数土文夫(數土文夫)の名言 一覧

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数土文夫(數土文夫)のプロフィール

数土(數土)文夫、すど・ふみお。日本の経営者。富山県生まれ。JFEホールディングス2代目社長。北海道大学工学部卒業後、JFEの前身である川崎製鉄に入社。その後、川崎製鉄社長、JFEスチール社長を経てJFEホールディングス社長。経済同友会副代表幹事、住生活グループ取締役、日本放送協会(NHK)経営委員会委員長なども務めた経営者

早い時期に間違えるのは、失敗せずにずっといくよりむしろいいこと。


日本のビジネス社会は減点主義だといわれますが、減点主義のはびこった組織がまともに動く道理はありません。川崎製鉄とNKKの統合の際にも、そこを強く意識しました。2つの会社が1つになるときに、互いの欠点をあげていては、シナジー効果は期待できません。相手の長所を積極的に取り上げないと収益は上がりません。


部下育成という観点でいえば上司は2つのタイプに分かれます。

  1. 目についた部下の欠点を的確に見抜いて指導していくタイプ。
  2. 部下の欠点はわからなくても、長所を見出しそれを評価していくタイプ。

私の経験上、欠点や短所を直そうとするよりも、長所を認めて、褒めた方が部下は育ちます。


マネジャーの必須条件のひとつは人間に興味があること、あるいは人間が好きなことです。部下が困っている、得意になっている、悩んでいる。人間に興味がなかったらそれがわからないし、欠点ばかり目について長所を見いだせないからです。


リーダーともなれば、好き嫌いを表に出してはいけません。


部下には自分の仕事を定量化させます。定量化する工夫をさせます。定量化できない仕事はありません。逆に自分の仕事を定量化することが、自分の存在を周囲に知らしめるのです。そして上司は上司で部下の仕事を定量化して評価し、適材適所というものを実現してゆくのです。


「総務の仕事は定量化できない」という反論が返ってきたことがあります。しかし、たとえば総会担当だったら、来場者に満足度調査を実施し、進行や質疑内容などを5段階評価してもらえば定量化できます。「総務だから」は言い訳にすぎません。


会議の席などで厳しく問うのは論理性です。よく言っているのは、「You can not manage what you can not major(数字化・定量化なければ、マネジメントなし)」ということです。定量化の最たるものは収益でしょう。


本来、中間管理職は下に対しては指導し、勇気づけ、技術を伝承し、上に対してはへつらうことなくインテリジェンスあるアイデアを提言できる組織のキーマンです。健全な中間管理職層が日本式経営の魅力のひとつでした。とくに製造業において、新米とマネジメントだけでは技術の発掘も改革もなしえません。世界の中で日本流の新しい強みを獲得するために、ミドル層の復権は欠かせません。


言うべきときは言います。私は皆が見ている前で厳しいことを言います。同じ間違いをしてほしくないからです。その後は子供を叱った後と同じ気持ちでしっかりフォローします。「今日の会議では厳しいことを言ったけれど、含むところはない。今日のテーマはあなたが得意な分野ではなかったが、他の分野ではあなたにいくつも教えられているんだ」と言えなければいけません。


ビジネスは食うか食われるかの戦争です。私は「役職機関説」と言っていますが、課長としての機能、部長としての機能、社長としての機能をそれぞれが果たさなければ組織は生き残れません。だから職責がまっとうできていないときには川崎製鉄時代から容赦なく指摘してきました。


往々にして人は自分が上司の立場になると、自分の得意な分野で部下を評価しようとします。その傾向が強い上司の部下は不幸です。得意分野が重なっている部下など要らないのですから。課長になろうが、部長になろうが、人の上に立ったら、自分とは違う能力、自分とは違う分野が得意な人たちを正しく評価できなければいけません。


人間は360度全方位に能力を発揮できるわけではありません。自分の得意な分野など、せいぜい90度です。加えて、最近は金融と工学が一緒になったり、医療とバイオテクノロジーが結びついたりして、新しい知識分野がどんどん生まれています。それを全部一人で網羅できると私は思っていません。


相手を褒めたり、長所を認めることの大切さは現場でエンジニアをしていたときに学びました。たくさんの人たちが連携する現場でいい仕事をしようと思ったら、互いのいいところを認めていかないとものごとは進んでゆかない。


スポーツの世界でも、欧米人のコーチは選手を良く褒めます。いいところからはから伸ばして、課題がある場合には「あなたのいいときはこういうフォームだよ」という直し方をします。それがのちにビジネスコーチングに派生したように、成長させたいときはまず長所を起点に伸ばしてゆくべきで、欠点を直すところからスタートするのはなかなか難しいのです。


新しい価値観を新しい構成メンバーと共有するには、統合プロセスで生じる衝突を避けるのではなく、まず相手への尊敬を基本とし、長所を評価したうえで意思の伝達、すなわちコミュニケーションを図らねばなりません。最初から相手を侮るようでは誠実な話し合いなど論外です。


企業の経営統合に際し、経営陣は「万機公論に決すべし」を大原則として統合プロセスの基本理念や統合後のビジョンを明らかにし、全社員と共有する必要があります。JFEの場合「オンリーワン商品、ナンバーワン商品の創造」「収益は必須欠くべからざる固定費」「ROS(売上高当期純利益率)10%」など基盤となる収益=価値創造主義に加えて、コンストラクティブ・コンフリクト(創造的衝突)ということを日々、伝えてきました。


川崎製鉄とNKKの統合発表直後は社員や社外OBが「NKKに絶対に負けないように統合してください」と訴えに訪れたものですが、新会社をつくる傍から何の勝ち負けでしょうか。そんな拙い話はありません。合併という事態に直面した場合は、決して旧来の手法や技術に拘泥すべきではありません。管理職、社員にかかわらず、自分は新たに誕生する会社に再就職するのだと、そして新会社の収益と価値創造に自分はいかに貢献できるかを考えるべきでしょう。


職場内では「あうん」の呼吸で済んでも、新局面では通用しません。相手の理解を尊重した粘り強いコミュニケーションが必須です。


個人のアカウンタビリティ(説明責任)が非常に重要になります。常に会社の収益と自らの業務とを関連付けながら、合理的かつ論理的に説明する責任と能力。従来、こうした説明責任は経営者に求められるものでしたが、グローバル経済の中でM&Aにさらされている昨今、いちサラリーマンにも必須の能力です。


私は自らの「人材論」を語るときには、リーダーになるための3つの要素を挙げています。まず、専門知識や専門技術を持ったテクノクラート(高度の専門的知識を持った人)であること。そして、将来を展望できることと、実際の課題を解決する能力を持っていることです。


国家にしても、企業にしても、成功して「これで安泰だ」と思ったときが一番怖い。価値に驕って危機感を失ったときから、転落が始まります。たとえ業績が絶好調であっても、常に危機感、緊張感を持っていなければなりません。


組織のリーダーは常に部下や周囲へのメッセージを発信し続けなければいけないと言われますが、組織をまとめるためにはそれだけであってはダメで、部下のやっていることを直接聞かなくてはいけません。


社長就任以来、ステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションの大切さを改めて感じており、最近、社内で「4R」について話します。「PR(広報)」「IR(株主を含む投資家など資本市場の関係者に対するPR活動)」「SR(株主との関係性だけに対するPR活動)」、そして「ER(従業員に対するPR活動)」です。


私は教養とは、つまるところ、歴史を知っていることに他ならないと思います。昨今は世界史、日本史を高校で必修にしていないところもあると聞きますが、信じられない話です。歴史も教えずにどうやって人材を育てようというのでしょうか。学校で教えてくれなくても、日本の若い人たちに、ぜひ古典を読んで、そこから多くのことを学び、感じ取ってほしいと思っています。


JFEホールディングスはNKKと川崎製鉄とが統合して生まれたものです。そのとき私は「コンストラクティブ・コンフリクト(創造的衝突)」をしようという言葉を使いました。統合を真に実らせるには、互いに相手を避けるのではなく、相手に対する敬意を根本にしたうえで、むしろ衝突をいとわず、自由に意見をぶつけ合うことが大事だ。そういう意味を込めた言葉です。


百聞以不如一見、百見以不如一考、百考以不如一行。
最初の百聞は一見にしかずは誰でも知っている言葉で、確かにその通りですが、見ただけで満足していいのか?その体験をベースに頭がしびれるぐらい考えることが大切だ。さらに、考えただけでも駄目で、実践(行動)が必要だということです。あるとき、海外出張などで視察したことだけで満足し、見てきたことに考察を加えたり、何らかのアクションにつなげようとしない先輩・仲間の言行に疑問を感じ、考え出した言葉です。


「収益は固定費」という言葉を使ったこともあります。本来なら「売値-コスト=収益」なので、収益は他の数字次第で大きくなったり小さくなったりプラスにもマイナスにも振れるもの。しかし、収益を動かせないものとして考え、「売値-収益=コスト」とすれば、売値から収益を引いて残った数字が、コストとしてかけることのできる金額だということになります。企業にとって収益こそ譲れないものだという考え方をこの言葉で示したわけです。


経営の根幹は会社の資産であるヒト、モノ、カネの相乗効果をいかに高めるかです。


簡単明瞭だけでは不十分。読み手に対し訴える力がなければ意味がありません。そのためには自分自身の言葉で語り、自分の実際の体験や実績に基づいて書くしかない。さらに、リーダーなら夢もかたらなくてはなりません。


文章を書くのは、忍耐を必要とする作業です。しかし、私は、自分の手で実際に文章を書くことがますます重要度を増す時代になってきたと考えています。企業の存在意義は価値の創造です。しかも、時代にあった新しい価値。リーダーはそれを表現する言葉を持ち、人々に伝える必要があるからです。


簡潔な文章で、かつ絶対に読み間違われないということ。ビジネスパーソン、組織の人間として文章を書く場合、絶対欠かせない条件です。


企業や国のリーダーは、義務の大切さを説明し、説得できる表現能力を持ち、異質を受け入れる胆力、度胸があるかが問われています。


川崎製鉄とNKKの統合をしたとき、組織も工夫しました。製鉄所などの部長は全員、統合相手の会社にあった同様のポストへ異動させました。部長を全交換したのです。部長たちは相手側の組織の中にいきなり放り込まれるわけですから、当初は違和感も少なくなかったはずです。


川崎製鉄、NKKの2社の企業文化は大きく違いました。川鉄は原価管理が非常に厳密で、一方のNKKは夢のような技術を追い求めるところがありました。異質をどう融合させられるのか。両社の統合で私が社員に求めたのは、まずはそれぞれが権利ばかりを主張することはやめて、新しい会社でどんな義務を果たせるのか、考えてほしいということでした。


個人それぞれが自分の義務を果たす意識と、独立自尊のプライドを持っていなければ、異質と向き合うことはできません。


異質を受け入れることができれば、強くなれます。『論語』や『韓非子』など、中国の古典を読むと、異質との遭遇が人や考え方を磨き上げることがよく分かります。それらは今なお説得力にあふれ、グローバル社会の中で企業や国がどう生きていくべきかについての示唆に富みます。


チームビルディングというのは経営者に必要な能力のひとつですが、それができるためには、自分が社長になったら財務は誰、経理は誰に任せるというように、日ごろから部下のこと、それも長所をよく見ておく必要があります。


戦後、日本の経済界はエリートをアメリカにどんどん送ってMBAを取らせました。ところが、そういう人たちは、帰国しても向こうで苦労して勉強してきたことを活かす場所がないものだから、みんな辞めて外資系企業に行ってしまう。そうしたら日本の会社は、どうせ無駄になると社員にMBAを取らせるのをやめてしまった。だから、日本の人材市場には、リーダーシップを発揮できる優秀な人材が不足しているのです。


社外取締役も、昔はオーナー会社の社長や会長の賛成者といった大政翼賛会でした。いまは社外取締役は監視役として、社長や会長に直接意見を言うことを求められています。しかも、厳しいことを言ってもなお人間的にうまくやれる人格や教養もなければなりません。


私は長く経営に携わるなかで、優秀な上司には、どうも2種類あるということに気づきました。ひとつは、頭がよくて部下の欠点を的確に見抜き指導できる人。もうひとつは、あまり頭がよくなくても、部下の長所を見つけて評価できる人です。たとえば、部下にいつも変わったことを言う人がいるとします。それが長所に見える上司は「あいつの考え方を実現する方法はないかな」と自分でもつぶやくし、周りにも言います。将来経営者になるのは、断然こちらのタイプです。逆に、部下の欠点ばかり見ている人は、だいたい途中でダメになってしまいますね。


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