小川泰平の名言 一覧

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小川泰平のプロフィール

小川泰平、おがわ・たいへい。日本の警察官、犯罪ジャーナリスト。愛媛県出身。刑事として神奈川県警に勤務。殺人事件、誘拐事件、企業恐喝などを担当。様々な事件に携わった。退官後は犯罪ジャーナリストやコメンテーターとして活躍。著書に『現場刑事の掟』『泥棒刑事』『警察の裏側』ほか。

下が上を、ではなく、まず上が下を信頼する。それが、下に「この人になら何でも話せる」と思わせる関係を築く第一歩です。


部下も取引先も、真面目なほど起こった問題を抱え込み、かえって傷口を広げてしまいがち。でも、そういう人たちとの間に「何でも話せる」関係ができていれば、躊躇せず情報を上げてくれるし、そうすれば早期に問題の芽を摘むことができます。


「原因を明らかにせずして適切な解決法は出てこない」と仰る方もおられるでしょう。しかし、原因をひたすら追求すれば必ず核心にたどりつけるというものでもありません。むしろ私の経験では、ある仮説に立った捜査が空振りしても、その過程から第2、第3の手を講じていくうちに核心が見えてくるケースのほうが多いように思います。


何ごとか問題があり、相手に相談したいが言い出せないというとき、往々にして、普段と違うところが態度に表れます。どこかおどおどして目を合わそうとしないとか、特定の話題について無関心を装うなど。人によって様々ですが、何かしらの兆候があるものです。しかし、そこで焦らず、相手が自分のタイミングで話そうとするまで待ちましょう。「どうかしたの?」とか「何か心配事でもあるの?」と、それとなく問いかけてみるのもいいでしょう。相手は「話したい」のですから「この人は自分を気にかけている」と思えれば、いずれは自分から「実は……」と話し出すはずです。このとき気をつけるのは、相手が話そうと思ったまさにそのときに、話を聞いてあげることです。「今は時間がない」「後でゆっくり」などとこちらの都合で間を置くと、相手はまた逡巡してしまいます。タイミングを逃さず捉えることが大事です。


ビジネスでも、零細の取引先や部下の隠し事・ごまかしに薄々でも気がつくと、有能で頭の切れる人ほど即座に追及したがります。が、いきなり痛いところを突かれたら、相手は核心部分に触れることすらなく心を閉ざします。そうなったら終わり。


単刀直入に事件に関わる話をしても、相手はなお頑なになるばかり。そこで、事件とはまったく関係のない話題、たとえば「生まれはどこ?」とか「趣味は何なの?」など、一見どうでもいい、「これなら答えても構わない。自分の不利になることはない」と相手が口を開きやすい話題から始めます。こっちも刑事ですから、話し始めた相手の小さな嘘はすぐにわかります。でも、そこは流してうんうんと黙って聞いてやるんです。


取り調べの始まりは、実に穏やかです。何しろ被疑者に話をしてもらわないことには、調べが先に進みません。ですから、ガチガチになっている被疑者の緊張を解き、話しやすい雰囲気をつくることが、取り調べにおける刑事の最初の仕事。その雰囲気づくりのためには、のっけから敵対するのではなく、まず相手との信頼関係を築きます。そこで最も大切なのは、まずこちらから先に相手を信頼すること、悪く言えば信頼するフリをすることなんです。容疑者は嘘をつくもの、隠し事をするもの。それを信頼するというのは、一見おかしなことに思えるでしょう。けれど、隠し事をする人には、頑なに隠そうとする意思とは反対に「話してしまいたい」という心理も働いているものです。


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