伊賀泰代の名言 一覧

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伊賀泰代のプロフィール

伊賀泰代、いが・やすよ。日本のキャリア形成コンサルタント。兵庫県出身。一橋大学法学部卒業後、日興證券引受本部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパンに入社し、コンサルティング、人材育成、採用などの業務に携わる。同社に約17年勤務したのちキャリア形成コンサルタントとして独立。キャリアインタビューサイト「MY CHOICE」などを開設した。

マッキンゼーは、優秀な人をさらに成長させるにはどんな仕組みが必要かと常に考えています。それが、わずか数百人の日本支社からも、多数の人材を輩出できる理由なのでしょう。


会議に出る、資料を読む、メールを書く……。何をするにしても「いま自分のやっている仕事は、どのような価値を生むのか」、1時間単位で意識させることで、「成果にこだわる」というリーダーの基本姿勢が身につくのです。


一般的な組織では、標準的な人を念頭に人事制度がつくられますが、そうなると、最も優秀な人の成長スピードが最大化できません。一方、マッキンゼーでは能力があれば入社1年後でも翌年はマネージャーに昇格します。昇格には2年が必要と決まっていれば、この人は2年目には悠々と成果を挙げることができます。でも、すぐにマネージャーに昇格するので、2年目も新たなチャレンジを受けます。すべての人に成長への負荷をかけ続けることで、それぞれの可能性を最大限に引きだすのです。


マッキンゼー時代、忘年会の企画を立てるときに「まずは忘年会のビジョンを明確にせよ」と上司に言われることがあるんです。リーダーたるもの何をするにせよ、まずはビジョンを持てということなんでしょう。


マッキンゼー入社1年目に経験した印象深い「カルチャーショック」があります。週末にリゾートで研修旅行が行われました。夕方、研修プログラムは終わったものの、まだ仕事の議論を続けたい人と、時間だから食堂に移ろうとする人に意見が分かれてしまった。私はその旅行の企画担当だったので、「議論するか、夕食にするか、多数決で決めましょう」と提案しました。すると後になってシニアパートナーから烈火のごとく怒られたのです。「多数決だって? そんな方法で意思決定するのは、事実と論理で決断する職業の者にとって自殺行為だ。君はクライアントの役員会でも事業方針を多数決で決めましょうと提案するのか?」と。そのときは驚きましたが、こうやって日常的なイベントなどあらゆる機会で、若手にフィードバックを与える社内風土があります。


マッキンゼーでよく言われるのが「ポジションをとれ」という言葉です。「あなたの意見は何か」ということを、あらゆる場面で問われます。会議で分析結果を細かく説明しようとすると、途中で遮られ「で?」とか「So What?」と冷たく問い質されます。「まず自分の意見を言え、分析の結果はその後に述べよ」ということです。これはリーダーの最も重要な仕事である「決断すること」の実地訓練です。


マッキンゼーでよく言われるのが、「会議で発言がゼロの人はバリューもゼロ」ということ。ひとことも話さなければ、その人がいてもいなくても会議の結論は同じであり、その人の付加価値はゼロです。会議に参加して「勉強になった」などと満足していることは許されません。


リーダーシップは特殊な能力ではなく、必要な教育や訓練を経ることで鍛えられ、身につけられます。そのためにマッキンゼーで呪文のように繰り返されるのが「バリューを出す」という言葉です。「何らかの成果(付加価値)を生む」という意味なのですが、1年や1カ月といった単位ではなく、ひとつの会議などごく短い時間で「どんなバリューを出したか」が問われます。


リーダーシップは新入社員も含め組織の全員が持つべきものです。一人だけがリーダーというチームでは、それ以外の人はフォロワーとなり、「チームをまとめ上げるのはリーダーの仕事である」と、指示待ちになります。一方、全員がリーダーのチームでは、それぞれが個別メンバーとして成果を出すことはもちろん、「チーム全体の意見をまとめ上げるのも自分の責務である」と考えます。後者のチームのほうが、圧倒的に生産性が高いことは当然です。


日本では多くの人が「リーダーは組織に一人か二人いればいい」と考えています。「船頭多くして船山に登る」という言葉もある。しかしここでの「船頭」とは、「自分の主張を押し通そうとする強引な人」であって、リーダーではありません。本来のリーダーは、「成果を出すこと」を自説が採用されることより優先します。だから全員にリーダーシップがあれば、船は山には登らず、海に向かうはずなのです。


私は10年以上、マッキンゼー日本支社の採用マネージャーとして、数千人の候補者に「最初の面接社」として会ってきました。前提となる語学力に加え、その採用基準は大きく分けてふたつです。

  1. リーダーシップがあること
  2. 地頭かいいこと

特に重要なのがリーダーシップです。マッキンゼーが採用したい人材とは、ひとことで言えば「将来、グローバルリーダーとして活躍できる人」であり、「リーダーシップ・ポテンシャルをもっている人」です。


大事なのは、相手にわからせようとしないこと。聞き手全員を自分と同じタイプに変えるのは不可能ですから、状況に合わせて、自分のコミュニケーションスタイルを変えることです。


コミュニケーションの上手な人は、自分の話し方がうまいのではなく、相手が自分の言葉をどう受け止めているかを読む能力に長けていて、相手の受け止め方のタイプによって自分のコミュニケーションを柔軟に変えられる人なのです。「コミュニケーション力=発信力」というのは誤解で、メッセージを受容する側の多様性を理解する力こそ、重要なのです。


目的や場面によって、話し方のスタイルを使い分けられる人こそ、本当にコミュニケーション力が高いといえるでしょう。そういう人は、ビジネスパーソンとして大きな強みをもっているといえます。


仕事で話す機会があれば、必ず前日に練習をしますし、以前は録音して聞き返していました。こうした練習を積み重ねれば、どんな人でもスキルを飛躍的に伸ばせるでしょう。


コミュニケーションは人によって大きくスタイルが違います。ですから、まずは自分が得意なスタイルを見つけ、それをとことん磨いていくことが大切です。


よく「論理的に話すこと」が重要といわれますが、それが適切かどうかは相手によって異なります。たとえば、相手が所属する部門の閉鎖を伝えるとき、結論を先にいい、ロジカルに話すことがベストな方法でしょうか。それよりも、感情に訴えたり、共感を示す話し方をしたほうが、相手に伝わることも多いはずです。いきなり「この部門は閉鎖します」と結論から先にいったら、相手は頭が真っ白になって、そのあとで理由や背景を説明されても、まったく耳に入らないでしょう。この場合は、会社がいかに厳しい状況にあるかを説明し、部門縮小はやむを得ぬ事情であることを順序だてて説明してから、最後に結論を伝えたほうが相手も納得するはずです。


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