佐々木隆(経営者)の名言 一覧

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佐々木隆(経営者)のプロフィール

佐々木隆、ささき・たかし。日本の経営者。JTB社長・会長。東京出身。東京大学理学部卒業後、日本交通公社(のちのJTB)に入社。株式会社日本ダイナースクラブ経理課長・経理部副部長、JTB経営企画室主査、経営企画室次長、取締役財務部長、常務取締役西日本営業本部長などを務めたのち、社長に就任。

私が社長時代重視したのはふたつ。ひとつは「JTBというブランドを大切にする」ということ。もうひとつは「社員を株主と捉え、敬意を払う」ことです。結局、社員の努力がJTBのすべてなんです。ですから、当社の最大の投資者は「自分の時間と未来を当社に投資している社員」だと思っています。


物事に最初から最後まで成功する人はいません。いろいろ浮き沈みがあります。沈んだときに、つまり、周りの人より自分の数字が出なかったときに、あきらめてすぐ変えちゃう人は、ダメなのです。そこで頑張れるかどうか。ある意味で、専門分野を作れるかどうか、ということにもなります。


就職活動のとき、我々は間接的にサークル活動などを聞きますが、あれも結局、自立を確認しているようなものなのです。人に揉まれないとなかなか自立できません。


我々は商売人がほしいわけです。サラリーマンでなく、商売人ですね。一番望ましいのは、学生時代にサークルでも何でもいいですけれど、儲けることのできた人。これが最高ですね。それが難しいのであれば、自立している人です。自立しているというのは、自分の考え方で行動できる人です。


従来、我々は、売り手と買い手の情報のギャップを利用して商売をしてきました。売り手のほうが常に多くの情報を持っていましたので、お客さまは信頼して我々が勧める商品を買っていたのですが、インターネットによって完全に逆転したのです。


創業以来、常に前進し続け、前年より成績が良い、そういう中で生きてきた人たちが、ある日突然まったく違う世界に入ってきたのです。人は、自分の頭の中が一番切り替えにくいのです。そのことに各社は苦しんでいるといえます。
【覚書き|お客様の価値観が多様化したことについて語った言葉】


お客さまはカウンターに座って「良いところを紹介してくれ」ではなく、はっきりと目的をもってやってくる。「フランスに行く」ではなく、「ルーブル美術館に3日間行く」など、限定しているのです。つまり、均一のクオリティーの商品を大量に供給すれば事足りるという時代は変わってしまい、昔のような「付和雷同型」商品の提案ではうまくいかない。


分社化は単に会社をバラバラにすればいいというわけではありません。当社の分社化に際して、グループとして横串を通さないといけないと思いました。


現在は、局地戦のようなものです。我々は正規軍として、国内から世界中にいたるまでを守備範囲としている。しかしお客さまは、ある特定の、例えば万里の長城の知識だけ膨大に持ってやってくるのですから、太刀打ちできません。そういう意味で、社員は正規軍で、お客様はゲリラです。ぼろ負けです。


高度情報化社会は価値の多様化、分散化をもたらします。旅行業であれば、かつて消費者は全員同じ方向を向いていました。団体旅行がその対象です。しかし、インターネットが普及すると、環境がガラリと変わりました。旅行に対して消費者が急速に能動的になり、それぞれの価値観で旅をするようになったのです。価値がモザイク状に分散化したと言ってもいいでしょう。こうした状況に、巨大で統制された組織では対応できません。2万人を超える当社社員が単一の価値基準で動こうとしても、相手が分散化しているわけですから。


1万人も社員がいる大きな組合が、わずか1年という短期間で、これだけの大きな変革によく合意しましたね、というのが大株主の方々の反応です。私が想像するに、社員の閉塞感だと思います。恵まれた先輩方は、仕事を通じてどんどん成長してお客さまからも尊敬されて、楽しかったようです。でも、今の若い方は違う時代にぶつかってしまったので、閉塞感がある。やはり、なにか変えなきゃいけないと、みんな本当に思っていました。今ちょうど曲がり角ですね。あと2年くらい経ったら全部終わって、きれいに曲がれると思いますから、そこから先は、JTBは今とはまったく違う規模とスピードで発展し始めると思います。


分社化後に「経営が近くなった」という社員の声を多く耳にしました。分社化で各事業会社の規模が小さくなりますから、経営と現場との距離が短くなるのです。何が起こるかわからない昨今、自社の中に多くの「関節」をつくって、成長領域を増やしていく。それは、どの産業にも共通する課題でしょう。


私が社長を務めていたとき、当社を持ち株会社体制に移行させ、分社化した事業会社がぶら下がる組織に改編しました。各企業がそれぞれの分野でナンバーワンを目指すわけですから、グループとして急速な環境変化にも対応できるようになりました。


組織というものは例外なく「価値の順序付け」をするものです。最優先で取り組むもの、次にやるものといった具合でしょう。対象とするマーケットが画一的にまとまっていれば、企業はそのマーケット攻略のために単一の価値の順序付けを持って動けばいい。ですがマーケットが急速に多様化、分散化した場合、単一の順序付けでは対応できなくなり、行き詰ってしまうのです。


今回は経営体質の変更ですから、完全なトップダウンでした。分社化の大きな狙いですが、社員には「大きな財布」と「小さな財布」と言っています。「大きな財布」というのは、わが社は既にグループとして150社くらいあり、連単倍率で単体よりだいたい3倍くらい利益が拡大する。その大きな財布を使って、グループの問題をグループ全員の力を結集して解決してきました。今回私がやろうとしていることは、その環境を大きく変えることです。今後、それぞれの10いくつに分かれた持ち株会社は財布も小さくなりますから、それだけ自分の会社がどういうお客さまを対象として、どういうビジネスで成り立っているかを真剣に考え、そのマーケットを深めていきます。そうしないと生きられない。そういう意味での厳しさがどんどん出てくるということです。持ち株会社を作った最大の理由は、マーケットがどんどん分裂していって、細かいマーケットの集合体に変わった。だったらそれぞれのマーケットごとの事業体を無数に起こしていくしかない。そういう考え方です。


一昨年、SARSによって海外旅行が落ち込んだとき、あるセールスマンがお客さまを訪ねたところ、名刺を投げ捨てられたそうです。SARSその他で海外旅行にリスクがあるときに、大切な客を海外旅行へ連れて行くとはどういうつもりだ、と。そこで、彼は一念発起して「販売促進支援事業」という名刺を上司と相談して作ったわけです。もちろんそれは架空です。しかしそういう仕事をやります、と持っていったら、3倍ぐらいのお客さまが会ってくれたそうです。我々は「ディレクターからプロデューサーへ」と言っていますが、求めているのは、社員一人ひとりがプロデューサーのところまで自分の仕事を高められるか、高めるように行動できるかどうかということです。名刺を投げ捨てられて、そのまま泣いて、次の会社へ行った人はダメです。ものの考え方です。


旅行業界は、完全に流れが変わりました。何が起きているかと申しますと、今から25年くらい前に大手旅行会社に入社した人は、お客さまから見ると尊敬できる存在でした。当時は、ほとんどのお客さまにとって海外旅行が初めてである上に、生涯に1回の旅行でしたから。そのような状況では、社員が勉強すると、それをお客さまが評価してくれるので、仕事を通じて自分がどんどん成長していく実感を持てたのです。そういう時代が長く続いたのですが、バブル崩壊後、流れががらりと変わりました。要するに、今は一所懸命にやっていても、後ろのほうの席で「あなたその英語ちょっと違うわよ」と。そのくらいお客さまのレベルが上がってきたのです。たとえば、20~30回ヨーロッパへ行ったことのある人はざらにいらっしゃいますし、しかもそういう方々が、インターネットという強力な武器を持ったわけです。


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