依田宣夫の名言 一覧

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依田宣夫のプロフィール

依田宣夫、よだ・のぶお。日本の公認会計士、税理士、ファイナンシャルプランナー。早稲田大学商学部卒業後、民間企業勤務を経て、監査法人中央会計事務所(のちの、みすず監査法人)に入所。公認会計士登録、税理士登録を行った後、独立し依田会計事務所を設立。家計を複式簿記と決算書で経営し安定させるというコンセプトを提唱し、家計決算書を広める活動を行っている。主な著書に『新・家庭経営―給与会計と家庭決算書』『家庭簿記入門』『家庭決算書でかしこく家計を育てる本』 『「ジリ貧」家計「安心」家計』など。

家計の管理とは、資産と負債の内容、資産の支払い能力と負債のバランスをコントロールすることを意味します。その点でいうと、優秀な家庭経営者は優秀なビジネスパーソンでもある。


資産とは、簡単に言えば、現・預貯金と売ってお金に変えられるものだ。負債は各種ローンや借入金、クレジットカードの未払い金などである。資産から負債を差し引いた金額がネット(正味)の財産である正味財産となる。


これからは家計簿ではなく会計の時代です。こういうものの考え方としてつくる「家計決算書」は、自分たちの家計をチェックするという点で非常に利用価値が高いものです。家計はこうある「べき」とか、バランスシートはつくる「べき」という「べき論」では意味がありません。まず、始めることに意味があります。


18世紀初めにイギリスのダニエル・デフォーが書いたロビンソン・クルーソーの話はどなたもご存じでしょう。主人公のロビンソンが複式簿記の考え方をしているのです。話は彼の乗っていた船が難破して、無人島に流れ着くところか始まります。そして救出される28年間、島で過ごしました。ロビンソンはその間ずっと日記を書いていました。難破船から持ってきたものを記録して、一年ごとに財産の状況を比較していた。そして、決算書のようなものをつくり、その年を振り返って、良い点、悪い点を客観的に分析しました。彼は生活を計画的に経営したのです。その日暮らしをしていたら、生き残れなかったでしょう。


一昔前は、奥さんが家計簿をつけて、決まった収入の中でいかに上手く切り盛りするか、という発想でもよかったんです。しかし、経済の発展に伴い、銀行のローンや生保といった金融サービス・商品、株取引などをはじめ、貯蓄・運用の形も大きく変わりました。その結果、家計も複雑になり、従来の家計簿では対応することが難しくなりました。そこで、企業で使われている複式簿記の考え方を家計で利用する方法として、家計決算書を提唱してきました。


従来、家長と呼ばれる存在は、給与さえ家に運んでいれば尊重される存在だった。しかし、消費の形態が異様に複雑化した現在では、消費の意思決定にも力を発揮しないと、存在を承認される可能性は低い。多くの男性はここを勘違いして、いまだにもっと多く稼げば家族の尊敬を勝ち取れると思い込んでいるようだがそれは違う。現代の家族が期待しているのは、必ずしも収入の多寡ではなく、この複雑極まりない時代を乗り切っていく知恵なのだ。


家計の健全性を侵害して消費に走っても、その消費の結果は決して満足をもたらすものにはならない。企業は、倒産すれば解散するだけだが、家庭は倒産できない。人生から退職することもできない。そういう意味で、家計の健全性を維持することは極めて重要だ。ただし、一時的に健全性が失われても、それを家族全員でリカバーすることを決意でき、その見通しが立つのであれば、一時的な健全性の喪失を過剰に恐れる必要はない。


企業においては、コストは極力小さいに越したことはないが、家庭においては、消費が小さければよいわけではない。問題は、消費の質だ。いかに満足度の高い消費をしていくかということが、家庭の経済活動にとって最大のテーマなのである。家庭経営というとき、実質的にコントロールの対象とできるのは、収入ではなく消費なのだ。そういう意味でも、消費の満足度を高めることこそ、家庭経営の中心課題であるといえる。


退職金をもらってしまえば、その後の定期収入は年金だけ。多くの人は、それで自分の老後の消費生活がひどく限定されてしまったと感じる。しかし、家庭の経済活動の主体は消費活動だ。その消費をいかにマネジメントするかによって、老後の生活はいかようにも豊かにしていくことが可能だ。


多くの企業がそうしているように、経営戦略は短期、中期、長期というように、いくつかのバリエーションで立てていくものだ。当然、長期計画ほど当初の予測から外れやすい。しかし外れたからといって嘆く必要はない。予測がはずれたら、原因を分析し問題があればそれを改善すればよい。


家庭の決算書を継続して作成していると、その過程に固有の消費のあり方、すなわち消費パターンの個性が見えてくる。その個性の延長線上で未来を考えることには意味がある。こちらは虚構ではなく、現実可能性のある具体像だ。


老後資金の問題をどのように考えたらいいのだろうか。まず、外部情報に振り回されないためには、雑誌や新聞が喧伝する老後資金の問題は、読者個人の財務状況とはまったく無関係な、虚構の話であることを知るべきだろう。そんな虚構の未来像から逆算して自身の老後資金についてうんぬんするのは、まったくナンセンスだ。


よく、新聞や雑誌などで「老後資金にはどれだけ必要か」といった特集が組まれるが、そうした特集を読むと定年退職してから平均寿命をまっとうするまでに、夫婦2人で1億円以上かかるといった試算に出くわす。そして、こうした外部情報に不安をあおられた結果、怪しげな投資話に足をすくわれる人が後を絶たない。


老後資金について考える際、多くの人が陥ってしまう問題があることを指摘しておかなくてはならない。それは将来の理想的な生活を想定し、その理想から逆算して、現在の財産がどれだけ不足しているかを考えようとする過ちだ。


親の意向と教育費への取り組みを子供にきちんと提示することによって、少なくとも子供は自分の将来を主体的に考えるようになるはずだ。一方通行ではなく、双方向の議論をすることが大切だ。こうした議論の結果、家族全員が合意をし、結束して私立校の受験に取り組むのであれば、それはひとつのプロジェクトとして意味があり、出っ放しの消費に対する家族全員の満足度を最大限に高める結果になる。


大切なのは、家計の決算書をたたき台にして、教育費の問題を家族全員で議論することである。家計にこれだけの負担があり、教育費をねん出するために親はこういう努力をする用意があると子供に伝え、それに対する意見を子供に求める。年齢にもよるが、「私立に行くのにそれだけお金をかけるなら、自分は音楽をやりたいからそちらにかけて欲しい」という返事が子供から返ってくることだってありうる。


債務超過の状態でも、ローンの返済さえできていれば、家庭生活は問題なく続けられる。しかし、債務超過になっていることを知っていれば、健全な状態に戻すための選択肢を考えることができる。


負債額を増やさずに資産と正味財産を増やすためのポイントは6つある。最もオーソドックスで実行可能なのは最初の二つだろう。

  1. 収入の増加。妻も仕事を持って共働きにすれば収入は増える。
  2. 消費の節約・合理化。日々の無駄な消費を省き、合理化することで消費を減らす。
  3. 資産運用の成功。資産運用が上手くいくと、配当や売却益が出て収入が増える。
  4. 資産評価額の上昇。たとえば家の耐震強度を増したり、リフォームすることなどで可能になる。
  5. 相続・贈与を受ける。
  6. 宝くじ当選などの幸運。宝くじなどのギャンブルで儲けること。

家庭生活の真実の報告書を持つことが、家庭経営の第一歩だ。そのためには企業経営では常識とされる複式簿記を家計管理に応用することが必要になる。


単式簿記の家計簿では単年度ごとの予算管理で完結してしまうため、「この5年間でどうなったか」といった継続性を持った分析ができない。家庭全体の損益の状況や資産と負債の変動をシステマティックに把握できず、各種ローンやクレジットカードの活用、有価証券への投資など複雑化した家計行動を一元管理できない。


家庭の機能を十分に発揮できるようにするには、夫と妻が家庭を共同経営するパートナーとして、ともに知恵を絞らなければならない。右肩上がりに収入が増え続けるという神話は崩れ去った。ビジネスで学んだ知恵を生かすという意味では、夫の役割が増大している。


健全な家計を維持するには、会社と同じように家庭を経営するという発想が必要になる。


家庭を経営するというと「会社と家計は違う」と反論されることが多いです。確かに、会社は利益を追求する組織ですが、家庭の中心は消費であり、利益を追求する組織ではありません。限られた収入の中でいかに家族の消費満足を高めるかが家庭という組織が求める目的だ。ところが、家庭に現金や預貯金、株式などの有価証券や生命保険が、財産としてどのくらいあるかを知っている人は多くない。ましてやマイホームの資産価値を把握している人はもっと少ないだろう。それは会社のように経営の実情を数字で見る仕組みが家庭にないからだ。


家計は奥さんに全部任せておけばいいと言いますが、家庭における金銭トラブルが起きている例を聞くと、やはり無知や無関心が原因なんです。お金を借りる時点で、資産や負債の実態をわかっていないんですね。たぶん大丈夫という安易な姿勢で借りている。では、大丈夫でなかったとき、誰が責任を取るのか、家庭の経営者は考えなければいけません。


家庭で何が大事かというと、事実としての数字を手元に置いておくことです。まず、確かな会計情報をつかむこと。そうすると、「これは削れるのではないか」とか「なぜこんなにお金がかかっているのだろう」という疑問が出てきます。抽象論で話していても、何も解決はしません。「なぜ?」がでてくることによって、解決策を議論することができるわけです。また、それを今年一年やり、結果がこうなった、もう一年続けて、こうなったとどんどん積み上げていく。そうすれば、比較もできるし傾向もつかめます。


家庭の場合、これまでは「外部情報」、つまり周囲の人の情報で消費行動を起こしていたことが多かったんではないでしょうか。「友人が車を買い替えた」とか「隣の家の子供がピアノを習い始めた」といったことでモノの購入や消費を決めていたのではないか。これは主体性がなく、すごく危険なことです。そうではなく、自分たち自身の家庭の内容をきちんと判断するための材料を持って判断すべきです。


家庭生活でも1年ではなく3年、5年で見るといいのです。損益の状況や資産・負債の変動を把握し、分析することで、生活がどのように変化したのかつかめます。続けると家計の無駄が見えてきます。同じものをたびたび買ったりしているんです。知り合いにもやってもらっていますが、ローンの金利を随分払っていることがわかったと聞きます。


健全な家庭生活を行うには、その日その日のキャッシュフローを把握するだけでは無理です。資産と負債と損益の正確な会計情報がなければ、意思決定はできません。企業では常識なのだから、過程に複式簿記をという発想は大切だと思います。


私は会計士として企業の監査をずっと続けてきて、ビジネスパーソンの方に接する機会がありました。そこで感じたことは、彼らが自分の家庭のことをあまりにも知らないことです。


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