伊藤雅俊(味の素)の名言 一覧

このエントリーをはてなブックマークに追加

伊藤雅俊(味の素)のプロフィール

伊藤雅俊、いとう・まさとし。日本の経営者。味の素社長。東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、味の素に入社。食品事業本部食品部長、取締役、子会社の味の素冷凍食品副社長・社長、本社常務執行役員、食品カンパニーバイスプレジデント兼同カンパニーマーケティング企画部長、専務執行役員、食品カンパニープレジデントなどを経て社長に就任。

「いける」と確信したら成果を出すまで粘っこく続けることが私の仕事スタイル。


何かをやろうと思ったら、社内の半分に反対されても不思議ではないという覚悟と、それを突破する力が必要です。


新しい価値を想像して、開拓者精神で広めていく力。これこそが、味の素の戦略を根底から支えているものです。


日本人はどうしても難しいことをいっぱい書き、いろいろなことを詰め込みがちですが、それは戦略的ではありません。誰にでもわかりやすい言葉で平易に伝える力が必要です。


リーダーシップとは率先垂範です。現場の状況や現場の声と、経営との距離がいかに近い形で仕事できるか。これに尽きます。


自分が持つ個性を深く探求し、その個性を何とどのように組み合わせたとき、お客様に喜んでいただけるのか、世の中の役に立つのか。それを明確に意識して仕事をしなければ、調味料同様、会社組織の中でもグローバルな社会でも有用な人間にはなれません。


海外で活躍している味の素の営業マンは、アジアだけでも3000人います。彼らの営業スタイルは極めて地道です。味の素の営業マンは現地に徹底的に入り込むため、市場のおばさんと話して食べてもらったり、村の集会場を借りて娯楽の会などを開催し、集まってくれた人々に試食をしてもらうといったキャラバンを何百回も繰り返します。完全にネクタイ不要の仕事です。


調味料や加工食品を海外に浸透させるには、自分たちの食文化を相手に伝えるのではなく、相手の食文化を理解して、その中に我々が持つ素材をどのように組み合わせてもらえば、料理がより美味しくなるかを訴求しなければなりません。


社員には自分の専門性を追求するとともに、それが社会やお客様とどう組み合わされば喜んでもらえるのかを考え抜いてほしいと思っています。


味の素という会社自体が、ものごとの本質を追求して新しい価値を創造し、それをグローバルな社会に提供する開拓者精神を持った素材です。この個性を強く意識して、いったい味の素という素材を、社会のどの部分と組み合わせれば役に立つのかを考え抜く。そうすることで初めて、会社は世の中から必要とされ、多くのお客様から喜んでいただける存在になれるのです。


料理と同じように、事業もすべてはお客様からはじまります。お客様に喜んでもらえたとき、お客様の役に立ったとき、その大きさに見合った対価、報酬を受け取ることができます。そのことを理解したうえで、自分たちが持っている素材の個性を深く知り、それをうまく組み合わせていくことが大切です。


料理の本質は組み合わせです。素材の味、香り、色、食感、調理の手順、テーブルウェア、これらの多種多様な要素が持つ個性を、その日のお客様の嗜好に合わせて組み合わせていく。それがお客様にとって好ましいものであったとき、お客様は喜んでくださる。仕事上の必要から料理を始めて30年になります。自宅にお客様をお招きするときは必ず自分で料理します。社長に就任してからは、会社の経営は料理とよく似ていると思うようになりました。


現地の人の話をじっくり聞いて、彼らの食文化とどのように組み合わせれば調味料が役に立つか、必死にレシピを考える。そうしなければ、料理の一素材である調味料を売ることはできません。


最近の若い世代は海外勤務を熱烈に希望する社員が少なくありません。それだけ開拓者精神が浸透している証拠でしょう。実際、当社の管理職の3分の1、取締役以上の役員の3分の2は海外勤務経験者です。いわば開拓者精神が会社を支えているのです。


市場の揺籃期や高度成長時代であれば、新しい事業も割と社内の賛同を得やすく、推進しやすいものです。ところが、市場が成熟してくると、新しいことをやりたくてもみんなが賛成してくれるとは限りません。そこで諦めずに反対派・懐疑派にどうしてもやりたいという熱い思いを伝え、論理的にわかりやすく説得して、チャンスを勝ち取っていく必要があります。その強い思いとは、野心といってもいいでしょう。面白いことに、常にそういう強い思いを発信し、野心をもって突き進む人のもとには、必要な情報や知識が自然と集まってきます。


我々とは違う文化の中で食を売ろうとするなら、現地に溶け込んで、自ら現地の文化を経験しなければなりません。そうすれば現地の人々のことがわかってきます。現地人より現地人らしくなる社員もいます。そういう経験、知識から生まれた強い確信があれば、会社で反対意見が多くても、確実に説得し、自らの信念を貫くことができます。


味の素では、組織の壁を越えて能力・意欲のある人材を生かすため、海外の現地採用であっても本社の管理職になれるようなグローバル人材戦略を打ち出しています。入口も出口も多様にする制度です。


新しい価値のある商品をつくりだし、新たな市場に頭を下げて飛び込み、その価値をわかってもらってお代をいただく。突き詰めるところ、我々の仕事とは、新しい価値創造と開拓者精神なのです。もちろん失敗もありますが、それを全社で共有して明日への糧にし、成功に結び付けていけばいいのです。


健康のために塩分も糖分も油も抑えれば、どうしても食べ物は美味しくなくなります。健康志向になれば食品は売りにくくなるように見えますが、そう捉えるのではなく、塩分が少なくても、塩味を感じられるような食品を開発するチャンスだと捉えるべきです。


味の素は、ふたつの分野で世界一を目指しています。ひとつは調味料とそれを生かした加工食品の分野、もうひとつはアミノ酸技術の分野です。さらに医療・健康の分野も手掛け、グローバルに事業展開をしています。


以前、海外で商談する際、当社側の交渉責任者を日本人からフランス人に替えたところ、交渉力が大きく高まったことがあります。何よりも相手がびっくりしていました。グローバル企業である以上、こういうことが日常的に起こりうるわけです。そんなグローバル環境で自分の力を発揮する必要があります。


ひと口に消費者の低価格志向といっても、「とにかく安ければいい」という人と「買いやすい単価で買いたい」という人がいることを分けて考えなくてはなりません。前者であれば、弊社製品の「だし」がいい例です。鍋物にも味噌汁にも炒め物にも使える。応用ができる商品であれば、単純に価格を比較して主婦は買いません。むしろ、無駄にならないという意味でお買い得な商品開発をしていくのがいいでしょう。後者であれば、クノールカップスープのように箱に4つ入っていた袋を3つにして販売価格を安くすればよいのです。


社長になって、現場との距離が物理的に離れてしまいました。社長に求められる能力とは、前線で働く営業マンの特異な意見を察知することだと感じています。もちろん、言うのは非常に簡単ですが、実行が難しい。しかし、ものごとの先端から発せられるサインを読み取ること、感じること。これはマーケットの用語で「リーディング・エッジ」と呼ばれているもので、商品開発、営業を問わず、一番大事なことです。


私の趣味は街歩きと料理なのですが、これもマーケットのプロになるために必要な訓練なのかもしれません。歩きながら、食べながら、料理をつくりながら、お客様と同化することができるのです。


売れる商品をつくるということは、ひとりのお客様との直接対話から始まるのです。相手のことを一番よくわかっていないと仕事にはなりません。マヨネーズは毎月100万人以上の方にご購入いただいています。しかし、そのお客様の6割が「満足している」という情報は、商品開発にとって何の意味もない情報です。むしろ、たったひとつの特異な意見を自分のバックグラウンドをフル動員して分析する。ひょっとすると「一」が「百、千、万」に化けるきっかけではないのかと考えるのです。


自分が感じた実感や共感をバラバラに分解し、再構築する。これが何十年もマーケット部門にいた私が自分に課してきた訓練です。


消費者の低価格志向に応じるようにコモディティ商品(普及品)がPB(プライベートブランド)化され、多くの食品、飲料メーカーが苦戦しています。これも消費者の気持ちになって、対抗策を考えていくつもりです。まずは、科学技術を生かす方法があります。「ピュアセレクト・ローカロリーコクうま」は、従来のマヨネーズに比べてカロリーが55%カットされています。先進国に特有な健康志向を考えての開発です。技術を開発し、味わいをそのままにカロリーを半分にしました。このような技術力によって、PB商品にはない特徴的な商品をつくるのです。


池田菊苗(東京大学教授。昆布のうま味の素がグルタミン酸であることを発見した研究者で味の素の事業の素をつくった人物)は、日本に帰ってきて、どうも共通の美味しさみたいなものがあると気づきました。その後、なぜそうなのか本質を突き詰めて掘り下げました。これがいまも延々と受け継がれています。当社のようにたくさんの研究者がいて、サイエンスをベースに実証的に仕事をするという、そういう食品会社は世界に類がないと思います。


いまアミノ酸は、サトウキビを発酵菌に食べてもらってつくっています。発酵菌は人も食べられえる食料です。今後は、ある意味人間が食べられるものを使わないで発酵するような技術がつくることができれば、人類にとって意味が大きいでしょう。


海外勤務は経験できたほうがいいですが、海外ならではの特殊事情にとらわれすぎると事の本質も見落とします。大事なのは様々な個別事情を一般化し、判断する力です。経験と論理性に裏打ちされますが、そうした力を磨く仕事は日本にもたくさんあります。


食品は現地の嗜好や文化に合った事業展開が欠かせない。味の素は約120か国・地域で食品や医薬品などを販売していますが、現地需要に密着した商品開発が鉄則です。


クノールのスープは米社との合弁事業でした。東京に移ってすぐ、相手が「売れないカップスープをやめろ」と迫ってきました。必死に説得し、何とか続ける算段はつけますが、「広告に一切カネを使わない」という条件が付きました。そこで売り場で目立つようにと、緑と黄色だったパッケージの色を赤と青に変更。お湯に溶けやすく改良すると、急に売れ出しました。常に売り方を工夫し、商品も磨き続けるマーケティングの原点をカップスープで学びました。


人名ランダムピックアップ


経営・ビジネス・投資・仕事・お金・経済的な分野で成功を収めた人たちの名言を収録しています。

ページの先頭へ