直接の取引先である。B2B(企業間取引)でもB2C(企業・個人間取引)でも、やはり頼りになるのは顧客からの競合情報だ。


プロセスを設計管理するときに注意してほしい点が二つある。

  1. プロセスにはアクションを必ず関連付ける。
    プロセス管理の目的は、現状を把握して、次にとるべき行動を明確にすることにある。たとえばヒアリングに入ったものの、何を聞いていいのかわからないという状況では、プロセスを管理する意味がない。プロセスごとに目的を明確化し、訪問前に具体的なトークの流れを準備しておくとよい。
  2. プロセスに日付をつける。
    自分の行動を日付とともに管理すると、そのプロセスに入ったのはいつか、いつからプロセスが進んでいないかが把握できる。前回訪問から三カ月も空いているからすぐに訪問というように、最優先でやるべきことが明確になる。

問題を解決するだけの提案なら誰でもできる。競合に真似されない提案をしたければ、問題をさらに掘り下げて、顧客自身もまだ気づいていない課題をつかみ、それを解決する提案を練る必要がある。これが本当のソリューション営業ではないだろうか。


将来買ってくれる可能性のある人すべてを見込み客ととらえて、アプローチ対象にすべきだ。顧客とは仕事を発注してくれる人という固定概念を取り払い、顧客というものを広くとらえる。それがターゲティングの第一歩になる。


個人の頑張りに依存した営業では、いずれどこかで息切れが起きて、アプローチの断念につがなってしまう。


市場の縮小が避けられない状況にいて、企業が生き残る道は三つある。

  1. 成長市場を求めて海外に進出すること。
  2. 革新的な商品開発による新市場の創出。
  3. 既存市場でロイヤルカスタマーを獲得し、その割合を高めていく。

案件ベースの単発的アプローチでキャッチできるのは、これに困っているという目に見えて分かりやすいニーズだ。そうしたニーズに対しては競合も同じような提案をしているため、結局は価格競争に巻き込まれてしまう。案件にこだわらずに顧客との関係を築いていけば、まだ明らかになっていない潜在的なニーズをいち早くつかみ、そのニーズを満たす的確な提案をすることが可能になる。それが競合との差別化になり、値引き不要で適正な対価を獲得できる。


私たちは毎年、300社の営業担当者上位10%と下位10%、各100人を対象にアンケート調査を実施している。その中で、ファーストアプローチ後に受注できなかったお客様に対して、どのくらいの期間、アプローチし続けますかという質問を投げかけたところ、売れない営業担当者は平均6カ月、トップセールスは平均25カ月。トップセールスは4.1倍も長くアプローチを続けていた。


顧客との関係性を築こうとすれば、数カ月で結果が出るものではない。すぐに結果につながらなくても、粘り強くアプローチを続けていく。それが好成績につながる。


成長できない市場環境下において、トップセールスはアプローチを継続することで着実に成果を残している。効率最優先の営業スタイルでは、厳しい時代を生き抜いてはいけない。いま求められているのは、顧客に粘り強くアプローチし続ける諦めない営業なのだ。


部下がアプローチを止めてしまったらどうすればいいのか。一度諦めた部下を立ち直らせるには、うまくいかない原因を特定して、改善が可能であることを示すことが大切だ。部下に諦めない営業を強いるのだから、上司も諦めないマネジメントで、部下を粘り強くフォローしていきたい。


種まき型営業(ロイヤルカスタマーを育てる営業)を浸透させたいなら、現場の担当者たちが目先の不安を感じなくて済むような評価制度に変える必要がある。目先の案件から顧客との関係性構築に目を向けさせるためには、顧客数による評価や、顧客からの声といった定性的情報による評価を組み込むことも必要になってくるだろう。大切なのは、成果主義の評価体系から、顧客重視でプロセス主義の評価体系に軸足を移すこと。それができてはじめて部下も種まきに精を出せるのだ。


部下の体験をナレッジ化(知識化)して横展開できる仕組みがある組織は、継続的アプローチの重要性やその方法論が比較的早く定着していく。逆に、ナレッジが個人の中にとどまっている組織は、新しい価値観や方法論がまわりに伝わりにくく、組織レベルではなかなか改革が進んでいかない。


欧米では、マネジャーが羊飼いに例えられることが多い。羊は目の前に柵が現れると、引き返したり回り道したりせず、ひたすら柵の前にたたずむ習性があるそうだ。自分では何も判断できなくなった羊たちを導くために羊飼いが存在する。営業マネジャーも同じ役割を担っていることを自覚すべきだろう。導いてこそ、部下は柵の向こう側へと進んでくれるのである。


そもそもクロージングとは、顧客に契約を迫って首を縦に振らせることではない。私たちは、クロージングを「顧客とスケジュールを共有し、リードしていくこと」と定義している。顧客は営業プロセスに関して時間の概念がない。そのままでは「またいずれ」が延々と続きかねないので、顧客との時間軸を共有して、それに沿ってアクションを起こすように促していく。そうすれば強引に契約を迫らなくても、商談は収まるところに収まっていく。これがクロージングの理想形だ。自分都合でクロージングをしてはいけないし、顧客任せでもプロセスは前に進まない。


自社のロイヤルカスタマーである顧客からは、比較的容易に競合情報を入手できる。「他からアプローチはありましたか?」と素直に質問すれば、たいていのことは教えてくれるだろう。自社のファンではない顧客の場合は、情報を積極的に開示する顧客と、まったく出さない顧客の両極端にわかれる。情報を出す顧客は、競合同士を競わせることが目的だ。


「うちも」「当社でも」が口癖になっている営業担当者は、おそらく提案段階で相当な苦労をしているはずだ。「うちも」というフレーズは自社の商品やサービスが競合と同格ということを案に伝えることになる。営業の場面で、これは逆効果。他社と同じことを理由に選ぶ顧客はいないので、あとは価格で勝負するしかなくなってしまう。顧客に伝えるべきは「うちも」ではなく、「うちは」「当社は」という差別化ポイントだ。


営業担当者の多くは、案件化した後の受注プロセスを熟知している。むしろ管理が必要なのは、案件化する前のアプローチや案件終了後のフォローなど、現場が道に迷いやすいプロセス。顧客に会ってもらえない、話を聞いてもらえない、課題を聞きだせない。そいうった段階でこそプロセスを可視化すべきだ。管理すべきなのは、顧客との関係性を築くためのプロセスだ。


仮説が正しければ顧客をハッとさせるような提案へとつなげていくことができるだろう。仮説が間違っていたとしても落ち込む必要はない。そもそも課題の仮説は、ヒアリングで顧客の課題に斬りこむきっかけとして活用するためのもの。見当はずれでも、別の課題発見につながっていくかもしれない。いずれにしても具体性のある仮説をぶつけることで、何か困ったことは?という問いかけより、ずっと課題に迫りやすくなる。


自分の行きやすさを基準にしてはいけない。会社として攻略すべき価値があるかどうか。その一点でターゲットを選ぶべきだ。拡販余地の大きさを基準にするといい。


将来買ってくれる可能性のある人すべてを顧客とすると、顧客リストには膨大な数の顧客が載ってしまう。そこで重要になるのが攻略顧客とカバー顧客の切り分けだ。攻略顧客は、文字通りこれから重点的に攻略すべき顧客。一方、カバー顧客は、案件が出てきたら捕捉できる程度の距離感を持って接する顧客だ。ターゲティングで重要なのは攻略顧客。攻略顧客の上限数は、担当エリアの大きさや、営業の支援体制などさまざまな条件によって設定すべき。


売れない営業担当者は、自分が行きやすいところばかり訪問して本来獲得すべき顧客、ロイヤルカスタマーになりうる顧客のところを訪問しない傾向がある。それが許されているのは、営業部門として、こういう会社をターゲットにしようという認識が共有されていないからだろう。まず注意したいのは誰を顧客にするかという点だ。


自分は努力や根性が足りないからトップセールスになれないと考えているなら、それは誤解だ。トップセールスが諦めない営業を実践しているのは、生まれつき粘り強い性格だからでも、向上心が人一倍強い努力家だからでもない。継続的アプローチに必要なのは、精神論ではなく方法論。アプローチし続ける仕組みや、顧客との関係性を築くためのスキル。


トップセールスはロイヤルカスタマーをどうやって獲得したのか。それはヒット商品があったからでも、値引きして気を引いたからでもない。継続的にアプローチを続けてきたからこそ、不況でも揺るがない強固な信頼関係を築くことができたのだ。


リピートや紹介のチャンスが増えることも見逃せない。案件数が少ない成熟市場では、新規案件に多くの営業担当者が殺到する。数多くの候補者の中から取引先を選ぶのは、顧客にとっても大きな負担になる。そのため新規取引先をシャットアウトして、付き合いのある営業担当者とだけ話をする顧客も少なくない。顧客との関係性が強固になるほど、次の案件を紹介されたり、他の部門を紹介してもらえる可能性が高くなる。


一回一回のアプローチが蓄積されて財産になる。案件ベースのアプローチでは、案件が不発に終わったり、案件が終了した時点で顧客との関係がいったん白紙になってしまう。顧客との関係性をゴールに継続アプローチをすれば、案件が取れても取れなくても、関係性が積みあがっていく。関係性の蓄積は大きな武器だ。初めてアプローチしてきた営業担当者より、過去に何度かやり取りして自社の課題を知っている営業担当者のほうが話は早い。


もはや従来の営業手法は完全に行き詰まりを見せているが、成熟市場において、売り上げを伸ばす方法はないのだろうか。大切なのは「案件」ではなく「顧客」を見るという発想だろう。成長市場では、目の前の果実(案件)を刈り取っても森はなくならなかった。しかし市場が成熟したいま、目先の果実を刈り取るだけでは荒れ地が広がり、いずれ収穫がなくなっていく。それを避けるためには、自ら土地を耕し、種を蒔いて果実を毎年実らせてくれる木(ロイヤルカスタマー)を育てていくしかない。


日本が経済成長を続けていた時代は、営業担当者の行動量と営業成績がほぼ比例していた。これが可能だったのは、市場が成長し続けて、どこにいっても案件があふれていたからだ。とくに工夫をしなくても案件が次から次に出てくるので、営業担当者はとにかくそれを刈り取っていれば困らなかった。ところが1990年代に入って様相が一変した。それから日本経済はこの20年間で15%以上も縮小した。業種によって異なるが、案件数が半分になったり1/10にまで減った業界もある。


営業担当者に意識してもらいたいのは、表層的な問題解決ではなく、その奥に潜む課題の発見だ。顧客の要望に即座に反応する前に、なぜ顧客はこうした問題を抱えているのだろうと一段深く考えて、仮説を立てていく。そうやって顧客のことを深く理解することが、ターゲットの攻略につながる。


部下が行動するとき、その都度、「何のためにやるのか」と聞く。質問すれば、部下は考えざるをえません。自分で考えずに指示どおりに動こうとする部下世代にとっては、「なぜ」と問うことが最大の刺激になるはずです。


部下の動機づけのために上司ができることは何でしょうか。基本的には部下が自分で気づくのを待つしかありませんが、気づきやすい環境をつくることは可能です。そのために、私は3つのことができると考えています。ひとつは、会社の中長期の目標を明確にすることです。2つ目として、上司が質問すること。3つ目として、あえて部下を反発させて奮起させるのも有効です。


指示によって動機づけはできません。動機は、本人が自分と対話を重ねて、頭を悩ませ続けた末にようやく生まれてきます。「こうすれば面白くなる」と上司が力説するのは逆効果で、むしろ強制感につながります。


動機が重要であることは営業だけでなく他の仕事でも同じです。動機が深ければ、事務処理系の仕事も、受け身の「やらされ仕事」から、自ら考え行動する「やりがいのある仕事」へと変わっていきます。


上司は、部下の目標を共有することを意識してください。会社の中長期的な目標から個人の目標を導くことができた時点で、部下の職業観は引き上げられています。それを共有して確認する作業をすることで、「目指しているところは同じなのだ」とわかり、両者の間の溝も埋まっていきます。


目標に根拠がないと、目標にコミットする気持ちも湧きません。その結果、暗雲が立ち込めはじめると、「どうせ現場を知らない人間がつくった目標だから、達成できなくても俺たちのせいではない」と、悪い意味で開き直る部下が出てきます。つまり根拠がないことが、目標達成を諦めることに口実を与えてしまうわけです。


目標は実体を反映させることが大切です。実体を無視して希望や憶測だけで決めると、現実とかけ離れたものになります。


登山をイメージしてください。どの山に登るのかを決めず、とりあえず出発したとしたらどうなるでしょうか。おそらく周囲の地形を見ながら、なんとなく上を目指しながら歩くことになるでしょう。仕事で目標のない状態は、これと同じです。行き当たりばったりで、その都度まわりを見て態度を決めるというやり方になってしまいます。


本来、目標は、消費のトレンドや競合の動きといった中長期の市場環境を想定したうえで策定すべきものです。ところが、根拠のない目標には、中長期の視点がまったく盛り込まれていません。そのような目標を見て仕事をしていたら、目標達成に向けた動きも必然的に短絡的になります。


人材育成は、上司の重要な仕事のひとつです。簡単にわかり合えないからといって突き放すのではなく、粘り強く、部下の職業観を引き上げることが大切です。


まわりからの承認がモチベーションになるという職業観は、「お客様に振り回される」「自分がない」という欠点に容易に転換します。これを放置すれば、現場が混乱するだけでなく、本人の成長も止まります。


お客様はこちらの都合などおかまいなしに、「あれもやってくれ」「これも頼む」と、さまざまな要望をぶつけてくるものです。本来ならば、その中から優先度の高いものを選び、可能な範囲で対応するべきでしょう。しかし、お客様から嫌われたくない部下世代は、言いなりになって何でも引き受けてしまう。その結果パンクして、結局はお客様との約束を果たせず迷惑をかけます。


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