太田肇の名言 一覧

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太田肇のプロフィール

太田肇、おおた・はじめ。日本の経営学者、経営学博士。同志社大学政策学部教授。兵庫県出身。神戸大学大学院経営学研究科修了。京都大学経済学博士。国家公務員、滋賀大学教授などを経て同志社大学教授。専門は組織論。個の視点から組織や社会について論じている。主な著書に『承認とモチベーション』『「不良」社員が会社を伸ばす』『お金より名誉のモチベーション論』『認められたい!-がぜん、人をやる気にさせる承認パワー-』『認め上手 -人を動かす53の知恵-』など

仕事において個人がクリエイティビティを発揮できなければ、これからは生き残っていくのがむずかしくなる。


労働力の多様化が進めば進むほど、個人を生かせる職場づくりに注力しなければ、会社と従業員とのミスマッチが生じやすくなるのは当然である。


個人のモチベーションが上がれば生産性も上がる。一つひとつの仕事の品質も向上する。ひいては企業の業績も上がっていく。


小さなミスを恐れて大胆な行動をとらないと、小さなミスを失点にカウントされる。小さなミスを恐れずに大胆な行動をとりつづけると、小さなミスを犯しても失点にカウントされない。出すぎた杭になってしまえば、打たれることは少ない。


出すぎた杭は、必ず周囲の溜飲を下げる余地を残しておくべきだ。仕事以外の部分では、スキやヌケをつくっておく、バカになるということだ。頭が切れる人はただでさえ周囲に警戒されがちだが、そういう人がカラオケに行って、異様に音痴だったりすると、とたんに周囲から愛される存在になる。切れ者から愛(う)い奴に豹変する。


出すぎた杭は、MBA的な一見汎用性の高そうな能力によって承認を得ようとするべきではない。「この仕事に関してはあいつが一番」というオンリーワン型のスキルで一点突破を目指すべきだ。


ジェネラリストになるかスペシャリストを目指すべきかという議論は、これまた古くからある議論だが、一見汎用性の高い能力を備えた人材より、守備範囲は狭くとも、質の高いアウトプットを出す人材の方が、実は汎用性が高いというパラドックス(逆説)が存在する。


出すぎた杭たらんとするときに忘れてはいけないのが、ひとつの能力に特化することで一点突破を図れということである。出すぎた杭は、常に組織から追い落とされる危機にさらされる。それゆえ、代替不可能な存在になることによって、社内のポジションを確固たるものにしておく必要がある。狭い範囲でいいから、質の高いアウトプットを出し続けること。「この仕事は君にしかできない」という存在になってしまえば、たやすく地位を脅かされることはない。


一般に直属の上司は、部下に出すぎた杭が存在することを好まない。トラブルが起きれば自分の責任になるし、部下が過剰に目立てば自分の存在が霞んでしまう。つまり、直属の上司とは利害が衝突するものだと心得ておいたほうがよい。


人を巻き込むにはそれなりのテクニックが必要だ。ポイントは巻き込まれる人の利害に聡くなること。相手の利害を正確に把握し、その利害に向けてピンポイントで殺し文句を吐くことが大切なのだ。


確信的暴走社員たらんと決意したとき、最大の抵抗勢力となるのはミドル(中間管理職)層である。ミドルは旧体制の評価軸に依拠して出世してきているから、旧体制の秩序を脅かすような個性を排除したがるのは当然である。一方で経営トップはそうした個性を待望しているのだから、確信的暴走社員にとっては、いかにミドルの抵抗を突破するかが重要な命題となる。


職場で犠牲バントをしようと思ったら、職場の得点になる仕方をしなくては意味がない。職場のメンバーの利害を見抜き、その利害に上手くフックするポイントを見通して、単に、誰もがやりたくないことを買って出るのではなく、誰もがやりたくないけれど、それをやれば確実に職場にメリットがあるポイントだけを狙って自己犠牲を果たすことだ。


工業社会、すなわちモノづくり中心の社会では、決められたことを正確に、より早くこなすことが求められ、そのためには均質な人材が調和を保っている組織がベストだった。しかし、ポスト工業社会(情報社会、知識社会)で求められるのは、周囲と調和する力よりも、むしろ調和を乱すような突出した個性であり、創造性なのだ。


調整が得意な優等生型に対し、突拍子もない大言壮語を吐く学生や、猪突猛進タイプの学生の方が確実に多くの企業から内定を獲得している。しかも、ベンチャー企業や新興企業ではなく、むしろ保守的と思われる大企業から多くの内定をもらっている。


人の上に立つリーダーには、部下たちの本当の気持ちを理解する洞察力が求められる。常日ごろから部下たちとのコミュニケーションを図る姿勢も必要だろう。そして一人ひとりのことをよく考え、部下を利用して自分が出世しようとするのではなく、むしろ「部下を売り込む」役目を果たしていくのである。そうしたリーダーであれば、部下たちは意気に感じて、そのリーダーについていきたいと願うようになる。


日本では、個人の仕事の分担も責任の範囲も明確でないことが多い。部下に仕事を任せる立場である上司にしてみれば、一人ひとりの部下の仕事の範囲が決まっていないことから、ついつい細かいところまで口を出してしまいがちだ。部下の立場からすれば、自分の仕事に対して最終的な決定権を持たされていない。つまり権限が委譲されていないため、何でも上司に相談し、上司に頼らざるをえなくなる。個人に責任も権限もなければ、モチベーションも上がらず、個人がうまく生かされない状況が形成されてしまうのである。


海外の企業を見ていると「個人をうまく生かしているな」と感じることがよくある。その理由を探ってみたところ、個人の仕事の分担・範囲がはっきりと定められ、その範囲において、末端の社員まで権限が委譲されていることが分かった。個人の仕事の範囲が明確であることから、個人の責任の範囲も明確となる。同時に、たとえば予算を使うような案件でも、認められた範囲内において、個人の裁量で判断できる。


周囲からの評価は、ふだん見えていない「自分の姿を見る鏡」であるともいえる。認められることによって、自分のよさを知る機会が得られるのだ。よさを知れば、喜びにもつながるし、さらに自分のよさを伸ばしていこうという動機にもなる。


独立・起業、もしくは「のれん分け」を、会社として支援するのも有効な方法だ。自分で起業しようとする人は、非常にモチベーションが高い。起業するまでのあいだ、実績を残そうとして人一倍努力してくれるものである。当然、同じ業界であるから、独立後には協力業者として付き合っていくこともできる。その人の能力が高ければ、会社にとってもプラスになるに違いない。


社内で何らかの文章を作成したり、新しいアイデアを考案したり、新製品を開発したりした人については、きちんと名前を出していくことが大切である。名前を出してもらうことで、やはりその人は承認の欲求を満たすことができる。やる気が高まり、仕事の質も高まる。名前を出してもらえると思ったら、アイデアを「出し惜しみ」することもなくなる。個人も会社も喜ぶという意味で、「名前を出す」のは非常に効果が高いのである。


「敗者復活」のチャンスをつくることも、会社としてぜひ検討していただきたい。敗者復活の機会がなければ、その人のモチベーションは下がり、最低限の仕事しかしなくなるだろう。反対に、敗者復活できることが分かっていれば、過去の失敗を取り返し、その会社で再び活躍できるように努力する人が増えるはずだ。


サラリーマンの方々には、会社に勤めて10年くらい経ったころに、自分のキャリアの棚卸しをすることをおすすめしたい。35歳くらいまでなら、再就職できるチャンスもある。独立できるかどうかを判断したり、この会社で骨を埋める覚悟を決めたりできれば、後悔のない人生を歩むことができるのではないだろうか。


表彰制度と、賞与や昇給・昇進・人事考課などは切り離して考えていただきたい。むしろ、そうした人事労務面とは別の次元で、「会社は一人ひとりの従業員のことをこれだけ考えているんだ」という経営者の思いが伝わる表彰であることが望ましい。それが会社への忠誠心が強くなることにもつながるのである。


表彰制度を導入するときに気をつけなければいけないのは、受賞者を選ぶ方法である。ここでは単純な営業成績トップといった賞ではなく、それぞれの会社が独自に設ける賞のこととお考えいただきたい。仮に受賞者を、社長や幹部が密室の中で決めたとしよう。そういう方法で選んでしまうと、必ずといっていいほど不信や不満を抱く人間が出てくるものだ。「あいつは社長のお気に入りだから表彰された」とか「あいつがもらえるのに、自分がもらえないのはおかしい」などと社員から思われた瞬間に、賞そのものの値打ちが損なわれてしまいかねない。こうした事態を避ける方法として、「ポイント制」を用いるのもいいだろう。売上をこれだけ上げたら何ポイント、お客様から感謝の声が届いたら何ポイント、どこかで何かを発表したら何ポイントといった具合に、ポイントの割り当てを決めておくのである。そうして一定以上のポイントを獲得した従業員を表彰するというルールがあれば、不満が出ることはまずないだろう。


創造的でモチベーションが高い人たちは、それぞれのジャンルで何らかの「賞」を獲得することを目標としている場合が多い。科学者ならノーベル賞、俳優や演出家ならアカデミー賞、作家なら各種の文学賞、スポーツ選手ならオリンピックの金メダルなどが究極の目標になるだろう。といっても、賞に付随して得られる賞金や賞品が目的なのではない。もちろんないよりはあったほうが喜びも大きいかもしれないが、究極的に重要なのは「名誉」を得ることである。名誉のために人は努力するのであり、名誉を得たことによって、さらなる高みをめざして努力しようとする。会社経営において与えられる表彰も、それが一定以上の権威を有していれば、受賞した従業員の「名誉」となる。


会社経営において、「表彰制度」の導入は非常に大きな可能性をもたらしてくれる。何らかの形で社員の取り組みや成果を表彰すれば、その社員の「承認の欲求」は高いレベルで満たされる。承認の欲求が満たされることで、社員は大きな喜びを得ることができる。この喜びが、個人のモチベーションを大幅に高めてくれるのだ。


個人が生かされなければ生産性は下がっていく。品質も下がる。いくらトップダウンで号令をかけ、表向きは素直に従っているように見えていながらも、それはあくまでも外見であって、実際には面従腹背する人が多くなるだろう。見えないところで手を抜く社員も増える。


会社で働く人間がクリエイティビティを発揮するためには、個人の「自発的なモチベーション」が必要不可欠となる。今や個人を生かし、一人ひとりのモチベーションを高めていくことが企業の最重要課題となったのである。


会社を運営する立場の人間には、どちらかといえば従業員を「労働者」として一括りにとらえる向きがある。しかし今の時代は、「個人」を理解し、「個人」を生かしていくことが不可欠な要素になっている。


人は「誰かから認められたい」という強い欲求を持っている。しかし、日ごろその欲求を言葉や態度に出すことはほとんどない。特に、自己アピールが下手な日本人にその傾向が強いともいえる。いつも表向きは抑えている欲求だからこそ、人から承認されたときの喜びは大きく、高いモチベーションにつながりやすいのである。


さまざまな論説等でよく引用される「マズローの欲求階層説」において、承認の欲求は、最高位の自己実現の欲求に次ぐ、二番目の欲求に位置づけられる。人が仕事をする際、もちろん自己実現の欲求も大きな動機となるだろう。しかしそれ以上に、承認の欲求を満たすことは、やる気を高める原動力となりうる。


人は、自分が努力してきた過程や、努力によって得られた成果などを他人から「承認」されたときに、大きな喜びを感じるものだ。この承認の喜びがモチベーションとなり、いっそう努力するようになる。


よくあるのは、「この仕事は君に任せた」と言いながら、後で「私に相談もせず勝手なことをするな」などと矛盾した叱り方をするケース。これは、どこまで任せるか線引きがはっきりしていないから起こることです。線引きを明確にし、任せた限りは一切口をはさまないといった割り切りが重要です。


表彰は会社としてその人を認めるという明快な意思表明なので、受賞者はそれを誇りに思うことができ、周囲もそれを受け入れざるをえません。ポイントとなるのは透明なプロセスと、あらゆる人が表彰される可能性があるという公平さ。さらに、日の当たる人だけでなく、非正規社員やアルバイトなど縁の下の力持ちも対象となるような制度であれば、組織を活性化するご褒美として有効となります。


最も効果的なのは、上司に褒められること。昇給や昇進といった実利に結びつくと考えられているからでしょう。同僚や他部署の人から褒められた場合、人間関係がよくなる効果はあっても、仕事へのモチベーションアップにはつながりにくいようです。


モチベーション維持の秘策は「長期的な青天井の夢や目標を持つ」こと。将来、独立して大社長になるなどといったたぐいのもので0K。それがあると、多少失敗したり面白くないことがあっても、モチベーションが途切れることはありません。


褒めるときは、いま、どの位置にいるのかがわかるように知らせることが肝心。私の教え子は会社の上司から「君は同期の中では一番素晴らしい。だけど、会社全体で見ればたいしたことはない。次は会社全体の中でもっと上位にいけるよう頑張れ」と褒められ、励まされたそうです。教え子は、俄然やる気がわいたと言っていました。


褒められ世代に対しては、普段から軽めに叱って免疫をつけていくことが重要です。


高学歴社員や大企業に入社した人の中には、周囲の評価以上に「自分はできる」と思い込んでいる人が少なくありません。かつて学校の試験でいい成績をとれたことを、社会に出てからも引きずっているからです。つまりは自信過剰。そうした人に現実を知ってもらうには、「同じ条件で仕事をする機会を与える」ことです。自分の名前で仕事をさせ、もし周囲より力が及ばないと知れば、さすがに評価に納得するでしょう。なかには、そこから奮起できる人もいるはずで、一度自分の至らなさを認めた人であればこそ、大きな戦力となるはずです。


満足感をもって仕事をしてもらうには、自分の名前で仕事をさせるといいでしょう。企画書にクレジットを入れるのはもちろん、誰のアイデアか、誰の意見か、誰が取り組んだ作業かを明確にするよう会社の仕組みとして制度化するのです。現在はそれが曖昧すぎるケースが多く、「上司が手柄を横取りした」「自分のアイデアが採用されたのに評価に反映されない」など、いらぬ不満を引き起こしているのです。


部下へのご褒美の中でも最も効果的なのは「大きな仕事を与える」こと。自己効力感(自己有用感)をストレートに感じられるからです。加えて、その人が持っている潜在能力をすべて発揮したときに達成できるかできないか、といったチャレンジングな目標、つまりギリギリの目標を与えることが有効です。


馬の鼻先にニンジンをぶら下げるのではなく、何かを達成したからご褒美をあげるという「思わぬご褒美」という形をとれば意味が違ってきます。部下にとっては「自分の能力や成し遂げた仕事が承認された」ことになるので自信になり、人を最もポジティブにしてくれる要素のひとつ「自己効力感(自己有用感)」を高めることにつながるのです。


ご褒美は、部下が自分の能力を知るためのひとつの手段であり、一種の鏡のようなもの。給料やボーナスアップ、昇進、褒め言葉や表彰など、ビジネスパーソンのモチベーションをアップさせるご褒美はいくらでもあります。これらを総合してパッケージ化することがやる気につながります。


A・H・マズローの「欲求階層説」によれば、下位の欲求がある程度満たされてはじめて上位の欲求が呼び起こされ、ある程度満たされた下位の欲求は動機づけの力を失うとされています。たとえば最も次元の低い欲求である生理的欲求は、ご褒美でいえば月給やボーナスに相当します。賃金がアップすれば、そのときはうれしいし、もっと頑張ろうという気になるでしょう。しかし、しばらくするとそれが当たり前になって持続しません。


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