木川眞の名言 一覧

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木川眞のプロフィール

木川眞、きがわ・まこと。日本の経営者。ヤマト運輸会長、ヤマトホールディングス社長。広島県出身。一橋大学商学部卒業後、富士銀行に入社。富士銀行執行役員人事部長、みずほコーポレート銀行常務執行役員、常務取締役などを務めたのちヤマト運輸に移籍。ヤマト運輸常務取締役、取締役、ヤマトホールディングス常務執行役員、専務執行役員などを務めたのち、ヤマト運輸社長、ヤマトホールディングス社長兼ヤマト運輸会長を務めた。

戦略のグランド・デザインが明確ならば、戦力は逐次投入せず、大胆に投じるべき。


失敗事例を学べば、同じような失敗は必ず避けられる。失敗に学ぶことで、失敗を恐れない決断を下すことができるのではないだろうか。


創業者イズムは絶対に残さないといけないし、今後もずっと守り続けていきます。ただ世の中は常に変化し、お客様のニーズも変わり続ける。それに応じたサービスを提供しなくてはならない。


現場らが仕事をやりたいという気持ちになっていないのであれば、会社から指示しても、それは「やらされ感」になってしまう。


需要を創出するサイクル

  1. オンリーワンの商品を生み出す。
  2. ライバルの参入を受け入れ、競争環境を生み出す。
  3. 拡大する市場の中で圧倒的なナンバーワンになる。
  4. 最終的にデファクトスタンダードとなる。

この一連の流れが需要創出なんです。


競争相手が増えれば、それだけ需要も広がります。各社が切磋琢磨してお客様を獲得することで、市場の拡大に弾みがつきます。旬を逃さず市場を一気に伸ばす競争が不可欠なんです。


どんな企業でも歴史を重ねて永続的に生長するためには、ある段階で再びイノベーションが必要になります。


直に会い、必要なときには行動で示す方が現場は動きます。経営者がこの努力を怠れば、どんなに素晴らしい経営改革も、実現するのは難しいでしょう。


言葉だけでは不十分です。言葉と同時に行動で示すこと。必要なときに思い切った決断をし、企業の経営方針を体現することも経営者には求められます。行動が伝えるメッセージは言葉以上に強いですから。


社員へのメッセージはわかりやすさこそ重要なんです。どんなに優れた経営戦略を立てても、それが現場に伝わらないと意味がありません。伝える努力をせず、現場ができていないと怒っても仕方がないでしょう。まず経営者がメッセージを伝える努力をすることが重要です。


経営計画について、社員にきちんと説明することはもちろん重要です。しかし長々と話せば話すほど、逆に焦点がぼやけ伝言ゲームになるリスクが高い。私の発したメッセージが現場に届くころには変質してしまうこともあります。しかしワンワードの単語なら変わりようがありません。そこで一語に思いを込めました。


現場のモチベーションを高めることも重要です。運送業界はこれまで、どちらかというと体育会系の文化でした。厳しく鍛えて育てていくという。しかし、時代の変化に合わせて事業構造を刷新するように、教育の手法も変えなくてはなりません。


新しい需要を生み出し、支持されればひとつのインフラになります。我々だけでなく他産業の成長も促せば、築いたインフラはより強固なものとなります。ヤマトグループにとって、イノベーションとは需要創出のことに他なりません。常に成長の原動力となってきたのが需要創出なんです。


デファクトスタンダードになれば、業界で主導権を握るプライスリーダーにもなれます。ライバルとの価格競争に巻き込まれず、競争を有利に進められる立場になります。しかし、だからといって利益ばかりを追求すればお客様の支持は得られません。


我々のビジネスは格段に広がりましたが、きっかけは「解決策がなくて困っている」という声だったんです。そこに着目することから顕在化されていないニーズを探り当てました。オンリーワン商品をつくる出発点は、必ずお客様の声であるべきなんです。


ヤマトはいわば黒子なんです。ビジネスの主役ではないけれども、我々と組まないとプラットフォームを使うことができなくなる。そのような存在になることが肝要なんです。


宅急便がそうであったように、個々のお客様や社会にとってなくてはならない事実上の標準となったときに、真の意味で勝負に勝ったといえるでしょう。


経営方針を全社員に伝えるにはどうすべきか。全員がベクトルを合わせて一枚岩となるために経営者に求められるのは、社員に対する発信力、そしてコミュニケーション力だと思います。


事業のライフサイクルはだいたい30年といわれていますから、30年間イノベーションがなければ成長は必然的に鈍化します。どうやってもマーケットは成熟しますから。


我々はお客様の話を聞くことから始めます。全国約6万人のセールスドライバーが、お客様の細かなニーズを集めてきます。いまあるサービスへの不満だけではありません。困っているけれども解決策のないことを探っていくのです。仕方ないと思って諦めていること。ここに、オンリーワンづくりのヒントがあります。


よく耳にする間違いは「いいものをつくれば売れる」という理論です。けれども「いいものってなんですか」と聞くと、実は開発者が誇れるものだったりします。開発者の自己満足がいいものにすり替わってしまうんですね。そうなると、たとえほかにない唯一無二の商品でも、メーカー側の押し売りになるでしょう。一部の消費者は喜ぶでしょうが、これでは爆発的なヒットは生まれません。


小倉(昌男)さんは、宅急便という成功したビジネスモデルに安住せず、それを絶えず進化させました。そして、新サービスはさらに新しい需要を生み出していきました。ゴルフ宅急便やスキー宅急便はレジャーの手ぶら文化をつくりましたし、クール宅急便は産直などの通販を活性化させ、食文化を変えました。


イノベーションを起こすために、ヤマトグループが培ってきた強みを分析しました。もともとヤマト運輸や小倉(昌男)さんのことは、銀行員時代から知っていました。ただ中に入ってみたいとわからないこともあります。外と内、両方の視点で需要創出の仕組を客観的に分析しました。


小倉(昌男)さんというカリスマ経営者が育て、歴代の経営層が大きく成長させてきた企業の何を変えて、何を守るのか。経営とは取捨選択の連続です。その中で私を突き動かしてきたのは、「為さざるの罪」という言葉でした。正しいと信じたら失敗を恐れず行動する。何もせずに文句ばかり言うのは罪だという意味が込められています。


社内研修用に感動体験DVDを制作しました。たとえば、セールスドライバーが母の日に花を届けたときのこと。受け取ったお客様は、息子さんからの初めてのプレゼントに喜び、涙を流された。我々が届けているのは単なる荷物ではない。お客様の大切な気持ちを運んでいる、と。こんなふうに、社員が自分の仕事に誇りを持て利用なエピソードが紹介されます。理念や哲学を、言葉を尽くして伝えるよりも、これを見せる方が遥かに伝わります。いまでは英語版や中国語版を海外法人の研修にも使い、各国社員たちの心に刺さっています。


褒めることは非常に難しいのです。怒る場合は、1回のミスで瞬間的に叱れます。ですが褒めようとすると、じっくりと相手を観察しなくてはなりません。その意味では、怒ること以上に褒める方がしんどいんです。けれども、褒めあうことができれば仲間意識は高まり、社員同士の絆は深くなります。


若い世代になるほど、叱られることに抵抗感を覚える人も多い。せっかく優秀な人材を採用しても、育てられなければ大きな損失になります。そこで私は少しばかり強引に、褒める制度を導入しました。それが「満足BANK」です。社内のイントラネット上で、社員がお互いのよい点や感謝したいことを記名式で書き込みます。すると褒められた人も褒めた人もポイントがつきます。自分自身を褒めることもできます。ポイント数に応じてバッジがもらえ、年間上位者は表彰される仕組みです。この仕組みの狙いはモチベーションを高めることです。


ソリューション営業に関して、その考え方を植え付けるために経営陣が日本各地の支店に出向いていって会議を開いています。どんなに大きな組織でも、経営者が直接現場に出向いて思いを伝えることが大切です。アナログコミュニケーションに敵うものはありません。


危機ばかりでなく、普段からも経営者が経営理念を行動で示す努力は必要です。


企業が掲げる理念を、経営者自ら行動で示す機会は、実は滅多にありません。だからこそ、機会が訪れたとき、経営者は思い切って決断を下し、行動しなければなりません。


私は2011年4月にヤマトホールディングスの社長に就きました。東日本大震災の直後です。就任時、経営トップ3人で相談して大きな決断を下しました。宅急便1個につき10円の寄付です。その前年の宅急便取扱個数は約13億個でしたから、概算すると寄付総額は130億円以上にも達します。年間純利益の約4割ですから、相当の覚悟が必要でした。株主や社員が理解してくれるかわからない。最悪の場合、株主代表訴訟のリスクもある。それでも決断した最大の理由は、宅急便、とりわけクール宅急便を育ててくれた東北の被災地に恩返しをすべきだという思いです。もうひとつは、社員に対して平素から言っていた「世のため人のため」「サービスが先、利益は後」という経営理念を具体的な形として見せることでした。


ヤマト運輸の社長に就いた年、私は改革を進める上で、社員にどう伝えるべきか考えました。そして、1年ごとにわかりやすいキャッチフレーズをつけることにしました。初年度の2007年は「チェンジ」。米国大統領選の前ですから、オバマ大統領より私の方が早かったので真似ではありませんよ(笑)。2年目は「チャレンジ」、3年目は「アドバンス(前進)」、4年目が「アチーブ(達成・成就)」です。この4年間は社内のどこへ行ってもキャッチフレーズがあり、効果はあったと実感しています。


事業構造や業務基盤の改革を根底で支えているのが「人」なんです。とくに我々の仕事はモノを運ぶという純粋役務のサービス業です。荷物を渡す瞬間にサービスが発生し、終わる。従って、そこに携わる人の意識改革は最重要項目となります。「人づくり」の仕組みが何よりも大事です。


仕事のやり方は抜本的に見直しました。象徴的なのは集荷配達体制の刷新です。いままではセールスドライバーが自分でクルマを移動させて配達していました。これでは効率が悪い。そこでクルマの停車場をバス停のように決め、セールスドライバーと短時間勤務のフィールドキャストがチームで一斉に配達するようにしました。お客様の在宅率が高い朝10時までに配れるので、サービス品質の改善になります。再配達のためのコスト削減やドライバーの労働時間短縮にもなり、まさに一石三鳥です。


業務基盤の改革ではビジネスの根幹となる品質やサービス、コスト構造を刷新し、収益力と競争力を強化しました。収入が増えても、コストがそれ以上に増えれば成長できませんから。


トップライン(売上高)を伸ばすことだけが経営戦略ではありません。攻めることばかりに注力すれば、足元が揺らぐ危険性もあります。そこで私は、事業構造の改革と並行し、業務基盤の改革と意識改革を進めました。これらは、組織づくり、人づくりの改革で、事業構造を大きく変えるには不可欠と考えました。


いままでにないオンリーワン商品をつくっただけでは、需要創出とはいえません。オンリーワンを生み出した後、ライバルの参入が相次ぐ中で、いかに圧倒的なナンバーワンとなるのかが重要です。


オンリーワン商品を考え出したら、商品の価格設定が利益の先取りになっていないかをチェックします。まさに小倉(昌男)さんの経営哲学、「サービスが先、利益は後」です。お客様に喜ばれるサービスを開発し、価格は利用しやすい水準にとどめる。そうすれば需要は拡大して、利益は後からついてきます。うちの社員にはこの哲学が私以上に浸透しています。利益のほとんどをお客様に還元しようという案が出てきて、私が修正を求めるくらいです(笑)。


セグメントを絞り込めば、ある意味ではニッチ市場になります。ニッチではあるけれど、その分独自性を出せます。すなわちオンリーワン商品になるんです。「これなら絶対に負けない」という差別化要素を埋め込みやすくなるでしょう。


「数兆円規模の市場で、ある事情に困っている企業が数千社あり、その潜在需要は1000億円です。だからうちはその10%をとりましょう」。現場からはよくこんな事業計画が上がってきます。けれども、マーケットのセグメントが多きすぎるとお客様のニーズは絞り込めません。そもそも巨大市場の10%をとるためにどんな商品をつくるのか、想像できますか。そうじゃなくてお客様が本当に喜ぶ可能性のあるサービスは何か。セグメントをぐっと絞り込む必要があります。そして絞り込んだマーケットの5割をとるのです。1000億円の10%も、200億円の50%も、収益は同じ100億円ですから。


潜在的なニーズはあることがわかっても、それが本当にお客様に喜んでもらえるか。その見極めも肝心です。


通販会社は返品対応に莫大なコストをかけています。我々は平素から通販会社とお付き合いしていますから、返品にかかるコストをなんとか削減したいという悩みを抱えていることを耳にしました。悩みを解決すべく開発したのが、TSS(トゥデイ・ショッピング・サービス)です。この仕組みを使えば、インターネット通販などで深夜に注文された商品を翌朝に、あるいは注文後最短4時間でお客様に届けられるようになります。お客様の待ち時間を極限まで短縮することで返品を減らそうとしたのです。狙い通りTSSを導入した通販会社では、返品率が劇的に減りました。TSSが評価され、最近では在庫管理や発送・返品作業も含めた物流管理全体を任せていただけるケースも増えています。


同業者が相次いで同じようなサービスを始めることで競争環境が生まれ、需要は確実に全国へと広がりました。そのなかでヤマト運輸は配達の品質にこだわり、便利なサービスを加えて圧倒的なシェアになったのです。


ヤマトグループ全体の営業収益の約8割は宅急便を核としたデリバリー事業が占めています。社会構造が劇的に変わる中、我々も宅配事業者という領域を超えて変わっていかなくてはなりません。


ゴーイングコンサーン(存続する企業)であるためには変化が欠かせません。そこで私がヤマト運輸に入社した7年前ころから、宅急便の次のイノベーションを起こそうと、事業構造の刷新を始めました。


私がヤマト運輸に転じたあとに進めてきたのは、「機能単体ではなく、物流全体を網にかけてお客様の困りごとを解決する」とう方向への改革です。この仕組みが強固になれば、それはデファクトスタンダードへの一歩となります。


宅急便の歴史を振り返ると、ヤマト運輸は常に新サービスを生み出してきました。ただ市場が成長していた時代には結果的に、それらの多くが宅急便の機能強化、つまり既存サービスの延長線上にあるものだったんです。しかし、市場が成熟し、シビアな価格競争に直面したことで、競争のステージを変えることが不可欠になりました。商品単体で差別化するのではなく、グループ各社が力を合わせて「機能」を超える「仕組」の違いでナンバーワンを維持する必要があったのです。


調達から製造・加工、保管、梱包、販売、輸送・配達、情報システム、決済まで。宅急便単体の競争ではなく、事業の川上から川下までの困りごとを解決するためにグループが一丸となって物流改革を提案する。これは他社にはできない大きな差別要素です。


「これからは宅急便の荷物だけを取りに行くな」。ヤマト運輸の社長に就任した年、私はこう言いました。これだけを切り取られると誤解されるかもしれませんが、真意はこうです。ヤマトホールディングスには、ヤマト運輸以外にも「LT(ロジスティクス・テクノロジー)」「IT」「FT(ファイナンシャル・テクノロジー)」をベースにした優れた機能を持つ子会社が多くあります。海外のグローバルなネットワークもあります。ただこれまで、グループ各社はそれぞれが個別に営業をしていたんです。そうではなく、グループが一枚岩となって戦わなければいけない。各社が機能を単体で売っても、それぞれが価格競争に巻き込まれるだけです。そうならないためには、グループ各社が持つ機能を組み合わせてトータルの物流改革を提案する。「目の前の荷物を取りに行くのではなく、ソリューションを売ろう」。それが「宅急便の荷物だけを取りに行くな」という言葉の真意です。


市場が成長を続ける間は機能を高めれば競争に勝つことができます。けれどもマーケットが成熟してくると、それだけで圧倒的ナンバーワンの地位を守ることは難しくなります。戦術を大きく変える必要に迫られます。


どんなに成功したビジネスモデルでも、いつかは必ず成熟期を迎えます。2000年代に入ると、宅急便市場も徐々に成熟してきました。同時にライバルとの品質格差は年々縮まっていきました。他社の追随によって日本の宅急便全体がレベルアップしたんですね。すると品質や利便性より料金で選ぶお客様が出てきます。単価を下げてマーケットシェアを広げようとする企業が増える。業界全体が不毛な価格競争に陥りがちになってしまうんです。


ライバルの参入によって競争環境が生まれ、市場が急拡大したら、次にすべきことは激しい競争に勝ち抜き、圧倒的なナンバーワンになることです。その決め手は、他社との差別化にほかなりません。ライバルが増えれば当然、その市場でトップになるのは難しくなる。それでも宅急便は誕生以来、市場で常にシェアトップを守り続けてきました。誕生以来、宅急便は続けざまに新しいサービスを投入してきたからです。


宅急便というオンリーワン商品をつくり、新しい需要を生み出す。仮にここで他社の参入を阻んでいれば、宅配便市場はいまほど広がっていなかったでしょう。1社だけだとどうしても、成長スピードが限られますから。


デファクトスタンダードとなったら、この立場を活かし、一段上の、よりスケールの大きい使い勝手のいいプラットフォームを構築する。行政や民間企業が我々のプラットフォームを利用することで、より高品質なサービスを安いコストで提供できるようになる。すると我々は、なくてはならない存在になるでしょう。言葉をかえれば、「一番身近で最も愛される企業」になれるのです。


プラットフォームの事業者がほかのプレーヤーを排除すれば、長い目で見て指示されるプラットフォームにはなりません。我々がつくるのはあくまで土台であり、幅広いプレーヤーがその上にプラスアルファの機能を加えていく。土台の上に載るサービスが多いほどプラットフォームは強固になり、長期的に使われるものになります。


プラットフォームビジネスを成功させるには、必ずひとつの鉄則を守らなくてはなりません。それが「独り占めをしない」ということです。ヤマトグループが各社の持つ機能を合わせれば、サプライチェーンの川上から川下まで、極めて広いサービスを提供することができます。ですが、だからといってすべての機能を独り占めするつもりはありません。ひとたびプラットフォームを築けば、その上にライバルや異業種、自治体などの様々なプレーヤーが乗った方がいい。プラットフォームビジネスでは協業という考え方が重要です。


公共性の高いプラットフォームビジネスは、サービス単体ではなく、仕組み全体で採算を合わせていくことが大切です。住民や自治体、企業から薄く広く、長く対価をいただき、プラットフォーム全体で利益をあげる。適正利益にとどめれば、プラットフォームはより使いやすく、浸透しやすくなります。


ヤマトグループは現在、国内だけでも約4000の営業拠点と約6万人のセールスドライバーを有しています。宅急便を支える流通や情報、決済などの多様な機能もあります。これらはいままで、主に宅急便事業にしか使われてきませんでした。宅急便がデファクトスタンダードになったいま、築いたものを解放して、社会のプラットフォームと挑戦しています。プラットフォームになるということは、社会のインフラ、つまり土台になることを意味します。我々のネットワークや技術を個人や地域、自治体、幅広い産業や企業に使ってもらい、なくてはならない存在になる。プラットフォームが幾重にも重なれば、我々は一層強固になるでしょう。


最初は私も「満足BANK」が定着するのか正直不安でした。しかし、いまでは社員の約9割が参加しています。褒める文化は確実に社員に浸透してきたといえます。
【覚書き|「満足BANK」は、イントラネットを通じて社員同士褒め合う仕組み。褒められた方、褒めた方、両方にポイントがつき、年間上位者は表彰される】


全社員がベクトルを合わせて、「宅急便の次」のイノベーションを起こすために、我々は様々な意識改革を進めてきました。キャッチフレーズ、映像、制度、そして経営者自ら行動で示すこと。これらを重ね、いつの間にか社員の意識だけでなく、組織や風土も変わっていく手ごたえを感じています。


私は「為さざるの罪」という言葉を富士銀行時代に何度も上司や先輩から聞かされました。不適切な局面で使うと組織が暴走しますが、ヤマトグループではこの言葉が生きています。


我々は値上げと言わず、「適正価格」と言っています。昨年はクール宅急便でこ迷惑をおかけしたので、品質を維持するためにも価格の適正化が必要だと判断しました。これまでは大きなサイズの荷物でも、一番小さなサイズの料金を適用して値引いたりしていたんですね。ですが、それでは品質管理ができません。そこで適正サイズで計算し、それに合う対価をいただきたいとお願いしています。


物流業界が大きく変わる中、「運ぶ」という単機能だけを強化して成長を続けるには限界がありました。であれば、宅急便以外の事業を強化するしかない。宅急便が全体の売上利益の約8割を占める構造を変え、少なくとも利益ベースでは、宅急便とそれ以外の比率を五分五分に持っていこうとしています。


私がみずほコーポレート銀行からヤマト運輸に転じた年、宅急便の年間取扱数はおよそ10億個でした。将来、荷物が20億個に増えた時にどうするのか。この頃から新しいモデルの模索が始まりました。


変革には象徴的なものが必要です。1400億円を投じて完成した「羽田クロノゲート」はまさに変革の象徴です。日本最大級の多機能物流ターミナル。グローバルに新しいことをやるんだということが社員に伝わっていると思います。


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