柄澤康喜の名言 一覧

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柄澤康喜のプロフィール

柄澤康喜、からわさ・やすよし。日本の経営者。三井住友海上火災保険社長。長野県出身。京都大学経済学部卒業後、住友海上火災保険に入社。社長室課長、社長室総合企画チーム課長、本店営業第一部第二課長、本店営業第一部次長兼第二課長、広報部長、社長室長兼業務管理部長、経営企画部業務企画特命部長、金融サービス本部財務企画部長、経営企画部長、常務、専務、三井住友海上グループホールディングス取締役、同専務、MS&ADインシュアランスグループホールディングス取締役などを経て社長に就任。

価値観が不明確で軸がブレるリーダーには誰もついてこない。


先行企業に競合企業がすぐに追随する競争激化の時代には、常に一歩早く踏み出し続けない限り、勝ち抜くことはできない。


すべて成功するとは限らない。失敗もある。ただ、早く決断すれば、早く失敗を察知し、問題点を修正して次善策を打てる。


私も過去に多くの失敗を重ね、その経験が積み上がって今の自分がある。


全員が賛成するのを待っていては手遅れになってしまう。誰もが賛成するころにはどの会社もやっている。その前に、半分以上が反対でも決断して初めてスピード感が出る。


私が上司の立場になって意識して行ったのは、難しい案件はあえて一番忙しい部下に託すことだった。忙しい人間ほど、限られた時間内に多くの案件を処理するスピードが要求され、決断力が研ぎ澄まされているからだ。


決断には勘や直観が働く部分もあり、それは多くの経験、つまり場数によって培われる。その意味で、決断力を高めるには訓練の場が必要だ。


価値観が不明確な人間はまわりを見るばかりで決断ができない。自分の価値観を持つという最も根源的な力が中核にあって、初めて決断のスピードが生まれることを忘れてはならない。


自分の価値観が明確な人間は、相手の価値観も受け入れて多様性を認めることができる。多様性の受容は自身のコミュニケーション力を高める。特に大切なのは聞く力で、相手の話に耳を傾けることで、自ら語る力も培われる。コミュニケーション力が高まれば、より的確な情報を収集することも可能になる。「事実」の向こうにある「真実」を見抜き、決断のスピードを加速し、イノベーションを推し進め、すべての力が好循環する。


原動力は革新する力、すなわち、イノベーション力だ。その原動力をブレない軸としての自己の価値観が後押しする。


「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは、野村克也・東北楽天イーグルス元監督がよく口にした名言だ。とくに勝因もなくたまたま勝ってしまうこともあるが、何の理由もなく負けることはなく、負けには必ず要因かある。敗因にいち早く対処するためにも、決断力とスピードが重要なのだ。


部下には常にこういった。「テニスでいえば、自分側のコートにボールを置くな。常に打ち返し、次のところにボールを投げろ。ビジネスは時間軸が重要だ」。私自身、若いころは上司からそのような使われ方をしてきた。ボールは自分のところに溜めず、すぐ打ち返す。それが、忙しいなかで自分の時間をつくる最も有効な方法だった。


情報で重要なのは「事実」の向こうに「真実」を見抜く力だ。業績の数値は「事実」だが、それを生み出した要因は何か。単に市場の追い風を受けたのか、それとも、顧客ニーズを発掘する革新的な事業モデルと推進した人間の能力や意欲の高さか。「真実」をあぶり出し、総合して判断するとき後押しするのがブレることのない軸、自己の価値観なのだ。


私の場合、決断を早めるために実践してきたのは「最悪を想定する」ことだった。手がける案件についてリスクファクターを洗い出し、最悪の事態を想定して、それが許容範囲内であったら決断する。例えば、ある会社に投資するとき、将来性や成長性を評価するが、もしその会社が事業に失敗しても、予想される損害が時間軸も含めて、許容範囲内であれば投資を行う。それには必要な情報を収集しなければならない。


当社は2004年にイギリスの保険大手アヴィヴァからアジアでの損保事業を買収した。投資額は約500億円と当時、損保業界では最大規模だった。ブランドが変わると顧客離れが起きはしないか、現経営陣の協力が継続して得られるかなど、リスクも想定されたが買収に踏み切った。一歩遅れていたら、ASEAN地域で保険料収入トップという今のポジションは得られなかっただろう。


私が好んで使う言葉に、孫子の兵法の「巧遅拙速」があります。「巧遅は拙速に如かず」。巧遅は巧みでも遅い、拙速は拙くても速い。つまり、完璧さより速さが勝る。ビジネスは今や巧遅拙速の世界となり、競合相手より、いかに一歩早く踏み出せるかが力の差となって表れるようになった。


海外企業のM&A(合併・買収)で大事なことは企業文化が同じ相手と組むということ。


可能な限り早く決断を下すことが大切です。巧遅拙速(こうちせっそく)、私の好きな言葉です。全員が賛成する状況を待っていては手遅れになるということです。そうした状況では、競合他社も同じ戦略を考えているからです。


「自分はなぜこの仕事をしているのか」「我が社は何のために存在しているのか」といったことを常に己に問いかけ、ブレない軸や価値観を培う必要があります。そこではじめてものごとの本質が見えてくると思います。


悪い情報ほどきちんと聞く姿勢を見せるようにしています。悪いニュースを解決することこそが、権限と表裏一体の責任、トップにとって最も大切な仕事なのですから。


人が話しかけやすい雰囲気を意識して作る必要があります。私自身、少し気が短いところがあると自覚しているからこそ、報告を受けるときは、どんなときもまず笑顔で迎えることにしています。そうしないと職位が上に行くほど正確な情報が上がってこない裸の王様になってしまいます。


人と話すとき、相手が本質的に何を考えているのかを感じとる努力をすることも大切です。まずは、話すよりも聞く力を身につけることだと思います。


「社員はゼネラリストに育てた方がいい」「スペシャリストとして専門性を磨くべき」という対立した考え方があります。また、プロジェクトを進める際に「計画はよく練り上げた方がいい」ことは当然ですが、状況の変化をとらえ「臨機応変に対処すべき」というのも正しい考え方です。いずれも、どちらかひとつの考えが完全に正しいというものではありません。


これからますます世界はスピードを上げて変化していくことでしょう。企業のビジネスモデルが似通ってくるのは仕方がないことです。そうなると、ひとつの価値観だけに固執せず、二律背反の現実や矛盾を受け入れることも必要になってきます。


チャンスは変化や危機の中にこそあります。それをとらえられなければ、企業価値の増大も成長も不可能です。4年前、私が企画担当役員だったころ保険金の支払い漏れで業務停止命令を受け、創業以来最大の危機の中にありました。すぐに対応策を議論しました。結果は「商品サービスの品質を競争力にする新しいビジネスモデル」というものが共通の認識になりました。危機を好機ととらえ、ゼロからやり直してみようという考えでした。マーケットインの発想を突き詰めればそれしかないという結論です。


新しいこと、とくに局面を大きく変える強い決断を下そうとするとき、できない理由をあげてくる人は非常に多いでしょう。いわゆる「No because」です。しかし、それにとらわれると何もできなくなってしまいます。


マーケットインの発想、つまりお客様がどう考えているかということが重要です。金融機関というものは、マーケットよりもプロダクトアウトの発想に陥りがちです。「自分たちの目から見ていい商品をつくれば売れる」と考えがちです。でもこれでは、会社を正しい方向に導けないと思います。


「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのは東北楽天イーグルスの野村監督の言葉です。経営もこの通りで、失敗には必ず理由があると思います。過去に似たような失敗例はないか、会社が負える最大のリスクはどのくらいまでかを分析することが大切です。一方で、許容範囲のリスクならとらないと成長は望めません。


集まった情報を分析する際に留意しておきたいことは、「事実」と「真実」は異なるものだということです。たとえば、企業買収を考えるときに、財務諸表にある「売上が伸びている」「利益率が高い」といった表面的な数字は、ひとつの「事実」でしかありません。なぜ伸びているのか、経年ではどうだったのか、そして社員のモチベーションや社内のモラルはどうか。本当につかまなくてはならない情報は、このような「真実」だと思います。


向かうべき方向性を共有できていない組織は、道標である情報を的確に収集することはできないでしょう。


的確な情報を集めるには、組織全体で課題や問題意識を共有していることが大前提です。まず、問われるのは関係者に等しく情報を開示して行っているかどうかです。社員に対して、経営陣が何を考えているか、いま経営上どんなことが問題になっているかを可能な限りディスクローズすることだと考えています。情報を公開するリスクより、公開しないデメリットの方がはるかに大きいからです。


強い組織とは必要な情報が的確に収集され、組織のメンバー全員でリアルタイムに共有されているものです。正しい解を導き出せるかどうかは、ここでほとんど決まると思います。


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