尾崎元規の名言 一覧

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尾崎元規のプロフィール

尾崎元規、おざき・もとき。日本の経営者。花王の社長。長崎県出身。慶應義塾大学工学部管理工学科卒業後、花王石鹸(のちの花王)に入社。家庭用品、化粧品部門を主に歩き、花王販売東京本店マーケティング統括部長、化粧品事業本部長、取締役執行役員を経て社長に就任。

どんなに優れた技術でも、その商品を使ってみたいと思う恩恵やストーリー性がないと消費者は振り向いてくれない。感性に訴える部分が必要。


消費者から出てくる新たな兆候を、芽生えの段階でいち早くとらえ、具現化する。マーケッターにはかすかな変化に気付く目利きが求められる。


市場環境や消費者の変化にどう対応するかを考えたとき、事業分野に優先順位を付け、位置づけをはっきりさせてメリハリをつけたうえで目標を立てて成長を目指していく必要があります。


各ユニット(各事業本部)のくくりの中で、消費者にどんな貢献ができるのか、どんなメリットを提案できるのか、もう一度、原点に戻って考えてみよう。


いまは必ずしも無借金が最善という時代ではないと思います。ある程度の借入金があってもキャッシュフローが厚ければいい。カネボウ化粧品がグループに加わってキャッシュフローは増えました。それを再投資して企業価値を上げ、将来の成長に結びつける経営が大事です。


スピードアップは必要ですが、急ぎ過ぎても拙速に終わります。販売会社同士は同じ花王グループでしたが、(経営統合した)カネボウ化粧品は違います。花王のソフィーナとシナジー効果を出すには、お互いの考えをよく知り、議論して進めるべきです。その段階を曖昧にしたまま結論を急ぐと期待する結果を得られません。全体では急ぎたいけれど、あとで上手くいくような形に持っていきたいです。


日本や欧米のような成熟した市場と、急成長するアジア市場ではやり方は違うはずです。日本や欧米は利益をきちんと確保し、アジアでは規模を追求すれば、それに利益がついてくるという構図でしょう。エリアによってビジネスの構造は変わります。


今後、花王全体が成長するには、付加価値の高いビューティケアとヒューマンヘルスケアを土台とすべきです。ファブリック&ホームケアは長年の基盤事業ですが、収益性を向上させ、その利益をビューティーケア、ヒューマンヘルスケアに振り向けます。


本当に求められるグローバルな人材とは、日本で実践してきたことをそのまま持ち込むのではなく、その本質を踏まえながら、「消費者起点の現場主義」をどこの国に行っても実践できる人のことだと思います。


「天佑(天の助け)は常に道を正して待つべし」。毎日毎日なすべきことをしていれば、自ずと天の助けで願いが叶うという花王創業者・長瀬富郎の言葉です。夢や希望は捨てずに、いつかどこかで実ると信じて、どんな仕事も毛嫌いしないでコツコツと努力すれば、いずれ道は開けるはずです。


マーケッターには調査はもちろん、販売や広告、経理など様々な知識が必要です。真のマーケッターになるには、むしろ専門性を持ちながら、いろいろな分野を経験して最後にマーケッターになるのがいいのではないかと、いまは思います。


振り返れば、私もいろいろな仕事を経験してきました。そもそもはマーケティングをやりたいと思っていて、そう希望して入社しました。ところが最初に配属されたのは情報部門でした。ちょっと違うところに入ったかなというのが正直な気持ちでした。しかし、結果的には情報部門にいたおかげで、会社の情報の流れがすべてわかるようになりました。全体の流れを一括して把握できるのは情報部門しかないのです。


ひとつの職種でキャリアアップしていく欧米流に対して、職種の垣根をフレキシブルに乗り越えて多様なキャリアを積み上げていくのが日本の人事制度の強みです。高度な専門性が求められる仕事もありますが、一般的な職種においては自分の専門にこだわって道を狭めるべきではありません。若いうちは間口を広げて幅広い経験を重ね、様々な分野の視点を蓄積しつつ、徐々に自分の専門性を確立していく方がいいのだろうと思います。


人材として困るのは、仕事の選り好みをしたり、自分の専門性に拘泥して、仕事の入り口を限定してしまう人です。


国際感覚とは、経験を積み重ねて、トライアンドエラーを繰り返しながら、ようやく獲得できるものです。それを助ける強い意志や使命感は、よきモノづくりから得られる人々の反応や、やり取りの中から生まれるといえるでしょう。たとえ未体験の世界だったとしても、そうした環境に身を置いて、自分を磨くことが大事なのではないかと思います。


タイやインドネシアなどでは洗濯機用より、安価な手洗い洗剤が主流です。いまの研究者たちにとって、手洗い洗剤など過去の遺物でしかありません。気乗りしない様子の彼らを「答えが出るまで帰ってくるな」とばかりに送り出しました。現地のアパートに住みこんで、手洗い現場を朝から晩まで見続け、大変な思いをしたようです。しかし、手洗いの苦労を実感して自分で工夫を凝らして商品を開発し、それを使った現地のお母さんたちの笑顔や喜びの声に接しているうちに、仕事の面白さや使命感に目覚めたようです。帰国したたびに彼らが自信とやる気に満ちてくるのを感じました。


夢を抱き続けることに関しては、いまの若い世代には同情すべき余地もあります。戦後直後に生まれた我々のような団塊の世代は、日本の経済成長とともに自分が成長できたし、そこに自分の夢を重ねることができました。しかし、市場が成熟し、ともに夢に向かう伴走者を見つけにくい。だからこそ、視点をアジアや世界に広げてみるべきだと思うのです。アジアの成長とともに自分も成長しようと飛び込める人材は、きっと夢をつかみ取れると思います。


よきモノづくりを海外にも展開するためには、言語的なスキルばかりではなく、現地の実情に合わせてリサーチしたり、現地の人々を上手くマネジメントしたりする力が必要です。


研究開発力やマーケティング力、販売力など、花王の強みは国境を越えても通用していくものだと思っています。しかし、我々が主力としているコンシューマープロダクトは、日々の生活に立脚した、毎日使う低価格商品です。その歴史や風土、気質などの基本知識の上に、いま生活している人々のインサイトの情報、つまり商品の使用現場や購入現場で何を考え、どう感じているかということを深く理解しなければ、喜んで使っていただけるものづくりはできません。


最後に頼るべき存在は自分しかいません。自分の力で直面した課題を切り開かないと、誰も助けてはくれません。


結局、困難を乗り越える力となるのは、日々一歩一歩努力を重ねて形成した自分自身しかありません。その意味では、困難を跳ね返す力とは、自分の人生の凝縮から生み出されるものです。


大切なのは誠実さです。完全な納得を得られていない中で「この商品は安全である」と自分たちの主張を押し通していくことは、自分たちに対して忠実ではあっても、社会に対して誠実であると言えるでしょうか。やはり第三者によって安全性の確認が科学的に説明され、納得を得られるようにして初めて、誠実であるといえると思います。


毎日毎日コツコツと続ける努力の積み重ねこそが大事です。半年間山にこもって勉強しても、その後の日々を安易に過ごしていたら何にもなりません。いきなりスーパーショットを打つ必要はありません。それよりも長い期間コツコツと努力を積み上げることによってこそ、大きな成果も生まれるのだと思います。


三代前の花王社長である丸田芳郎は、「会社は道場だ。自分を鍛える場所なんだ」とよく話していました。いま思い返すと、たくさん経験を積み、その経験値で様々な判断や行動ができる力を養っていく場が会社であると丸田は言っていたのだと思います。


必要な情報が3割しかなくても、進むか退くか決断しなければいけない場合もあります。そういうとき、最後はある意味直感が頼りになるのですが、それはいきなり出てくるものではありません。さまざまな要素や過去の経験を踏まえて考え抜く中で、迷いながらもやっと方向性が見えてきます。しかもそれは、スパッと割り切れるような単純なものではありません。


判断力を磨くには、読書も含めた経験が大切ではないでしょうか。やはり正しい努力を積み重ねてきたという経験そのものが、自分という存在になるのです。そこに拠り所がないと、困難に立ち向かうことは難しいでしょう。


私たちは長年にわたって品質を追求する努力を続けてきたという真実に基づく自負があります。その真実を拠り所として、私たちは前に進むことができます。そう自分に言い聞かせ、自分の信じる道を進んでいこうと考えました。


品質という問題に対して疑念があってはいけません。花王は品質が一番の基本であり原点です。だから品質に疑念が出たらまず払拭することが基本中の基本です。そこで疑念を払拭できるまでは、販売を一時取りやめて、払底できたときに再発売することを決めました。


苦しいことがあって気持ちがググッと押し込まれたら、まず踏ん張って態勢を立て直すのです。そのとき、後ろを振り向いても誰もいません。だから、自分で必死で考え決断したことを進めていくのが最良の道です。腹を括ってみると、逆にいろいろな考えが浮かんできて、前に進むことができます。


私たちは困った問題にぶつかると、人に情報を求めたり打開策を相談したりします。もちろんそうした努力も必要ですが、それらはあくまでヒントであって、最終的な判断は自分で下さなければいけません。


成功する商品は必ずストーリーを持っています。ストーリーに欠陥や無理がある場合、その商品は絶対に成功しません。商品の企画や提案に限らず、提案書は、誰かにストーリーを語って聞かせるつもりで書き上げるといいでしょう。


提案と名のつくものはすべて、提案者の作品という側面を持ちます。いろいろな人の意見を入れると、モザイク模様の提案になって鋭さが欠けてしまいます。むろん、理由なく意地を張るのでは困りますが、提案者には「社長の意見も突っぱねる」といった確信を持てるに至るまで、提案の中身を掘り下げてもらいたいのです。


弊社の商品に食器用洗剤の「キュキュット」があります。最初、このネーミングを提案されたとき、私はイエスと言いませんでした。ブランド名には普遍性と継続性が必要ですが、擬音語を使ったネーミングはこの点で問題があると、いささか保守的な判断を下したのです。しかし、担当者はこの提案を頑として引き下げませんでした。真剣な面持ちで、これしかありませんと言ったのです。最後は、「わかった。お前に任せよう」とこちらが折れました。思いつきの提案ではなく、商品ストーリーの中で、これしかないと考えたからこそ、一歩も引かなかったのでしょう。実際、キュキュットは大成功しました。


会議では、訴えたいことは起承転結のあるストーリーとして整理します。様々な要素を簡潔な言葉に凝縮し、それを並べ直すのです。


「即断即決」のためには、提案書は簡潔にまとまっていなければいけません。プロジェクタでスクリーンに映し出された瞬間、参加者全員の共通理解を得られるものである必要があります。いくら内容が優れていても、小さな文字で表記されていたら、十分に理解できないうちに次のページへ進んでしまいます。一項目につき普通は2行、長くて3行。これが限度です。


花王は一風変わった会社で、会議ではペーパーを配る習慣がありません。会議はもっぱら、スライドをプロジェクタで映しながら進められます。これは、出席者の意識を一点に集中させるためです。分厚い資料を配ると、出席者が別々のページを読んでしまうため、意識が分散してしまいます。参加者全員が意識を集中させて徹底的に議論すれば、「よしやろう」「これは、ダメ」と、その場で結論を出すことができます。他社によく驚かれる光景です。


私自身、週末のうち1日は自宅の近所にある、総合スーパー、ドラッグストア、雑貨やトイレタリーを置く食品スーパーの3軒を観測しています。合計で2から3時間。10年近く続けています。定期的に店舗に足を運ばないと、店頭の変化を肌で感じ取ることができません。スーツではなく、カジュアルな服装で店に行き、店の定番商品を見て、新製品を手に取る。当社の子会社が派遣した販売員をつかまえて話を聞くこともあります。


仮説を考えてから現場におもむくからこそ、現場に落ちている問題点や解決のヒントに気が付くのです。


何の考えも持たず現場を歩いても得られるものは多くありません。まずはいま、どんなことが解決すべき問題か、仮説を携えてから現場に行くことが大切です。調査の結果や、社内のマーケッターが持っている情報などを頭に入れたうえで、一度考えてみる。解決策の仮説を自分の頭の中で一度立ててから現場に行くのです。そうすると、何を重点的に見るべきかが見えてきます。


成功する商品には、ストーリー性が不可欠だと常々言っています。ストーリー性というと、まず物語をつくり、それに合わせて開発を始めるのだととらえがちです。しかし、本当に市場に必要なものは何なのかを、現場で得たものに基づいて考えていれば、自然にストーリー性は生まれるはずです。


安いからといって、2個も3個も商品を買ってもらえる時代は過ぎ去りました。いま、必要とされているのは、高い付加価値がついた商品だけなのです。そんな商品を開発するために、当社では現場主義を徹底しています。


いまの時代、企業はどのように情報を収集し、どう発信するかをきちんとコントロールする必要があります。だからこそ、トップが責任を持って決意を示し、その活用についてトップが旗を振らなければいけない。組織内で情報の温度差が生まれることは絶対に避けなければいけない。そのためにもITに関する基本的な考え方やコアの部分について責任を持って進める必要があると思う。


情報提供と情報収集をダイレクトにやろうという発想のもとに販社制度をつくりました。そのとき、マーケティングをやっていた佐川という副社長がいました。彼は消費者とインテリジェンスを交換するという言い方をしていました。いわゆる情報ではなく、あえてインテリジェンスと言ったのは、書かれたものとか出てきた数字データに何を読み取るか、データに秘められた物事の本質を読み取らなければいけないと考えたからです。読み取った本質を処理して返す。このインテリジェンスの交換が非常に大切というわけです。


奥尻島や礼文島などの離島では、個人商店を営むおばあちゃんと、まずはお茶を飲みながら世間話。しばらくすると「さて今日は何を頼もうかねえ」と商談が始まります。人が住むところには店があり、我々の商品がある。無人島以外はどこでも仕事があるのです。


いくら企業理念が立派にあっても、現場から反応情報を取って、消費者を見て、いろいろなものごとを動かし形にするのは社員。その社員にやる気がないとダメです。


技術の進歩、消費者ニーズの変化に対して常にアップトゥデートし、「これでもか」と追求していくことが大事です。それと同時に、当社ではTCR(トータル・コスト・リダクション)活動というコストダウン活動を行いながら、継続した収益性を確保しています。


タイの手洗い洗剤を開発したときには、花王の研究員がタイの下町に住み込んで、毎朝洗濯場に行き、いろいろと話を聞きました。その後、日本に帰って試作品を作ってまたタイへと持っていきました。そして消費者の知識を吸収しながら製品を仕上げていく。これもいわゆる消費者起点の現場主義でのモノづくりです。


製品に関して生活者コミュニケーションセンターにお問い合わせやクレーム、ご提案など年間10万件以上のご連絡があります。そのデータをコミュニケーションセンターが整理して、事業部門や研究部門に流していきます。新製品を発売したら、翌日からどのような消費者反応があるのかをリアルタイムで見られるようになっています。売上の数字と消費者の反応が毎日見られるようになっているのです。


新商品の最終確認で、いろいろなマス調査を行い評価することも大事ですが、その前に自分自身で消費者をきちんと見て、現場、それも家庭や店頭での反応やニーズを探ったり、自分たちが出したものの受け入れ性を現場で確認することを大事にしています。


発売前には、受け入れ性テストを行います。そこで最低6割以上の評価を取らなければいけません。届かなければ、発売を延期してでも達するまでやり直すことを今でも忠実に守っています。


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