林真理子の名言 一覧

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林真理子のプロフィール

林真理子、はやし・まりこ。日本の小説家、エッセイスト。山梨県出身。日本大学藝術学部文芸学科卒業。コピーライターを経て、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーとなる。『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞、『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、『みんなの秘密』で吉川英治文学賞、『アスクレピオスの愛人』で島清恋愛文学賞をそれぞれ受賞。

20代のデビューからいままで途切れることなく仕事に恵まれてきたのは、人の縁によるところが大きいです。


作家が書くことだけでお金を稼ぐのは難しい時代になりました。私自身は、ありがたいことに昨年は『野心のすすめ』という新書がヒットして、金銭的にはとても助かりましたが、ヒットはユージュアルなものではありません。ですから、実は常に不安感を持っています。


高い望みを持ち、野心を胸に抱いて、目標にたどり着くまで地道に努力を重ねることがそもそも大事なのであって、野心はネガティブに捉えられるべきではない。


私くらいの年齢になれば仕事で付き合う編集者たちもみんな年下です。彼ら彼女らに気持ちよく仕事をしてもらうにはどうしたらいいか。私は日々、そのことを考えています。


私は作家という職業が好きだし、誇りを持っています。そんなふうに、自分の仕事に惚れ込んで一所懸命やることが、お金を得るために必要であることは言うまでもありません。


私の仕事は、小説を書くために膨大な資料と取材を必要とします。出版社に出していただく部分もありますが、できる限り自腹を切っています。何事も自腹を切ってやらないとダメだと思います。


仕事に恵まれているだけでお金が稼げるわけでもありません。何が必要かといったら、言うまでもないですが、とことん働くことです。


国内外の舞台や演奏会などを観るために使ったチケット代や、一流シェフや職人が腕を振るう店での会食にかかるお金も含めて、すべてがいまの仕事に役立っている。知的な好奇心を満たすために使ったお金は、絶対に無駄ではないのです。


海外へ旅をするとします。そのとき、一生涯エコノミークラスでいいやと思うより、ファーストクラスに憧れながらビジネスクラスに乗っていくくらいの感覚のほうが楽しいでしょう。極端な言い方ですが、エコノミーしか知らない人とビジネスに乗りながら次はファーストクラスだなと考えている人では、やはりその先の人生がだいぶ違うのではないでしょうか。もちろん、ファーストクラスは贅沢なわけですから、どうしたって自腹を切らなくてはいけない。ここも大事なんです。


無駄遣いを推奨するわけではありません。でも、お金のかかるもののほうがやはり上等であり、その先の愉しみを提供してくれる、ということを、知らないままでいるよりは知ったほうがいいと思うのです。


私には15歳になる娘がいますが、歌舞伎やミュージカルなどにどんどん連れていっています。でも、娘がそれをすぐにおもしろいと思うわけではないんですね。『レ・ミゼラブル』を観た後で、彼女はこう言いました。「なに、この、綺麗事!」それでいいんです。まだ、わからなくてもいい。けれど、本物を観せてあげれば、それは必ず残る。そんなふうに思ってきれいにお金を使うことについては、他人様にとやかく言われたくない。むしろ、いまの大人たちは、子供や若い人たちに本物を教えるためにお金を使うということをしなさすぎるとも思います。


私自身、ずいぶんとお金を使ってきました。おいしい食事、着物、洋服先やバッグなどのブランド品、家具などなど……。あのレストランで食事をしてみたい、あのブランドのコートを着てみたい、最高級の生地で和服をつくりたい。そういった、いろいろな欲望を満たすために使うお金は、有意義なお金だと思っています。本当においしいお寿司もフレンチも、食べてみなければおいしさを知る由もない。歌舞伎だって、劇場で観て初めて、いかにすばらしいかがわかる。


お金があることで、たとえばある日思い立ってヨーロッパまでオペラの公演を見にいくことができる。そういう時間をつくることができることにも、お金が関わっていますよね。知的な好奇心を満足させるために必要なお金を求めること、そのお金を得られるレベルの人になりたという野心を持つことが、どうしてマイナスのイメージで捉えられるのでしょう。野心は悪者と、なぜ思うのか。私はむしろ、野心を持って自分を引き上げていこうという姿勢を、いまの日本人はもう一度取り戻すべきではないかと思い


金銭的な余裕は自分が世の中に認められていく度合いに比例して大きくなっていくものだということは、私自身が経験してきたことでもあります。野心を持つこと、お金を欲しがることは、けっして薄汚いことではありません。


少し有名になった頃から、そんなにお金があったわけではないけれど、おしゃれやブランド品に興味を持ちだしました。自然と欲しいと思うようになったのです。その頃はまだ四畳半で生活していたのにエルメスのバーキンに憧れるなんて身のほど知らずというものですが、逆に、いまの日本人は、妙に身のほどを知りすぎてしまって無理をしないから、社会から活力が失われているとも思う。


小説を書くという仕事のうえでも、若い頃からお金を惜しみなく使ってきたことが大いに役立っています。バブルの頃などには高級な和服をずいぶんと買ったものですが、あの経験があったから、時代小説を書くときに和服を描写することができる。お金を使った成果だと思います。


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