山上徹の名言 一覧

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山上徹のプロフィール

山上徹、やまじょう・とおる。日本の商学博士。同志社女子大学教授。日本大学経済学部経済学科卒業、日本大学大学院商学研究科博士課程修了。日本ホスピタリティ・マネジメント学会会長、日本貿易学会理事、日本観光ホスピタリティ教育学会会長、京都市京都創生百人委員会委員、日本港湾経済学会会長などを務めた。主な受賞に日本港湾経済学会学術賞、貿易奨励会賞、日本港湾経済学会北見賞ほか。著書に『京都観光学』『ホスピタリティ精神の深化―おもてなし文化の創造に向けて』『観光マーケティング論』『国際観光論』『ホスピタリティ・マネジメント論』ほか。

おもてなしの心に基づく営業は、これまでホスピタリティがあまり重要視されてこなかった業界でも効果を上げている。あるガス会社では、家庭用LPガスを設置する男性スタッフにマナー教育を実施。結果、家庭の台所で応対する主婦層に「礼儀正しい」と好感をもって迎えられるようになり、ガス器具など付随する商品の販売額を大幅に伸ばした。同様のマナー教育は大手宅配事業者でも行われており、ドライバーの応対の好感度が、ライバル企業に差をつけるポイントになっている。


サービスの語源は「奴隷」にあり、トレーニングでマニュアルを徹底させればいい。だがホスピタリティは語源が「客人」であるように、マニュアルに留まらない対応が求められ、担当者それぞれに対してのコーチング(対話指導)が必要になる。マニュアルを厳守するだけのサービスは、ホスピタリティがあるとはいえない。


現在「おもてなし」がキーワードとなりつつあるのは、これまでの経済合理性に基づく経営に対する反動があると考えられる。効率を最重要視するビジネスは、究極的には人の手を介さずすべての商取引が自動化されることを理想とする。その一方で国の別を問わず、人は他者とのふれあいを求め、自分のことを丁寧に扱われることを好む。


相手の立場を細やかに気遣うという日本のおもてなし文化は、数百年の歴史を持つ。その精神を踏まえてホスピタリティを展開できれば、強力な差別化要因となるだろう。


私が会長を務める日本ホスピタリティ・マネジメント学会では、国内外の企業や団体を対象に研究を行っている。日本の就労人口の7割がサービス業に従事する現在、ホスピタリティは飲食業などの接客業にとどまらず、あらゆる業界で競争力に直結する。また海外においても、日本流のホスピタリティが売上と企業ブランドの向上に資することが証明されつつある。


中国では、飲食店での膝をついての接客が「たいへん丁重に扱われている」と感じさせることから人気を呼んだ。だが欧米では必要以上にへりくだった態度は「礼を逸している」と思われかねない。「日本流のおもてなし」といってもマニュアルを覚えさせ、和服の格好を整えるだけでは世界には通用しない。


「ものづくり大国」の地位を中国や韓国などアジアの新興国に奪われつつある日本。電機メーカーをはじめ日本経済の根幹を担ってきた企業の業績も芳しくない。だが日本には、依然として他国に圧倒的な優位性を持つ「商品」がある。それこそが日本文化に根づくホスピタリティ(=おもてなしの精神)だ。


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