平川昌紀の名言 一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加

平川昌紀のプロフィール

平川昌紀、ひらかわ・まさのり。日本の経営者。カジュアルダイニングKICHIRIなどを展開する「きちり」の創業者。大阪出身。甲南大学卒業後、リゾート開発会社に入社。1年目でトップセールスとなる。独立し、モスバーガーのフランチャイジーとなり、実際に店舗を運営をしながら外食事業のノウハウを学ぶ。その後「きちり」を創業し、同社を大きく成長させた。

人間には千差万別の個性があります。個性を持った人間が集まり、多様性を受け入れ、「その人らしさ」を大切にしながら実力を伸ばしていくことが、人づくりの基本であると考えています。


スタッフの接客能力の重要度が高い外食産業においては、人づくり自体がビジネスモデルであるともいえます。


一般論として、若い社員が育ちにくい理由のひとつに、「失敗をさせない上司」の存在が指摘されています。何でも先回りして世話を焼き、部下が転ぶ前に支え続けることで、その部下はいつまでたっても経験値を高めることができず、結果として成長できない状態が続いてしまうのです。


リーマン・ショックのとき、一時的ではありましたが売上が大幅に落ち込みました。そのときは値下げ競争に走るのではなく、むしろ付加価値を高めて客単価を上げる方向で改革を進めました。もしもこのときやり方を間違えていたら、今のきちりはなかったかもしれません。


これまで経営してきて、最も難しく、最も大切なのが「理念の浸透」であると感じています。当社のような「大好き」というシンプルで分かりやすい理念でも、全スタッフに腹の底まで得心してもらうのは、並大抵のことではありません。そのため、今後も社長ミーティングは継続していかなければならないと思っています。


会社の規模が大きくなれば、すべてのスタッフと直接対面できる機会は減り、いずれは不可能になります。それを補うためにも、経営者のDNAを受け継ぐ人間を、経営者自身が直接対面して育てていく必要があるのではないでしょうか。


企業理念という「共通言語」を理解してもらいつつ多様な人材を適所に配置して育てていくためには、直接対面し、直接対話をして、コミュニケーションを深めていくことが不可欠です。


現実的な話をすれば、大学生パートナー(アルバイト)の就職活動支援にも卒業式(盛大な送別会)にも、それなりに経費がかかります。しかし、パートナーが長続きしなければ、頻繁に新しく雇い続けることになり、それにも経費がかかります。同じ経費をかけるなら、皆が気持ちよく、長く働ける環境づくりに先行投資し、会社とパートナーが「ウィン・ウィンの関係」を築いていくほうが得策です。もちろん長続きするほど、個々のパートナーの熟練度も上がるというものです。


パートナー(アルバイト)については、面接を複数回行なって当社の企業理念を説明し、これをしっかりと理解してくれた人を採用します。さらにそうした人たちがスキルアップしながら、できるだけ長く働いてもらえる環境を提供するよう工夫しています。具体的には、調理技術などいくつかのジャンルで検定を行い、合格すれば制服の色が変わる制度を導入しています。また、パートナーは大学生の比率が高いこともあり、就職活動の支援を行なっています。面接のノウハウや業界の分析方法を教える講座を設けることで、就職活動が始まってからも辞めずに続けてもらえるようになりました。


新入社員の育成については、2012年4月から12月までの期間限定でオープンした「新卒ダイニングRookies(ルーキーズ)」が注目され、マスコミにもたびたび取り上げていただきました。文字どおり、昨年関西で採用した新卒者9人に、入社後すぐに一軒の店の運営を任せたのです。「新卒ダイニングRookies」では、思い切って失敗できる環境をあえてつくることによって、新入社員の成長を促しました。助言役を任じた社員は、新卒者たちに一切指示を出さず、質問があれば答えるだけにとどめていたようです。すると面白いことに、リーダーを決めていなかったにもかかわらず、9人の中から実力でリーダーになる者が現れ、その社員は入社後わずか3カ月という最短記録で店長に昇格しました。結局昨年末までに、9人の新卒者のうち3名が店長になったのですが、これは当社としては驚異的な成果であるといえます。


社員にもいろいろなタイプがいますが、私は大きく「理念追求型」と「ビジョン開拓型」に分けられると考えています。理念追求型とは、理念を胸に刻みつつ、既存の会社の枠組の中で、自分が担当する仕事を精一杯がんばり、よい成果をもたらしてくれる人のことです。ビジョン開拓型は、同じく理念を胸に刻みながら既存の枠組みを飛び出して新たなビジネスフィールド、ビジネスモデルを切り拓いていく人のことです。両方のタイプの社員がそれぞれ力を発揮することで、安定した運営と大胆な改革を並行して進められるはずです。経営者は、両タイプの社員の価値を同等に評価し、守り育てていく必要があると思います。


当社では、ビジネス向けにアレンジされたコーチングのプログラムを、パートナー(アルバイト)教育を担う店舗マネージャー、複数の店をとりまとめて指導するエリアマネージャー、さらにその上の統括マネージャーなどに学んでもらいました。各マネージャーのコーチングによって実力が高まったスタッフたちは、常に上司の指示を仰いで判断するレベルから脱却し、自分で適切な判断が下せるようになってきたと思われます。特に、個性の時代、多様化の時代に生まれ育ってきた若い世代のスタッフたちは、みずからの判断を生かし、ある程度の権限を持って仕事に取り組めるところにやりがいを感じているようです。


店舗を巡回するときに私が背広を着ていくと、年若い社員やパートナー(アルバイト)が身構えてしまうこともあるため、あえてラフな服装で訪ねるようにしています。そうして和やかな雰囲気をつくりながら、企業理念の浸透を図るとともに、スタッフたちと密接なコミュニケーションを交わすのです。


私は、全店舗を巡回して「社長ミーティング」を行い、可能な限り多くのスタッフと直にコミュニケーションをとるよう努めています。社長ミーティングには、各店舗の社員はもちろん全員参加で、パートナー(アルバイト)も希望があれば参加できます。というよりも、できるだけ参加してもらいたいのが本音であり、パートナーも含めて気軽に集まれるように、お茶とお菓子を用意して「ティータイム」という形で行なっているのです。


単なる連絡なら、電子メールや印刷物の配付でも可能かもしれません。しかし本当の意味でコミュニケーションを交わすためには、お互いの顔を見ながら、五感を駆使してやりとりしなければなりません。そうすることでこちらの「熱」が相手に伝わり、心と心が通じ合うようになるのです。


人づくりの方法論に関しては、創業時からスタッフ全員と顔を突き合わせて対話を重ねることを重視してきました。会社の規模が大きくなってからは、全員と毎日対面することはできなくなりましたが、それでもやはり直接対面して対話をすることが、人づくりには不可欠であると考えています。


私は大学を卒業後、リゾート開発会社などで働いて資金をつくったあと、モスバーガーのフランチャイジーとなりました。独自の店を始める前に、高い価値を提供するチェーン店で、飲食店経営のノウハウを学ぼうと考えたからです。最初の半年はまったく上手くいきませんでした。赤字が続き、私自身はダダ働きで、資金は見る見るうちに減っていき、毎日数字と格闘する苦しい時期が続いたのです。そうして努力していくうちに、原価率や人件費率の管理方法を会得して利益を出せるようになり、1年後にはエリアナンバーワンの実績を残すことができました。


私は、理念とビジョンは経営における車の両輪であると考えています。サッカー場にたとえると、理念はフィールドを取り囲むサイドラインとゴールラインにあたります。ボールがラインの外に出たらプレーできなくなるように、我々の事業は「大好き」という理念(ライン)の外に出てはいけません。そして大好きな仲間(チームメート)たちと、前述のビジョン(ゴール)を目指していくのです。


人名ランダムピックアップ


経営・ビジネス・投資・仕事・お金・経済的な分野で成功を収めた人たちの名言を収録しています。

ページの先頭へ