加藤壹康の名言 一覧

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加藤壹康のプロフィール

加藤壹康、かとう・かずやす。日本の経営者。キリンビール社長。静岡県出身。慶應義塾大学商学部卒業後、麒麟麦酒(のちのキリンビール)に入社。北海道支社長、取締役、九州支社長、酒類営業本部営業部長、常務酒類営業本部長などを経て社長に就任。その後、キリンホールディングス社長。

従来の延長線上で努力をしても目指す姿を実現できない。


どんなに立派な戦略を立てたとしても、それだけで成功することはありません。現場が共感し、支えてくれて初めてうまくいくのです。


現場の人たちの心を動かし、共感してもらえるよう語りかけることこそ、リーダーの仕事ではないでしょうか。歴史上にその名を残す偉大なリーダーたちを見ても、それは明らかでしょう。


シェアが重要指数であることは変わりませんが、それはお客様の支持率を表しているからです。無理な押し込み営業をしたり、多額のインセンティブをつけて、売り場を確保したり、安い値段で売ってもらってシェアを確保したとしても、キリンのブランド価値は上がりません。お客様に買ってもらえるような商品を提案し、販売方法を提案し、サービスを提案し、買っていただいて上がるのが本当のシェアです。


私の数字に対する意識が大きく変わったのは、キリンUSAで仕事をしていた時代です。カナダに生産設備をつくるなどして相当な資源を投入するという夢を持って大きな目標を立てましたが達成できませんでした。悔しい思いをし、協力してくれた多くの人たちに大変な迷惑をかけ、申し訳なかった。立てた目標は絶対に達成しなければならないと強く思うようになったのはそれからです。


ひとつひとつの視点に対して目標を設定し、事業会社の月々のレビューはもちろん重要課題については四半期ごとのモニタリングで進捗状況を確認し、また次の手を打ちます。いわゆるPDCA(計画、実行、評価、見直し)サイクルをしっかりと回すことによって、最終的には財務の視点につながる経営をしていきます。そこには絶えず数字がついて回るわけで、気が抜けません。


容易に達成できる甘い目標を立てることは、基本的にありません。達成確実な目標ではなく、より高い目標を設定して、自分の限界を超えて挑戦していかなければなりません。事業会社や部門によって事情は違い、景気動向や市場環境など私たちの活動だけではコントロールできない側面もありますが、全社的には成長ベースで予算を組み、ストレッチ部分を絶えず見込みます。自分たちがどうありたいかというところから逆算することが大切です。


目標数字が達成できなければ、社内はもちろん、社外の原材料・資材などのサプライヤーから流通、物流を担っていただく会社まで、すべての皆様にご迷惑をおかけすることになります。従って計画を立てるときには生半可なものは絶対に立ててはいけません。当然、本当に裏付けのある数字かどうかを重視することになります。


企業において掲げられる数字には、コミットメント(達成責任)が伴うというのが私の考え方です。予算にせよ、ノルマにせよ、決まった以上は単なる努力目標ではなく、必達目標でなければなりません。


大切なのは長期的なビジョンに向かい、常にわずかでも前進し続けること。単純な言葉ですが、そこに秘められた深い意味を、後々もきっと理解し、受け継いでくれる人がいることでしょう。


当時の日本ではトップ企業だったキリンですが、アメリカでは知られていないうえ、文化や言葉の壁にぶつかり苦労の連続でした。そんな中で、すぐに完璧な結果をつかもうとせず、毎日少しずつ前進すれば果実は得られるのだと悟ったのです。この貴重な経験のおかげで、その後の危機も乗り越えられたのだと思っています。


私自身、若いころは国内の営業一筋でしたが、40歳を前にして一念発起し、米国に留学。その後、現地でもビール営業に関わる仕事をしました。


本社の営業部長時代、当社がビール企業トップの座を失ってしまったとき、それまでの価格競争で勝負する営業から、価値を開発・提案していく営業スタイルに切り替えました。当初、多くの人が共感してくれたものの、目の前の数字がどんどん落ちていき、支持率もダウンするなど、成果がはっきり見えない状況に対し、思った以上の抵抗もありました。けれど、すぐに結果は見えなくても、皆で目的を共有していけば、壁を打ち破れると信じて前に向かい、2年半ほどたったころ、ようやく光が見えてきました。


現場の心を動かす言葉を持つためにも、リーダーは現場に行き、現場を知らなければなりません。「経営者が現場にやたらと行くのはどうか」といった考え方もあるとは思います。ですが、現場を知りすぎて困ることはないと私は考えています。


私の経験に則して言えば、営業部長時代に「価格」から「価値」に重きを置いた営業手法に転換した際、現場が得意先に怒られながらも実行してくれたのは「何とかこれまでの営業手法を改めたい」という思いをみんなが共有してくれていたからだと思います。また酒類営業本部長時代に新ジャンルの「のどごし生」を開発した時も、関係者全員が「ヒット商品を生み出す」という思いでひとつになっていたように思います。


高い目標や厳しい計画を掲げることは必要です。しかし、考え方や夢といったものを現場と共有できなければ、厳しい計画は単に厳しいだけで終わり、絵に描いた餅になりかねません。大きなことを達成するには、現場の人たちの心の琴線に触れるようなコミュニケーションが不可欠です。


私は当時、「従来の延長線上で努力をしても目指す姿を実現できない」と社員に話していました。すると社内でも「やってやろうじゃないか」という人間が何人か出てきて、そのうちに多くの社員がポジティブな危機感を持つようになり、みんな変化をいとわずに走ってくれました。


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