小田豊(経営者)の名言 一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加

小田豊(経営者)のプロフィール

小田豊、おだ・ゆたか。日本の経営者。北海道の菓子メーカー「六花亭」社長。北海道出身。慶應義塾大学商学部卒業後、京都の老舗菓子店・鶴屋吉信で修行。その後、父が経営していた帯広千秋庵(のちの六花亭)に入社。副社長を経て社長に就任。

心配なのはやっぱり商品開発です。こればかりは理屈じゃなく、センスが求められます。新商品には、ひとひねりがないといけません。そのものずばりではダメです。


おでんで例えれば、「勤勉」という汁の中に、明るい人から暗い人まで、個性豊かな具が詰まっている。そんな組織を目指しています。


当社が求めている人材は勤勉な人です。勤勉であれば、仕事の手を抜くことがありません。性格が明るいか、暗いかは関係ありません。


無理に会社を大きくしてしまうと、今度はおかしくなった時に会社が潰れるという怖さがつきまといます。手を広げすぎると、品質を管理するのも難しくなります。ですから店舗や商品の数をむやみに増やそうとは思っていません。


値上げしてもお客さんが離れていかないよう、お菓子には工夫を加えています。例えば昨年発売した「マルセイキャラメル」には、当社のビスケットを混ぜるなどして、独自性を打ち出しています。


私は、時の積み重ねで増す価値というものに魅力を感じます。これは茶道に通じる価値観です。私は一時期、京都の老舗菓子店で修業していました。その頃に出合った茶道のわびさびは、時間を経ることで生まれる深い味わいです。今は、会社の規模ではなく、時の積み重ねで増す見えない価値を高めていこうと、以前にも増して考えるようになりました。


当社はよく「家族的な組織だ」と言われます。確かに従業員一人ひとりを家族と同じような目線で育てています。しかし人事評価はシビアで、評価に応じて待遇には大きな差をつけています。私は悪平等が嫌いですから。


安定的に収入が得られる商品を揃えたことも、売上に一喜一憂しなくなった一因です。以前は主力商品の「マルセイバターサンド」に収入を大きく依存していましたが、現在は売上高が年間80億円のバターサンドのほかに、売上高10億~15億円の商品が5~6品あります。バランスよく収入を得られるようにすることが、自分が過去30~40年間に最も心を砕いたことです。


残業ゼロを達成できたことよりも、みんなが早く仕事を終わらせるための方法を一生懸命に考えてくれたことがうれしかった。例えば工場で3つの荷物を1人で一気に運ぶといった工夫です。結果的に利益に貢献したので、「残業ゼロ手当」という名目で賞与を出しました。それ以来、残業をなくしています。


残業ゼロに取り組み始めたのは、日本大震災の影響で一時的に売上が大きく落ちたことがきっかけです。店舗によっては9割も販売が落ち込みました。普段はあまり収入の増減に一喜一憂しないのですが、さすがに青くなりました。難局を乗り切るには全員残業しないようにして、ワークシェアリングしようと従業員に提案しました。クリスマスなどの繁忙期は残業せざるを得ないなどと否定的な意見もありましたが、やれるところまでやってみることにしました。そうしたら達成できました。


当社では全従業員有給休暇の完全取得をやっています。当社も以前はいいかげんに有休制度を運用していました。有休を買い取る形で休暇の日数を減らしたり、全部は買い取れないからと、支払額を減らしたりしていました。しかし、内心では「これは労働搾取だ」と思っていました。私は学生時代に安保闘争が盛んだった世代です。六花亭に入社した頃、資本家の息子として労働搾取していると見られることに、強いアレルギーがありました。会社側に都合のいいような有休制度の運用は、自分に刺さったトゲのように感じられた。そこで自分が副社長だった時代に、買い取り制度を廃止しました。また忙しくて有休を消化できないという状況をなくすために、人員を増やしました。今では有休の取得が当たり前という認識が広がり、放っておいてもみんな完全に消化してくれるようになりました。


当社の日刊社内新聞「六輪」の内容は、結婚や父親の一周忌などプライベートの報告から、職場の話題まで盛りだくさんです。私に対する批判も載せます。従業員とのコミュニケーションですから、紙面から感情が伝わるようにしています。


私が編集長となって社内新聞「六輪」を発行しています。毎日出し続けた結果、発行号は既に9000を超えました。従業員から寄せられたメッセージを載せています。社内のネットワークを通じて毎日600~700通の「1日1情報」が集まり、その中から自分で新聞に載せる120~130通を選びます。ほとんど毎日、午前中はメッセージの選定作業に充てています。


勤勉な人が集まっていると、機械よりも手作業の方が信頼できるようになります。寿司屋と同じで、従業員には手袋をさせていません。清潔な素手での作業に勝る菓子作りの方法はないと思っています。


卒業を控えた高校生を集めて採用活動する時、その親御さんに「おたくのお子さんは明るいですか、暗いですか」と聞くと、8~9割は「明るいです」と答えます。当然ですよね。しかし、私は性格が暗くても全く問題ないと考えています。「当社の従業員の6割は暗い」と言うと、高校生の中にはホッとした表情を見せる者もいます。逆に重視しているのはストレス耐性です。ストレスに強ければ勤勉に働いてくれます。


実際のところ社長として人事に腐心しなければならないのは、優秀な100人と、問題のある100人だけです。両者に挟まれた残りの中間層は健康だし、ほっといても大丈夫な信頼できる人たちと言えます。というわけで自分が人事に口を挟むのは、実質的に合計200人ということになります。
【覚書き|どうやって1300人もの従業員を社長一人でマネジメントしているのかと問われたときの返答】


カステラなどのお菓子は作り手の心の状態が味に影響を及ぼしやすい商品です。ある時、「おたくのお菓子は健康ですね」と言われたことがありました。これは嬉しかったね。作り手が心身ともに健康であることの表れなのだと思いました。


心の病にかかった従業員がいれば、当社で経営する農園で働いてもらうなどして、回復を試みます。実際3年かけて元気を取り戻し、職場復帰した従業員もいます。企業によるうつ病対策の必要性が広く認識されるようになるはるか以前の約40年前から、当社では年2回の心の健康診断に取り組んできました。手前味噌ですが、こうすることで自分に何かあったらちゃんと会社がフォローしてくれるのだという安心感が従業員の間に生まれていると思います。


人事を進めるうえで参考にするのが、従業員を対象に1年に2回実施しているクレペリン検査という心の健康診断です。検査を依頼している研究所の助言を得ながら、診断結果を人事異動に反映させています。「この人を責任あるポジションに登用したいんだけどうかな」などと相談し、「それで大丈夫です」あるいは「やめた方がいいですね」などとやり取りしています。山登りに例えるなら、息切れしている人がいれば荷物を軽くし、元気いっぱいで余裕がある人には、もうちょっと重い荷物を背負わせたりしています。


私は従業員(約1300人)の顔と名前をほぼ全員覚えています。顔と名前を覚えた上で、人事は自分で仕切っています。ですから当社には人事部がありません。大企業ならいざ知らず、この規模の会社であれば、社長が自ら人事に采配を振るうことができます。


おいしいお菓子さえ作っていれば商売はうまくいきます。先代の父、豊四郎がそう信じていました。実にシンプルな原理です。もちろん、だからといって、昔ながらのクラシカルなお菓子ばかり売っているわけではありません。お客さんに様々な商品を手に取ってもらおうと、ファッション(流行)性の高いお菓子も開発します。ただ、あくまでもこうした商品は一過性のものだということを念頭に設備投資はせず、既存の設備をやりくりしながら作っています。


私は、「食」とは一過性の流行ではないとの信念を持っています。例えばマルセイバターサンドは、発売から36年が経ちました。「大平原」という商品名のマドレーヌは50年、モナカの「ひとつ鍋」は61年です。製品を発売してからも製法や材料の分量を変えるなどの改良を加えて、時間の経過とともに完成度を高めています。


実を言うと事業拡大を志向して、株式の上場を考えた時期もありました。しかし証券会社から「上場するに当たって、今後5年間の成長計画を立てましょう」と言われてやめました。成長に限界があると感じているのに、うそはつけませんから。


北海道でお菓子を製造・販売していると、コップの容量(市場規模)に限りがあることに気づかされます。右肩上がりの業績が先々まで続くことは考えられません。そのため当社に売上目標やノルマはありません。


人名ランダムピックアップ


経営・ビジネス・投資・仕事・お金・経済的な分野で成功を収めた人たちの名言を収録しています。

ページの先頭へ