中村久三の名言 一覧

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中村久三のプロフィール

中村久三、なかむら・きゅうぞう。日本の経営者。真空技術を得意とする製造装置メーカーのアルバック会長、工学博士。長野県出身。東北大学大学院金属材料工学専攻博士課程修了後、日本真空技術(のちのアルバック)に入社。千葉超材料研究所長、取締役、常務などを経て社長に就任。創業60年近い老舗企業の売上高を10年間で3倍にした経営者。

イノベーションを創り出さないと死んでしまいます。アルバックは非常に切羽詰まった会社です。「次は何か」「次は何か」と常に考えて、ライバルの先を行かなければなりません。


当社には優秀な技術者がたくさんいますが、かつては個々人の頭の中に、様々な知識やノウハウが埋もれていました。せっかく優れた技術力とエンジニアを、会社は生かし切れていませんでした。社長になった私は、社内の情報の共有化に力を入れることを決めました。


新しい技術の種を見つけ出し、革新的な商品を生み出すのは、当社の9割を占める技術者たちです。彼らのやる気を鼓舞し、失敗を恐れず挑戦できる仕組みを、アルバックは一番大事にしています。


何が当たって、何が当たらないのかはわからないのに、「選択と集中」と言うと、技術者の頭の中にあるチャンスの芽を摘んでしまいます。「こうすれば、何か面白いものができるかもしれない」と自由に発想できる環境が重要です。


技術者たちの考えが正しければ、そのときは素直に誤りを認めて、正しい方向に修正すればいいのです。指示命令型で「上司に従え」とやると、出てくるアイデアにはどうしても限界があります。


アルバックには全員で徹底的に議論する企業文化があります。納得がいくまで何時間でも話し合うのです。様々な分野に詳しい技術者が集まって、みんなで意見を闘わせます。そうすることで、専門分野の技術者だけでは思いつかないような独創的なアイデアが生まれるのです。


会議で重視するのは、年齢や肩書を気にせずに、誰でも自由に発言できる雰囲気です。社長も新入社員も関係ない。アメやスナック菓子をつまみながら、リラックスして話をします。


意思決定の場である経営会議などでは、最後まで議論し、結論をその場で出します。夕方に始めた会議が、午前0時を回ることもありますが、決断を先延ばしにしないことが大事です。


当社では「選択と集中はしない」という方針を掲げています。技術者からは、1年間に400件程度の新規の研究テーマの提案があります。「やりたい」と本人が言うなら、決して「ノー」とは言わずに全部取り組ませます。いまは事業化が期待できないように見えるテーマでも「やめろ」とは言いません。技術の火を消さないためです。


日本は新しいものを生み出す力がある製造業の国です。そこで一番重要なのは独創性です。外国にできないユニークなモノづくりの研究以外に生き残る道はありません。


社員一人一人が自分の得意分野を生かして会社に貢献する。みんなが「面白いぞ」「面白いぞ」と思って、仕事に没頭できる環境を与えることが、技術革新につながります。


必ずしも理路整然と話をする人がいい仕事をするわけではありません。装置は複雑なので、コツコツと仕事をする粘り強い人が結果を出すこともあります。だからアルバックは成果主義的な人事制度はとりません。給料は年功型が基本です。ただし優秀でリーダーシップがある人には、若くても責任を任せます。給与よりポストで報いるのです。ポストについてまで年功序列はナンセンスです。


議論を重視すると口が立つ人ばかりが高く評価されるようになります。当社には、AからEまで5段階の査定評価がありますが、本当に会社を支えているのはCやDと評価されている人たちです。彼らは議論の場で黙って聞いている場合が多いですが、顧客企業の工場でトラブルが起きて装置が動かないときに、土日返上で必死に修理している場合も多い。私はCやDの査定の人たちが満足できる会社を目指しています。


自由闊達に議論すれば、社内にどんな技術があり、ほかの部署のメンバーが何を考えているのかがよくわかります。戦略研究会は「結論を出さなくていい」会議なので、通常の社内会議よりも自由にモノが言えます。みんなの知恵を集めて議論すれば、どのような分野で次のイノベーションが起きるかが見えてきます。


会議では議論しているうちに熱くなってしまい、意見がぶつかるときもありますが、根に持たないことを申し合わせています。技術に関する議論は、実験を繰り返せば、結果が証明してくれます。経営幹部の見立てが間違っていることも多いのです。現場の技術者がニヤニヤしながらやってきて「会長、違いますよ。データはこうなっています」と言ってくれることがあります。嬉しいことです。


技術者たちに何でもかんでも好きなテーマを研究開発させて、そのままにしておけば、成功するわけではありません。早期に成長が期待できる技術は何かを目利きして、商品開発を加速するかどうか決めることが不可欠です。


一生懸命努力して開発した商品が売れなくても、それは技術者のせいではありません。「何で失敗したんだ」と責めたりしないで、留保にしておくことが重要です。アルバックでは失敗しても、駄目だったとは言わないで、いつかまた可能性があるから将来のために取っておこうと言います。そうすると何年もたってから「あの技術がほかの分野でまた使える」とひらめくときがあるのです。


技術者のチャレンジを促すためには、失敗しても責任を取らせないことです。こう言うと、「怠ける技術者が出るんじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、絶対そんなことはありません。新しいことをやりたいと思う人が周囲にいると、手を抜こうという雰囲気にはなりません。お祭りと一緒です。見ているのではなく自分も一緒になって踊ったり、お神輿を担いだりする方が面白いのです。


技術者は、子供っぽい言い方をすると、夢とか将来へのやりがいを感じさせられれば、持てる力を最大限に発揮します。


あらゆるチャンスを上手くつかんで、会社を存続させ続けなければなりません。技術開発には運、不運があるからです。たとえば、当社が力を入れる太陽電池向け製造装置の市場がここまで大きくなることを3年前には誰も予想していませんでした。


今日の成功は明日の成功を保証するものではありません。IT(情報技術)・電機の分野では、いったん市場を席巻した技術や製品が瞬く間に廃れてしまうことがあります。アルバックの液晶パネルの製造装置は、世界で9割超のシェアを握っていますが、その市場も短期間になくなるかもしれません。


新しい技術にどんどん挑戦し、事業の軸足を半導体から液晶パネル、太陽電池向けの製造装置などにシフトしてきました。革新的な技術が、成長の原動力になっています。


当社の仕組みは昔の日本型の人事制度そのものです。高度経済成長以前の時代は、日本企業はやる気と能力がある人をどんどん引き上げていました。みんなのやる気を引き出す、日本の古き良き人事制度は、日本の製造業が再び輝くための力になる可能性を秘めています。


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