堀紘一(コンサルタント)の名言 一覧

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堀紘一(コンサルタント)のプロフィール

堀紘一、ほり・こういち。日本の経営コンサルタント。兵庫県出身。メリーランド州立大学留学、東京大学法学部卒業後、読売新聞社経済部記者、三菱商事などに勤務したのち、ハーバード大学経営大学院でMBAを取得。その後、米国大手コンサルティング会社ボストンコンサルティンググループに入社し日本法人社長に就任。退社後、ベンチャー企業支援のドリームインキュベータを設立。

人は、自分が成功の喜びを知っていれば、部下の成功も心から喜べる。また、自分が失敗の悔しさを噛み締めた経験があれば、失敗して落ち込む部下の気持ちを察することもできる。


笑顔だけで仕事が進むわけではない。しかし、顧客との場の雰囲気を和ませる笑顔というのは、どんな仕事であれ、その人の人間性を表わすという点で重要だろう。


「行くも地獄、戻るも地獄」といった局面のとき、僕はこう思うようにしている。「ちょっと待てよ。これは今日中に結論を出さなくちゃいけないのか?」。つまり、期限を考えるのだ。明日でもいいということになれば、そのまま帰宅して風呂に入って寝てしまう。翌日になると、気分が爽やかになって問題の受け止め方が変わっている。悩みが悩みではなくなっていることが多いのだ。


右肩上がりの幸福な時代は去った。いまは悩みの多い時代である。だが、考えてみて欲しい。仕事で悩むのは、そもそも当たり前のことなのだ。何の悩みもない仕事、人生などない。むしろ大事なのは、悩んだときに、そこからどうやって次の明るいステージへ脱出、脱却するかである。


世の中には「時間がない、時間がない」という人がいる。しかし僕の経験では、歴代総理や大会社の社長はいずれも会見を頼んだら一週間以内に時間をくれた。ところがそこそこの会社の役員クラスは、「忙しいから」といってなかなかスケジュールを固めてくれなかったりするのだ。そういうとき僕は、「なるほど、その程度の人物なんだな」と納得するようにしている。時間の使い方ができていないということだ。


「あまり寝ていなくて」と忙しさを自慢するのは愚かである。頭を正常に働かせるには7から8時間の睡眠がいる。そして会社に居残る時間を短くする。仕事の密度を濃くし、夜7時以降は会社にいないようにする。勉強や会食の時間がとれないからだ。


一流の人物とどんどん接することも勧めたい。たとえば著名人の講演を聴きに行く。話しはメディアを通してお馴染みの内容であっても、本人の声を直に聞くことで得るものは大きい。もし一流の人たちと会食の機会があったら、尻込みせずに行くべきだ。大事なのはとにかく「一流」と接触して、それら対象との距離を縮めることである。


旅行を勧めるのは、非日常性を体験できるからだ。普段の生活空間とは異なる場所へ移動し、ひとときを過ごす。すると内面に刺激を受け、発送が広がってくるのだ。僕の考えでは、クリエイティビティ(創造性)の本質とは「アナロジー(類推)」と「順列組合せの変更」にある。類推を呼び起こすには、同質を離れて、異質なものに触れなければならない。だから非日常性を体験できる旅行が重要なのだ。


書籍を読むことは情報を得るための、非常に有益な手段となる。メディアは紙媒体でも電子書籍でも構わない。大事なのは「コンテンツ(内容)」だ。なぜ手軽にアクセスできるテレビや新聞、ネット情報ではないのか。ブログやツイッターでは駄目なのか、疑問に思う人もいるだろう。書籍は著者が精魂を傾けて書いたものだ。したがって情報が結晶化している。そこに記された知識や情報は純度が高く、読む価値が高いのだ。一方、ツイッターの情報は短いが、結晶化はしていない。


未来を正確に見通すことは不可能に近いが、自分なりの感覚は持っていて欲しい。少なくとも、「世の中は移り変わるもの」という前提で周囲を眺めることだ。将来についての自分なりの見通しを持ち、その中で自分の得意なところをどう磨いていくかを考える。そして、十分に考えた末、いよいよ実行に移していく。


ビジネスの勉強と、受験勉強とで大きく違う点がある。ビジネスの世界は、あらかじめ問題が設定されているわけでなければ、回答がひとつとは限らないことだ。問題そのものを自分自身で設定しなければならず、回答についても幾通りかのパターンを考えなくてはならない。


他人との差別化は、狭い領域でも一向に構わない。世の中や周囲の他人と比較して、自分は何が上手、得意なのかを理解する。その場合、大事なのは他人からの評価なので、第一に他人から見て自分はどのような点が、どう評価されているかを冷静に知ることだ。そのうえで、得意分野のレベルアップをしなければならない。


雇用環境が厳しい中では、他人との差別化がものをいう。「これはあの人にしかできない」という印象を刻み付けることができれば、「これはあの人にしかできない」という印象を刻み付けることができれば、条件の良い職場が待っているかもしれないし、リストラの対象にはなりにくい。


高度成長時代というのは懐かしいし本当によかった。なにせ放っておいても経済は拡大する。拡大する経済は、自ら動かなくてもお客様から注文を運んできてくれた。増大する注文、売上に対応すべく素早く真面目に増産計画を立て、場合によっては新しい設備を入れる、人を雇う。仕事のやり方は、受け身が基本。ところが、いまのような低成長時代は前提条件がまるで異なってくる。待っていても注文は増えない。したがって、ビジネスマンは自分から動かなければならない。


あなたが悩んでいるとき、往々にしてあなたを追い詰めているのは他人とか上司とかではなく、じつはあなた自身なのである。だから気分を変えてみることで、よりよい解決法が浮かぶのである。自分を追い込むな、悩みを持ったら気分を変えてみてはどうか。真面目で責任感が強いのはいいことだが、何事もゆとりをもって考えるべきなのだ。閉塞感漂う、いまだからこそ言いたい。


数字に対するセンスもまた、磨いていかなくてはならない。ベースは簡単だ。必要な数字の「桁数と頭の数字を間違えず」、「大まかにとらえる」ということである。たとえば中国の人口は13億人だ。これを「10億人くらいです」というのは構わない。だが、一桁間違えて1億人とか、最初の数字を間違えて30億人と答えるようでは数字のセンスを疑う。とっさには細かい数字まで把握してなくてもまず困らない。「業界の市場規模はだいたい20兆円」「喫煙率は20%くらい」と、すぐに出てくることが大事なのである。


時間を有効に使うため、細切れの時間を活用することも大切だ。僕はいつも鞄の中に文庫本を用意している。訪問先で少し待たされたりするときに、少しずつ読み進む。そうすると一週間に一冊くらいのペースで読了する。相手に待たされても、腹を立てることがなくなる効用もある。


自分が一流になるためには、一流のものや一流の人と積極的に触れ合うべきである。といっても、法外な費用をかける必要はない。たとえば、絵画や美術品。東京の美術館でも常設展なら1000円から2000円の間で鑑賞できる。音楽は、クラシックの生演奏を聴くとしたら1万円から3万円もの出費になるが、CDならせいぜい2000から3000円で済む。


僕は1980年代に米ハーバード大学院でMBAを取得したが、いまだったら間違いなくアジアに飛び出しただろう。今後中国が力をつけていくのは間違いないので、北京か上海に留学する。そして中国語を勉強し、中国人の友人をつくって中国人のものの見方や考え方を学ぶ。そうすれば、その後どんなビジネスをやるにしても必ず役立つはずだ。


メールやツイッターなどの新しいメディアは、たしかに乗り物としては使い勝手もよく発達したが、肝心の中身の発達がまだまだ遅れている。短文だけに行間にどんな感情を込めているのかわかりにくく、書き手の意図など忖度されぬまま疑心暗鬼を呼ぶことがある。これらを使いこなすには、何よりも書き手、読み手双方の国語力の向上が必要とされるだろう。
【覚書き|忖度=そんたく。他人の心をおしはかること】


メディアは何であれ言葉を乗せるビークル(乗り物)である。書籍やテレビ、ラジオと同じく、メールもツイッターもビークルだ。しかし肝心のコンテンツ(内容)がよくないと話しにならない。僕はまったく地上波テレビを観ていないが、その理由もコンテンツがよくないからだ。見るに値するコンテンツなど皆無で、テレビを観る時間があったら、本を読めと言いたい。


この先30年の社会の変化について、自分なりの見通しを持つことも大事である。いまの枠組みが未来永劫続くことはないからだ。たとえば、大学生の就職人気企業など最たる例といえる。昭和20年代のそれは、砂糖と紡績会社だった。30年代には鉄鋼と造船、40年代になると銀行の人気が沸騰した。JALだって数年前までは人気が高かった。入社した人たちの多くは、まさか会社が破たんするとは思わなかっただろう。誰も未来のことはわからないが、今年が去年の延長線上という考え方は危険だと思う。


複数の言語を習得すべきかどうか迷う人は多いだろう。そもそも語学に中途半端は禁物だ。そこそこできる程度など、ことビジネスの現場においての活用に限っていえば何の役にも立たない。もし英語がそこそこできるのなら、むしろそちらを深め、「とてもできる」レベルを目指すべきだ。ただし、ビジネスで通じる英語のレベルとなると、最低5万語を覚えなければならない。文法は多少いい加減でも構わないが、このくらいのボキャブラリーがないと十分な意思疎通ができない。


多くの日本人は受験勉強のやり方に染まっているため、苦手科目を重点的に勉強し、総合点を引き上げればよいという発想に傾きがちだ。得意科目はさほど努力をしないでも高得点を期待できるから伸び代が少ない。だから苦手の克服に注力せよ、というのが受験勉強の鉄則となる。だが、ビジネスマンに必要な勉強法は、まったく逆で、得意科目を徹底的に伸ばすということ。極端にいえば苦手科目は捨てるくらいでいい。得意な人と組んで、その人に任せればいいからだ。


「自分は他の人と比べて何が違うか、どこが優れているか」を認識し、それを徹底的に伸ばす努力をするしかない。そう「人と違うことをやれ!」である。


新しい年が幕を開けた。ひとつはっきりしていることがある。残念ながら「待ち」ではろくな年にはならないだろう。「自ら動く」ことである。


自分のことが先で、相手のことを後回しにする人は信頼されません。まず相手のことを気遣い、その気持ちを表現し、わかりやすいように伝える。これが徳を積むということの本質です。そして徳が備われば、その人は自ずと信頼されます。


周囲の信頼を得られる人間になるのは、それほど難しいことではありません。基本は約束を守ることです。とくに時間に遅れないことが重要です。私は歴代の総理大臣や名だたる企業の会長・社長を何人も知っていますが、驚くことに、しかるべき地位にある人ほど時間に正確で、決して人を待たせません。だからこそ周囲から信頼され、そこまで登り詰めることができたといってもいいでしょう。


約束の時間には絶対に遅れないこと。一回でも遅刻すれば、時間すら守れない人間に、責任のある仕事などできるはずがないと判断されるということを肝に銘じておくべきです。


もし守れないかもしれないという気持ちが少しでもあるのなら、最初から約束をしない方がいいでしょう。私は12月から3月の間は東北や北海道の講演はすべてお断りしています。搭乗予定だった飛行機が悪天候で飛ばないなどとなったら、主催者や私の話を聞くために集まってくださった人たちに、迷惑をかけてしまうからです。


信頼を得るには反応、レスポンスを早くすることも大切です。私が自分の最新の著書を紹介すると、すぐに翌日、その感想を送ってくれる人がいます。夜を徹して一気に読んでくれたのだと思うと、著者としてもありがたみが倍増し、もちろん印象にも残ります。これが1か月後だったら本を紹介したことすら忘れているかもしれません。


人に信頼されない典型的なタイプを2つ挙げると、ひとつ目は連絡がなかなか取れない人。大事なときにどこにいるのかわからない、携帯電話でもつかまらないというような人は、仕事ができるできない以前に、パートナーとなり得ません。2つ目は、こちらの時間を平気で奪う人。自分の都合ばかり優先して、相手のスケジュールには無頓着。いきなり「明日までにこれをやっておいてください」というような依頼の仕方をするような人は、いくら信頼してほしいと言われても、それは無理というものです。


わずかな技術領域にだけ優れていても、残りの8割以上が平均以下だったら、結局、成果を出すことはできません。ですから、毎日の仕事を早く終えて、会社の外で視野を広げる時間を作るべきなのです。


私の会社に入社してくる人たちは、能力的には非常に優秀です。ところが、困った問題がひとつあります。それは、夜遅くまでオフィスに残って仕事をする人間が多いこと。私はいつも、「こんな時間まで会社に残っていたら、視野の狭い人間になるぞ」と忠告しています。会社の外にはさまざまな価値観や経験を持つ人たちがいるのだから、交流する機会を積極的に作れば、新しい学びを得ることができる。なのに、君たちみたいに机にかじりついていたら、幅の狭い人間になってしまうよ、と言っているのです。


仕事や人生において重要なのは目的であって、手段ではありません。「仕事時間を短縮すること」も、あくまで手段にすぎない。まずは人生の目的を設定して、「自分はこれを成し遂げたいから、そのための勉強や自己啓発の時間を確保しよう」と決めること。目的が明確になれば、どうすれば仕事時間を短縮できるか、真剣に考えて実行できるはずです。


よく考えていただきたいのは、目先の時間を減らしたいのか、トータルの時間を減らしたいのか、ということ。当然、目指すのは後者でしょう。だからこそ、仕事全体の設計図を描くことが不可欠なのです。


コミュニケーションで大事なことは、どこまで心の深い部分で互いをわかり合えたか。その体験が一度でもあれば、あとはムダな議論をせずに済みます。ところが、互いを表面的にしか理解していなければ、同じテーマで何度も議論をしなくてはいけなくなる。結果的に、コミュニケーションで使う時間の総量が増えてしまいます。


メールでの連絡は確かに便利ですが、フェイス・トゥ・フェイスで話したほうが早い場合はいくらでもある。たとえば、メールの文面が「私は賛成です」だったとしても、どの程度の賛成かは、そこから読み取れません。顔を見て話せば、文句なしの大賛成なのか、実は不満を飲み込んで賛成と言っているのか、一発でわかります。もし不満があるなら、きちんと話し合って解決しておかないと、あとになって問題が生じます。


意味のあることは、自分の頭で考えたり、他人の意見を聞いたりすることで生まれます。ですから、「考える・調べる」と「分析する」のあいだをぐるぐる回りながら仕事をするのがいいのです。一見すると回り道のように思えますが、ゴールに辿り着くまでの時間は確実に短縮されます。


私が心がけているのは、「考えたり調べたりすること」と「分析すること」を別々に行なうのではなく、両者のあいだをぐるぐると回りながら、螺旋階段を昇るように仕事をすること。私は、分析に行き詰まると、作りかけの資料を持って、現場をよく知る小売店や販売店の人たちに話を聞きに行きました。「販売店の売上げと規模の関係をグラフ化したところ、規模が大きい店舗ほど面積当たりの売上げが高いという傾向が出ているのに、そこから大きく外れた異常値を示している店舗があるんですよ。なぜでしょう?」などと聞いてみるわけです。すると販売店の店主が、「あの店はちょっと変わった売り方をしているんだよ」といった、データからは読み取れない情報をくれる。そうして生の情報を集めながら、分析を深掘りしていく習慣を身につけていったのです。


仕事を早く終えるためには、仕事の設計図を描くことが必要です。ゴールを設定し、アウトプットのイメージを組み立て、そこへ辿り着くまでの道筋を描くのです。


他のスキルとは違い、こうした人間力の習得は、とかく時間がかかる。しかし、だからこそ、人間力は天賦の才ではなく、人間修行の積み重ねから培われるものだと私は考える。初めての部下をもった諸君は、ビジネスパーソンとしての器を広げるためにも、ひとつ腹を据えて、人間力の向上に取り組んでいただきたい。


人は交友関係が広ければ、目の前の相手の性格や考え方についても、より広い視点から客観的にみることができる。しかし交友関係が狭いと、目の前の人が自分の交友関係の範疇を超えた人物であると、そこで対応できなくなってしまう。だからこそ、人の数だけ多様な価値観が存在することを、交友関係をとおして実感してほしい。


リーダーとしての人間力を高めたいなら、会社以外にもネットワークを築くことをお勧めしたい。世の中には多種多様な人間がいる。ところが意識していないと、人は一緒にいて居心地のいいタイプとばかり、つき合うようになってしまう。しかしリーダーの立場に立ったら、部下になる人のバックグラウンドは、それこそ多種多様である。時間にルーズな人、逆に律儀すぎる人、あるいはコミュニケーション下手な人……。そうした部下たちと、好き嫌いを超えて、互いに信頼し合える関係をいかに築いていくか。そこでは、普段からの交友関係がものをいうのである。


チャレンジするのに年齢は関係ないが、やはり体力もあってやり直しもききやすい若い人ほど、徹底的にチャレンジしてほしい。チャレンジして失敗しても、あとから振り返ると、そのツケなど大したことないものだ。私の場合、二十代の失敗の数では、誰にも負けない自信がある。どんなチャレンジでも、その後悔などないに等しいのである。


成功体験と失敗体験を、ともに多く積んでいる人と、そうでない人の差はどこにあるのか。それは、ひと言でいえば、チャレンジ経験の差である。チャレンジとは、目の前の壁を乗り越えようと踏み出すこと。そこを首尾よく越えられればいいが、途中でザイルが切れて転落するかもしれない。そんなリスクも受け入れることである。壁を避け、無難な道ばかりを選んでいると、たまたま幸運に恵まれてリーダーの立場に立ったとしても、ともすると裸の王様になってしまう。すると、そこで初めて自分の人間力の欠如を痛感し、若いころチャレンジしなかったツケを払わされることになるだろう。


成功を重ねることは、自信につながり、失敗を経験することは、謙虚さにつながる。この「自信と謙虚さ」は表裏の関係であるが、ともにリーダーにとって不可欠な要素である。自分に自信がないと、それを隠そうと傲慢に振舞ったり、あるいは知らないことに知ったかぶりをする。すると、気づかないうちに偉そうな態度で人と接してしまう。これでは決して、部下から信頼されるリーダーにはなれないだろう。


勢いのある新興企業の社長や、老舗企業の創業者など、優れたリーダーと呼ばれる人は、人間力が溢れている方ばかりである。どんなに知識が豊富で、立派な経営哲学をもっていようと、やはり人間力が乏しい経営者では、社員も「この人についていこう」という気持ちにはなれないものである。


仕事の能力ばかりが高くても、それだけで部下の心を動かせるわけではない。加えて人間的魅力こそが、チームを率いるリーダーには不可欠な要素なのである。


部下の成長は、チームを活性化させ、結果につなげる大きな材料である。したがって、部下が自発的に動くためにも、部下に気づきを促すいい質問を繰り返すことは、上司の大切な役割である。


質問が効果を表わすとすれば、それは実践で失敗し、ひとしきり落ち込んでから、再び頭を持ち上げつつある局面である。これはスポーツであろうとビジネスであろうと同様だ。質問によって部下にとるべき行動を気づかせるためには、プロセスはもちろん、こうしたタイミングへの配慮も、忘れてはならないのである。


部下が、何らかの失敗をした場合は、まず、失敗に至るプロセスに注目すべきである。失敗へのプロセスには、いくつかの選択肢が存在するはずだ。そうした選択肢を振り返り、ひとつひとつの判断の是非を再検討させるのである。たとえば、「あそこで君は右にいったけど、左にあった細い通には、なぜいかなかったのかい」「あそこで左に曲がっていたら、結果はどうなっていただろう」などと、選択肢ごとに根拠を質問する。すると部下は、自分の頭でひとつひとつの判断の理由を考え、どこに誤りがあったのか気づくはずだ。このように、部下の行動のプロセスに目を配りながら、そのプロセスをたどって、問いを投げかけていく。そうすることで、部下は、どの選択肢の部分に落ち度があったのか、どのような判断をすれば失敗を防げたのかを、自分の頭で考えることができるのである。


部下を指導するうえでよい質問とは、A地点にいる部下を、目的地であるB地点に向かわせるため、問いを投げかけ、誘導することである。たとえば、部下が何らかの問題を抱えているとする。その際、命令や指示によってその問題を解決するのは簡単であるが、それでは真の解決にはならない。そこで上司は、部下の思考プロセスに沿って「質問」を投げかけ、部下自らが問題点を発兄し、解決策に至るよう誘導するのである。しかし私は、効果的な質問ほど難しいものはないと、常々感じている。なぜなら、いい質問を発するには、まずは上司が、部下一人ひとりの行動特性を把握しなければならないからである。


「それは違う、正しいのはこっちだ」。そういくら懇切に指導しても、たいていの部下は、素直に耳を傾けようとしない。一見、理解したような顔をみせても、また同様の誤りを繰り返し、「あれほどいっただろう……」と、上司であるあなたを憮然とさせてしまう。理由は明確だ。上司の目には明らかな間違いだと映っていても、部下の目にそうは映っていないからだ。部下にとっては、自分の価値観や思考パターンに忠実に従った結果なのである。


私が接することの多い40~60代の方は、話の中に知らないこと、わからないことが出てきても、類推して理解することができます。しかし、大学生だと、類推する力が弱い。これは学力の問題ではなく、単純に人生経験の差によるものです。ですから、40~60十代の方と大学生とでは、当然、話し方を変えなければならない。


最低な話とは、スピーカーが自分のしたい話だけをすることです。一方、良い話とは、相手ありき。相手が聞きたい話を探る必要があります。


教養は容易に身につくものではありませんが、効率的に磨くなら、接するものを選ぶこと。とくに本を選ぶには、優秀なセレクターである先輩や同僚を見つけるのが有効でしょう。良い本に出合ったら、仲間とシェアをする。良い話をする人、話上手な人と多く接する。良い人がいたら紹介をする。その中で切蹉琢磨し合い、高め合っていくことで、教養は鍛えられます。


教養は、長い年月をかけて岩山からしみ出してくる清水にたとえられます。10年、20年、あるいはもっとたくさんの時間の中で、すべての経験を通して、自然としみ出してくるものです。


話すときに何を置いても必要なのは、腹から声を出すことです。腹の底から出した声と喉から出した声では、ボリュームではなく、質が違う。同じ内容、同じテンポで話しても、前者は言葉に説得力があり、後者は軽い印象を与えてしまいます。もちろん、特殊な才能が必要なレベルではなく、意識すれば誰もができる程度で十分です。


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