内田和成の名言 一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加

内田和成のプロフィール

内田和成、うちだ・かずなり。日本の経営コンサルタント。早稲田大学商学部学術院教授。東京大学工学部電子工学科卒、慶應義塾大学経営経営管理研究科でMBAを取得後、日本航空を経て、米国の大手コンサルティング会社ボストンコンサルティンググループに入社。ボストンコンサルティングの日本代表を務めた。専門は競争戦略論、リーダーシップ論。

いまの日本では企業も個人も、人と同じことをやっていては生き残れない時代になった。


とにかく、ぬるま湯が良くない。経営トップは自らの組織内で常に刺激と緊張感を与え続けていく責任がある。


今の時代はいかにして「顧客の視点」を持つかということです。顧客が何を求めているかを、とにかく突き詰めて考える。


パラダイムが変わったとき、それに気が付かないと痛い目に遭います。経営者はいち早く気付いていかなくてはなりません。


新しい勝ちパターンを作るときに重要なことは「顧客の視点」と「企業の視点」という二つの軸で見ること。


働いている人の意識を変えるべき。いい企業に入ると、その時点で「自分の目的を達した」という勘違いをやめた方がいい。


課題設定・意思決定のスピードというのは、自分で仮説を立てて、その結果を検証するという経験の中でしか身につかないものです。当然、仮説が間違っていて痛い思いをすることもあります。だからこそ、若いうちから鍛えておく必要があるのです。社長になってから間違っていたら、遅すぎますから。


マネジメント層に求められるのは「すぐに作業にかかる人」ではなく、「何を解決すべきか即決できる人」です。


若いうちなら、作業のスピードが速いだけでも便利屋として上司から重宝されるかもしれません。しかし、作業が速いだけでは、役員にまで出世はできないでしょう。マネジメント層に求められるのは、エクセルで早く表をつくる力ではなく、何が問題化をいち早く見極め、解決策を即決する力だからです。


若手ビジネスマンは課題を自分ですべて決められません。しかし、課題を自分で見つけようという意識を持っていると、上司から課題を与えられたときでも対応がまったく違ってきます。指示の狙いを明確にしたうえで作業に入った場合と、それを明確にしなかった場合、どちらがより速く、上司の期待に応えるものができるか明らかでしょう。


若手ビジネスマンの中には、エクセル分析を速くできる、プレゼン資料をテキパキ作成できるといった作業が速いことが、仕事が速いことだと勘違いしている人が少なくありません。でも、どんなに作業のスピードを速くしても、そもそもの課題設定が間違っていたら、無駄な作業が大量に発生するだけで、仕事のスピード速くなりません。


仕事を速く進めるには「問題発見・課題設定」「意思決定」「実行」それぞれのプロセスで精度とスピードをあげることが重要です。ところが多くの人は、仕事の実行スピードを速くすることばかり教えているのです。


どんな仕事でも、何も考えずにいきなり取りかかると、やらなくていいことまでやってしまって、時間を大きくロスしてしまいます。ですから、「この仕事において、自分が解決しなければならない課題は何か」、そして「そのためにやるべき作業は何か、やらなくてもいい作業は何か」を最初に素早く見極めることが大切です。


何をやるかをまず考えるべきです。どんなに早く取りかかれるようになっても、やるべきこと自体が間違っていたら、意味がありませんから。


大量の仕事をさばいて成果をあげるには、仕事の目的を確認して、その目的を成し遂げるために必要な仕事だけに絞ってやっていくことが重要です。


仕事を速く片付けたいと思うと、まず作業のスピードを上げることに苦心する人が多いのですが、それよりも、どの作業を行い、どの作業を行わないかを決めることが大切なのです。


仮説思考を使い慣れないうちは、間違った仮説を立てることも多いのですが、経験を積んでいくうちに勘が働いて、仮説の精度も増していきます。たとえ間違ったとしても、何度も仮説を立てなおすというケースは減ってくるはずです。


これからは、否が応でも個人が自分で意思決定しなくてはいけないシーンが増えてきます。そのときに仮説思考で、いかに速く正確な判断を下すことができるか。それができる人とそうでない人の分かれ目になる気がします。


上司が常に正しい意思決定をするという前提は、捨てるべきでしょう。むしろいま、環境変化のスピードが速く、少し前には正しかった上司の意思決定が、もう通用しなくなっている可能性も高い。それ以前に、本当は上司だって正解がわかっていないのかもしれません。そんなときに、ただ上司の命令を受けて淡々と仕事をこなすだけでは、環境の変化についていけなくなる恐れがあります。


いきなり経営者の立場で全体を俯瞰しようとしても、肌感覚がつかめなくて、ピンとこないと思います。そこで、係長なら課長、課長なら部長というふうに、ひとつ上の立場の上司になったつもりで、意思決定のシミュレーションをしてみるといいでしょう。


仮説思考は心配性の人には難しいかもしれません。仮説思考では無駄な仕事を捨てることになりますが、「捨てた方に宝物があるかも」と考えてしまう人には、それがなかなかできません。やはりどこかでスパッと思いきれる人でないと、目的は達せられません。


私もコンサルタントになったばかりのころは「枝葉の男」と呼ばれて、手当たり次第に情報を集めて細かい分析をする方だったんです。先天的に仮説思考を備えている人もいますが、私の場合、先輩コンサルタントに教わって、後天的に身につけました。


もし全体で100の課題があって、2つ、3つの仮説を間違えたとしても、4つ目に正解にたどり着けば、最初から100を網羅的に調べるよりも、ずっと早く正解にたどり着きます。


極論すれば、仮説は思い付きレベルでもいいんです。ある程度用意周到に導き出した仮説でも、風呂場でパッとひらめいた思い付きでも、本質に迫ってさえいれば、どちらでも構いません。ただ、最初から自分で本質に迫っているかどうかを判断するのは難しいので、とにかく生煮えの状態でも上司に提出してジャッジをあおぐべきです。たとえ思い付きでも、それが正しければ評価されるし、間違っていればまたやり直せばいいだけですから。


顧客リサーチどおりに商品がヒットしないのは、消費者は自分が見たことのない商品、聞いたことのない商品に対して、想像力を働かせることが難しいからです。それゆえ実感のつかめないものに対しては、深く考えずに「あったら便利」と答えてしまいます。消費者は、自分の中にある潜在的なニーズに気づいていません。それを探るためには、消費者が表面的にとらえているものだけをリサーチして満足するのではなく、一対一、長時間かけてヒアリングするインデプス(深い)インタビューなどを駆使して、もう一段掘り下げる必要があります。


新規事業の推進力は「これをやりたい」という思いや、「これなら売れる」という仮説です。ところが経営層の中心世代は新しいものに対する感度が落ちているため、現場の思いや仮説をなかなか理解することができません。経営層は思い切って下の世代に新規事業を託すべきです。中長期的には人を育てるという視点でマネジメントしたほうが、新規事業から得られるものも大きいはずです。


新規事業の失敗時に得るものとは、新規事業に関わった社員の成長です。たとえ新規事業がとん挫して撤退することになっても、その経験から社員が何かを学び取り、次に生かしてくれるなら、それは会社にとっての財産になります。


様々な手法で不確実性をある程度織り込めるとはいえ、結局は新規事業の成功率は誰にもわかりません。ならばリスクを成功時のリターンと対比して判断するより、失敗時に得るものと対比させた方が現実的です。私なら成功した場合のリターンよりも、失敗した場合の無形のリターン(ノウハウ取得、社員の成長など)に焦点をあてます。


一般的に販売機会を重視して多めに生産すれば、リターンが見込めるかわりに、不良在庫を抱えるリスクも高くなります。かといって生産量を絞れば販売機会のロスにつながり、リターンも減ります。妥当な生産量を決める前にはテストマーケティングを行い、結果を見てから生産量を調整すれば、販売機会のロスや不良在庫といったリスクを軽減できます。実際にサンリオは直営店でテスト販売を行ってからキャラクター商品の生産量を決め、効率よくフランチャイジーに展開しています。


市場性が高いからといって、安易に参入すると、予想だにしなかった異業種企業をも交えた果てしなき消耗戦へと巻き込まれるっことになります。


自社が市場を開拓したとしても油断はできません。みなさんはホームベーカリー(家庭用パン焼き器)を最初に世に送り出したメーカーをご存知でしょうか。いまやホームベーカリー市場は年間出荷数43万台に成長しましたが、この市場を切り開いたのは船井電機でした。しかしその後、大手メーカーが続々と参入し、船井電機は早々に市場から撤退を余儀なくされました。市場性が高ければ、他社にとっても魅力的な新規事業になります。たとえブルーオーシャン(競合なし市場)を見つけたとしても、その後の競合との戦いに負けてしまえば元も子もありません。


時代の変化を敏感に察知することは大切ですが、軸がふらついたまま5年後を考えても戦略は定まりません。ビジネスのネタを探す前に、まず自社の存在意義やコア・コンピタンス(中核的な優位性)を見つめ直すべきでしょう。


ロスチャイルド家が英国金融界でのしあがったのは、ワーテルローの戦いでナポレオンが英蘭連合軍に敗れたニュースをいち早く知り、そのまま受け止めるのではなく、一段掘り下げもう一歩先の展開を考えたからです。連合軍の勝利を知った普通のイギリス人は、単に喜ぶだけでしょう。少し頭を働かせて英国債に飛びつくかもしれません。一方、ロスチャイルドはさらに考えを深め、イギリスが負けたという偽の知らせを流して英国債を暴落させてから買い占めました。善悪は別にして、考えを他の人より一歩進めたことで、巨万の富を築いたのです。


成功する新規事業は、「これをやりたい」という思い、「これなら売れるはずだ」という仮説やプロトタイプが先にあって、「これをやりたいが、本当にそこに市場はあるのか。競合はどうか」という裏付けを求める形で分析を依頼されます。この方が無駄がなく効率的で、仮説が間違っていても早く修正できます。


消費者のニーズが顕在化してからでは遅いのです。しかしその一方で、消費者自身は自分の潜在的なニーズについてよくわかっておらず、それを探るのは容易ではありません。となると、こちらから先に新しいニーズをぶつけて消費者を刺激し、その反応から市場性があるのかどうかを見極める戦略が必要になります。


消費者が実物を見ないと自分のニーズに気づきづらいなら、すでに売れているもの=消費者がニーズを感じているものを確認してから迅速に市場投入するという戦略もあります。かつての日本メーカーは欧米の優れた自動車や電化製品をコピーし、品質改善や低コスト化によって世界の市場を席巻しました。しかし現在では、中国や韓国、ベトナムなど、日本より安く品質でも劣らないものをつくる国が現れたので、そのような方法は難しくなっています。


従来の方程式で利益が出なくなったからこそ、多くの企業は新規事業の必要に迫られています。そうした現状を考えると、経営層は従来の評価手法の枠組みを超えて、柔軟な発想で新規事業の成否を判断すべきでしょう。


不確実性を織り込むという意味では、大ヒットではなく中ヒットを狙う戦略も重要です。大ヒットはしょせん水ものであり、リソースを集中的に投下しても成功する保証がありません。しかし中ヒットなら、数を集めることで、リターンとリスクをある程度コントロールできます。たとえば初速が鈍い商品があれば、プロモーション費用を別の商品に付け替えてもいいでしょう。実際、業績のいいレコード会社やゲーム会社は、大ヒットがなくても中ヒットを量産することで利益を出しています。不確実性の高いところに膨大なエネルギーを使うくらいなら、割り切って切り捨てるという選択肢もあり得るのです。


新規事業のリスクを判断するには、シナリオプランニングが比較的取り組みやすいでしょう。未来が確実に予測できるなら、新規事業のシナリオは一本道でいいのです。しかし、現実はコントロール不能で予測のつかない要因にあふれています。シナリオプランニングは、そうした不確実性があることを認めて、リスク要因ごとに複数のシナリオをつくって全体のリスクを管理する手法です。


新規事業を検討するとき、企業は「そこに市場はあるか」という市場リスクを真っ先に考えます。しかし、新規事業の多くが新規参入ですから、市場リスクの検討だけでは不十分です。むしろ、注意すべきは競合リスクです。花王がエクセレントカンパニーであることは多くの人が認めるところですが、その花王でさえ化粧品分野への参入は困難を極めました。競合の強いメーキャップ分野では苦戦が続き、結局、カネボウ化粧品を買収するまで芽が出ませんでした。いかに新規事業が難しいか、おわかりいただけると思います。


新規事業というネーミングは誤解を招きやすいネーミングです。新規事業というと真っ白なキャンバスに自由に絵を描けるような印象を持つかもしれませんが実際は違います。新規事業の99%は、自社にとって新規でも、すでに市場に既存の業者が存在しています。つまり、新規事業の圧倒的多数は、単なる新規参入に他なりません。


5年後、従来のビジネスモデルが通用しなくなっている可能性も考慮に入れなくてはいけません。音楽業界では1980年代にレコードからCDへの技術革新がありましたが、レコード会社は既存の垂直統合型ビジネスモデルをそのまま展開できました。しかしCDからインターネットを利用した音楽配信の時代になって、レコード会社は業界の一プレーヤーにすぎなくなり、アップルのような流通側が主役になりつつあります。


変化する時代で必要なのは、「自分たちは何屋か」「どこに強みがあるのか」という自社の存在理由やコア・コンピタンス(中核的な優位性)を再確認することです。たとえばレコード会社なら、アーティストとの関係を深めて、コンテンツで勝負するのか、それとも従来のブランドを生かして市場側に軸足を移し、ディストリビューター(流通業者)になるのか。その意思決定をしてこそ、技術革新や産業構造の変化に対応することができます。


5年後に実を結ぶかもしれない商品アイデアや仮説を考えるとき、心がけてほしいのは「So What?(だから何?)」です。ある現象や情報に接したとき、そのまま受け止めて終わるのではなく、「だから何?」と、もう一段掘り下げ、もう一歩先の展開を考えるのです。5年後のビジネスのネタは、これを繰り返すことによって浮かび上がってくるのです。


新規事業のコンサルティングで、顧客から「今後、どのような市場が有望か調査してほしい」と依頼されたことがあります。私はこれを「死のパターン」と呼んでいます。膨大な無駄が発生するだけでなく、何も決まらないケースが多いからです。たとえば縦軸に顧客、横軸にその会社の持つ技術でマトリクスをつくり、ひとつひとつの市場性を網羅的に分析したとしたとして、その結果を伝えると「なぜこの市場は小さいと判断できるのか」「このセグメントは、もっと分解できるのではないか」と、さらに分析を要求されます。そうやってタマネギの皮をむくかのごとく調査を重ねるうちに、最初に提案した市場に他社が新規事業で参入したというケースが後を絶ちません。


じつのところ、消費者は自分の欲しい商品をよくわかっていない場合が多いのです。仮に消費者に「テレビとラジオが一緒になった製品は便利だと思いますか」と質問したとします。リサーチの結果は、便利と答える人が多いはずです。ところが実際にテレビ付きラジオを開発しても、まず売れないでしょう。機能を複合した商品は事前の調査結果ではいい結果が出ることが多いのですが、これまで複合機でよく売れた唯一の例はラジカセくらいのものでほとんどが失敗しています。


売れるものは消費者に聞く。これがマーケティングの基本的な考え方です。では、消費者の声を聞けば5年後にヒットするものを予測できるのかといえば、残念ながら、そう単純な話ではありません。実のところ、消費者は自分の欲しい商品を良くわかっていない場合が多いのです。


スピードと質の双方が求められるビジネスの現場では、仮説を立て、ものごとを答えから考える「仮説思考」が重要になる。まず「仮の答え」である仮説を立ててから、細かい作業にかかるという方法で、コンサルタントの必須スキルだ。この仮説の立て方は、各人各様で上席はないが、私は突然ひらめくことが多い。


コンサルタントの仕事をはじめた頃は、手当たり次第に情報を集め、様々な情報整理術を試した。だが、それでは情報の「収集」と「整理」で手一杯になってしまい、肝心な情報の活用がほとんどできない。それならば、完全に「活用」に重点を置き、一番楽で手抜きできる方法をやろうと考えた。


よく「ビジネスマンが読むべきものは何か」と聞かれるが、一律の答えはない。特定の目的で情報を集める場合は別だが、自分の感性に合うものを読めばいい。5分しかない日は5分を使った読み方、週末など時間があれば1時間を使った読み方をする。読むべきものや読み方を固定せず、感性の赴くままに目に留まったものを読めばいい。


情報の収集と分析をデジタルに依存することの弊害は、たいした仕事をしていなくても「仕事をした気分」になってしまうことだ。誰もが知る情報を切り貼りし、最新のツールで体裁を整えても、内容に付加価値がなければ人の琴線には触れない。


電車内は、私にとって情報収集に格好の場所だ。新聞や本を読み、吊り広告を眺める。新聞を読んでいて思いついたことは、新聞の余白に書き込む。読む本は勝負師に関わるエッセイやカリスマ営業マンの本など、仕事には直結しない雑学の類が多い。面白いと思った個所には線を引くか、ページの端を折っておく。本を読めないときは吊り広告を見て、世の中の動きやトレンドをつかむ。


インターネットでの情報検索は便利ではあるが、短時間で基本的な情報を集める程度にとどめるようにしている。ネット上の情報源やその検索方法は、ビジネスパーソンなら最低限知っておくべきだが、誰もが集められる情報だけでは、創造的な発想や思考を生むのは難しい。


  1. グーグルなどのサイトや、商業データベースで検索すれば誰でも手に入る情報。
  2. その情報に自分の経験から得た話や考察を少し加えた情報。
  3. 直接人と話し現場で見聞きした自分しか知らない情報。

情報には三通りある。私が特に重視するのは3つ目の自分だけが知る情報だ。これらを集めるために、人にも勧めているのが「アナログにこだわる」ことだ。


今は同じ業界の中でも企業によって勝ちパターンが異なってきています。一律ではないからこそ、企業ごとに個性を出して、自社なりの勝ちパターンを模索していかなくちゃいけない。


私が最近、「いい会社」だと思うのは、こんなイメージです。例えば、社員の一人ひとりがほかの会社に転職すると、今の給料の2倍ぐらいもらえる実力があるとします。ただ、社員からすると給料の問題ではなくて、今の会社にいた方が面白かったり、大きな仕事ができたり、自分が成長できる点にメリットを感じて、その会社に在籍し続ける。こういう関係が社員と企業の問で生まれると、企業は本当に強くなるんじゃないかと思っています。


単なる「ゼネラリスト」ではなく、何をやらせても一定以上の成果を上げることができなければ会社の中でも通用はしません。バランスよく能力を磨いていくことが、自分の価値を高めるうえで重要だと思います。


企業内価値とは、その会社の中で発揮される価値です。意思決定がどういうプロセスでなされているか、あるいは社内のどこにキーマンがいて、どこを通せば話が進みやすいか、といったことをどれだけ把握しているかなどで決まります。「うちの会社は品質に関しては絶対だ」とか「何よりデザイン重視」といった企業ごとの社風や文化への理解度も挙げられるでしょう。そういった企業内価値が高い人材は社内のプロジェクトを任された際に、様々なリソースをうまく使いこなすことができ、それが評価されて結果的に昇進も早くなることが多いものです。


今いる会社の中で重要な役割を与えてもらえなければ、どんどん外に出ていこうという気概を持っている人ならば、市場価値を磨き、自分を正当に評価してくれる場を求めればいいでしょう。でも、そこまでの覚悟がなく、ひとつの会社にある程度長くとどまるつもりなら、私は「企業内価値」とでも呼ぶべきものにも目を向けるべきだと思うのです。


財務や法務といった専門性の高い部署でも、会社は将来幹部となる人材について複数の候補者を育てながら、競わせるものです。仮に自分より年次がひとつ上のライバルがそのポストに就いたとしたら、次にその席を得るのは難しいでしょう。専門性はあってもつぶしが利かないような人だと、他の部署に異動しても活躍できる場を見つけられないかもしれません。


経営コンサルタントというのは、顧客に価値を提供できなければ退場させられます。また、社内に自分と同じ分野でもっと優秀な人がいる場合も同様です。あからさまに退職を迫られることはなくても、自分自身で市場価値がないことを認識し、辞めていった人を何人も見てきました。そのような厳しい世界にずっと身を置いてきた私ですが、ビジネススクールに通う社会人や学部の学生などが自分の市場価値を高めることにばかり目を向けているのを見ると、疑問に感じることがあります。MBA(経営学修士)や公認会計士の資格を取得するなどして専門性を磨けば、すぐにその資格や能力に見合う仕事が与えられると考えている人が少なくありません。でも、実際には資格や能力だけで会社の中で活躍できるとは限らないのです。


私は1985年初頭にそれまで勤めていた日本航空を退社して、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社しました。ひとつの会社の中でコツコツと力を蓄えながら出世していくような人生は面白くない、自分の力を限界まで出し切るような挑戦をしてみたいと考えての選択です。当時はそのような言葉はありませんでしたが、まさに「市場価値」だけで評価される世界を求めて飛び込んだわけです。


「顧客の視点」から見ていくと、新しいマーケットは顧客が本当に欲しがっていたけど実現しなかったものを、どうやって実現するかという点にかかってきます。顧客が何らかの理由で妥協していたものを解き放すことによって生まれるビジネスもあるということです。


自分の勝ちパターンをいかに作っていくか。また、そのパターンが脅かされた場合に、それをどのように守るのか、あるいは変えていくか。これが企業の経営戦略のポイント。


人名ランダムピックアップ


経営・ビジネス・投資・仕事・お金・経済的な分野で成功を収めた人たちの名言を収録しています。

ページの先頭へ