上西京一郎の名言 一覧

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上西京一郎のプロフィール

上西京一郎、うえにし・きょういちろう。日本の経営者。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド社長。東京出身。中央大学文学部卒業後、オリエンタルランドに入社。総務部秘書役、総務部長、取締役総務部長、取締役執行役員総務部長(総務部・広報部担当)、取締役執行役員(総務部・広報部担当)、取締役執行役員経営戦略本部長(広報部担当)などを経て、7代目社長に就任。

試行錯誤の繰り返し。完璧はあり得ませんので、常に進化していきたい。


東京ディズニーランドで非常に売れている商品を、街中にポンと出しても、そんなには売れないでしょう。やはり東京ディズニーランドで遊んで幸せを感じている、その思い出を、今度は商品に託して買っていただいているのです。


パーク内のパレード。当初は皆さんが沿道で静粛に見ていたのが、この30年で、見るだけじゃ物足りない、自分も参加したいという欲求が、若い人から高まってきました。また、ゲストに水をかける夏のイベント。開業当初に行っていたら、顰蹙(ひんしゅく)を買っていたと思います。日本人の楽しみ方が変わる中、原点は崩さず、お客様の期待をキャッチアップし、具現化することを繰り返してきたことが今につながっているのです。


人間には本質的にハピネスを感じたいという欲求がある。その琴線に触れるように試行錯誤を続けてきたことが、入場者数の増加にもつながったのでしょう。


東京ディズニーランドの事業価値は、幸せな時間を過ごしていただくのが原点。それは開業以来同じ。ハード、ソフト両面で、いかにハピネス(幸せ)を感じてもらうか。どうホスピタリティを提供するか。そう考えながら投資し、施策を打ってきました。


働く側は、自分たちが一生懸命やっていることをやっぱり認めてもらいたい気持ちが強いのです。そこで「褒める」仕組みをつくっています。


アトラクションやエンターテインメントなどについて、常にゲスト(お客様)満足度調査をしています。それが本当にゲストの方々に受け入れられているのかどうかと。


日本人は、中途半端なものでも1回は多分来ます。しかし、2回目以降につながらないと思うんです。きめの細かいハードとソフト、両方があって、来たときに常に新しい発見や体験を感じ取れる、そこに魅力を感じてくれていると思うんです。


私どものホテルも、リーマンショックや鳥インフルエンザなどで稼働率が落ちました。そういうときにパッと思いつくのは値下げの価格戦略なんです。でも価格って無闇に下げると、「じゃあいままでの価格ってなんだったの」とみなさん思います。そう思われてしまうと、従来の価格の価値が完全に毀損されてしまいます。私どもは基本的には我慢しようということで、ホテルでも過去に値下げはしていません。


社長に就任してから、「変えることをタブー視し、既存のものに触れないのはやめよう。ゲスト(お客様)にとって何が最善か、すべてをゼロから見直してほしい」と社員に伝えました。


加賀美(俊夫会長)や福島(祥郎前社長)はよくこう言い表しました。サービス業は「100-1=0」なんだと。100のうち、99はどんなによくても、1つ悪いことがあると、ゲスト(お客様)の思いの中にネガティブな気持ちが残ってしまう。そうあってはならないと。


ディズニーの哲学は、来園されたゲストにハピネス(幸福感)を提供することです。それを愚直なまでに追求してきたことで、ディズニーの価値がゲスト(お客様)に受け入れられてきました。もし、利益優先だったら、価値は守られていなかったでしょう。


トップの私自身が社員たちと互いに一人の人間として同じ目線で向き合う姿勢を見せることが大切だと思っています。


ホスピタリティ(おもてなし)のあり方も時代とともに変えなければならないものも出てきます。


必要なのは、きめ細かな対応です。それを積み重ねる努力を惜しまないことです。


世の中に出てから、いかに自分に足りない部分があるかを自覚しました。会社の先輩、同僚、部下……みんないいところを持っていて、それぞれ個性があり、そこから自分にないものを学ぶことができます。学んでも自分ではできないところもあるかもしれませんが、みんなのいいところをしっかり見ていれば、少しでも自分が成長できるのではないでしょうか。


ゲスト(お客様)が感じる満足度は目に見える価値と目に見えない価値の単なる足し算ではなく、ふたつの軸の掛け算で決まります。どんなにハード面の価値を高めても、ソフト面の価値が伴わなければ、ゲストに評価してもらえず、高い満足度は得られません。


キャスト(従業員)がよい仕事をしたら、それをきちっと認め、褒めること。自分の仕事が認められたら、誰しもモチベーションが上がります。私自身、そうでした。間違いなく普遍的なものでしょう。それをいかに組織の中に仕組みとして埋め込むかです。


現場からの提案を年に一度募集する「アイ・ハブ・アイデア」などの仕組みで吸い上げられるものも多くあります。しかし、一番大事なのはそうした施策を通さなくても、モノが言える環境をつくることです。それは経営者の大きな役割です。


何でもかんでも効率性を追求すれば、短期的にはもっと大きな利益を出せるでしょう。しかし、ほかの部分で手間を省くと結果的に良くないことが起きる可能性が高いとなれば、やはり手をかけなければなりません。


目に見えない体験価値を高めるのは、キャスト(従業員)のホスピタリティ(おもてなし)のほかに、実はもう一つあります。それは新しいアイデアです。これも、褒められる体験が新たなアイデアの創出を生み、ゲストの喜びに結びつくという好循環が回っていけば、東京ディズニーランドでしか得られない新しい体験価値が常に創造されていくと確信しています。


ゲスト(お客様)にハピネス(幸福感)を感じていただくためにはどうすればいいのかを感じていただくためにはどうすればいいのかをその都度考え、最善の判断と行動をとれば、ゲストの満足度が上がり、仕事の生産性はあとからついてきます。ひいては経営の効率化も向上していきます。


東京ディズニーランドの行動指針はSCSEという4つの言葉の頭文字をとったものです。この順番は優先順位を表しています。S(セーフティ)の「安全」はすべてに優先されます。次いでC(コーテシー)は「礼儀正しさ」、S(ショー)は「あらゆるものをショートして提供する」、そして、E(エフィシェンシー)は「効率」です。


マニュアルはもちろんありますが、基本的なプロシージャー(手順)にすぎません。標準的な対応はできますが、60~70点のレベルで、そこから先どれだけプラスできるかは、個人の思いによります。自分の中で創意工夫し、ちょっとした言葉を添えたり、さりげないおもてなしをする。それを喜んでくれるゲストの反応を見て、次はもっと喜んでもらおうと思う。そのとき必要なのは、マニュアルというより、判断や行動のよりどころとなる行動指針です。


私は週末、パーク内を歩いて回り、キャスト(従業員)の仕事ぶりを見て、この人は本当に頑張っているなと思ったら、その場で1枚のカードを手渡しています。「ファイブスターカード」といって、管理職社員がパーク内でキャストの素晴らしいサービスやおもてなしを提供している場面を見かけたとき、称賛のしるしとしてカードを渡す取り組みを行っています。
【覚書き|ファイブスターカードは開園前閉園後に行われる30分程度の特別パーティの招待状となっている】


人間には本質的に、素直な気持ちで感動したいという欲求があります。それはゲストもキャストも同じです。ゲストの喜びが自身の働く喜びになり、誇りとなる。それが仕事の質を高め、ゲストの満足度を増幅していくという好循環を生み出していく。そのためには何が必要か。キャストの誰もが気持ちよく働くことのできる環境が職場にあるかどうかです。


教育と現場をいかに結びつけるか。課題はゲスト(お客様)が喜んでいる姿を見て、キャストが(従業員)が自分の喜びとすることができるかどうかです。


キャスト(従業員)の研修の中で一貫して問いかけているのは、「ディズニーとは何か」という命題です。ゲスト(お客様)にハピネス(幸福感)を提供する。ディズニーの最終的な目標を常に思い起こさせるのです。


仕事は仕事ですから、ディズニーが好きと言う動機だけでは、やがてトーンダウンしてしまいます。そこで、教育が重要になってきます。


東京ディズニーランドの場合、現場に立つキャスト(従業員)のほとんどは準社員、いわゆるアルバイトです。応募されるのは小さいときから来園され、ディズニーが大好きでキャストとして働いてみたいというインセンティブを持った方が非常に多い。入り口部分で意欲の高い方に集まっていただけるのは、開園以来26年間、我々が懸命に守り続けてきたディズニーのブランド力によるものでしょう。


ハード面での投資は手を休めることなく継続的に行います。数百億円単位の大規模な投資から十億円程度のものまで大小織り交ぜ、東京ディズニーランドでしか得られない体験価値の拡充を常に目指します。これは世の中に対し、話題を喚起するためにも大きな意味を持ちます。


来園されるゲスト(お客様)の満足度とは何かといえば、パーク内での様々な体験を通して感じる体験価値への評価です。それは施設やアトラクションなどによる目に見える体験価値だけでなく、目に見えない体験価値が大きな部分を締めます。その多くはキャスト(従業員)のホスピタリティ(おもてなし)から生まれます。この目に見えない価値をいかに高めていくか。それが私どもにとっては、一番肝の部分なのです。


顧客にとってそこで過ごす時間が人生にとっていい時間になるような事業をやりたいと思っています。それが我々に根付いた思考回路であり、強みでもあるからです。単に収益だけを考えたくはありません。25年後も後輩たちに同じ哲学を語るでしょう。


キャスト(従業員)の雇用形態はそれぞれ違います。でも、自分たちの最終目的はゲスト(お客様)に幸せになってもらうことなんだというミッションが共有され、ネガティブなことは必ず解決していくという思考回路が根付いていれば、コミュニケーションを妨げる障害は生じません。


ネガティブな話を上に上げると、会社に負担がかかるだけだから言わずにおこうといった「小利口」な判断が働いたりすると、ゲスト(お客様)のサイレントな声は吸収されなくなってしまいます。


より重要なのはフロントライン(最前線)で働くキャスト(従業員)自身がゲスト(お客様)の表情や動きからネガティブな心理に気づき、フィードバックすることです。そのためには、誰もが会社に対して、モノを言える環境をどれだけつくれるかです。


キャスト(従業員)の誰もが満点のサービスができているわけではありません。その質を高めるため、社員が覆面調査員になってパーク内を見回ります。いいサービスが目に入れば吸収し、改善すべきことはキャストたちに伝え、自らも戒めとするのです。


クレームのお手紙やお電話をいただいたら、しっかり受け止めて現場にすぐ下ろし、直すところを直すのは当然です。見落としがちなのはサイレントの部分です。声になって出てこないゲスト(お客様)のネガティブな心理、黙って去るゲストの泣き声です。


自分たちの売っている商品がこれほど人々に受け入れられ、純粋に喜んでもらえる。それは私たちにとってものすごい誇りであり、自信になりました。愚直にハピネス(幸福感)を提供し続けてきたのは、社員の誰もが誇りと自信を持っているからだと思います。


東京ディズニーランドでは1日に来園されるお客様の人数の上限を設けています。予約の人数や朝の来園ゲスト人数などを見て上限を上回りそうなら、入場制限をかけ、来園される前にお知らせしようと、乗換駅でアナウンスします。ご来園を考えていらしたゲスト(お客様)には申し訳ないのですが、利益優先で上限を設けていなければ、倍の人数が入る可能性があります。でも、それではゲストに提供するハピネス(幸福感)の価値が崩れてしまいます。いずれにせよ、利益より価値を大切にする哲学が強い支持を得ているのだと思います。


開業25周年はただの数字的な区切りではありません。開業当時、ご両親に連れられて来援された方の多くはその後結婚され、いまはお子様を連れて来園されているかもしれません。25年の年月にはそれぞれのご家族の歴史と思い出が染みこんでいます。その蓄積が2722万人という数字に表れたのだと思います。ゲスト(お客様)とのつながりの強さを改めて実感しました。
【覚書き|2009年3月期の入園者数が2722万人を記録したことについて語った言葉】


少子高齢化は逆風であると思いますけれども、だから萎縮してそこそこでいいやとやるのか、その中でどうすれば来ていただけるのかをしっかり考えるのか、ということだと思います。しっかり考えれば、50年、100年後は別としても、この20年、30年というスパンでは少子高齢化が強烈なダメージになるとは私は思いません。


値上げについて何年ごとといった基準はないのですが、考え方はあります。パークのバリューが値上げをしてもいいと思われるレベルに1つ、2つ上がったときには、アトラクションなどに投資しているので値上げもするということです。もうひとつ大事なのはやはり市場調査といいますか価格感度ですね。これはしっかりと見極めながら、じゃあ300円なのか、400円なのかと最終的にジャッジしていく。これを繰り返していくということです。


投資額が偏らないように、1年以内に偏らないようにバランスよくやることを心がけています。たとえば今年7月にオープンする「トイ・ストーリー・マニア」。あれも検討してから今年まで、4~5年かかっているんです。


リピーターを獲得するには、まずはハード面でパークへの関心を常に持っていただくこと。もうひとつ大切なのは、そのハードを活かす「人」の部分ですね。キャスト(従業員)の皆さんがゲスト(お客様)の方々に高いホスピタリティ(おもてなし)の心を持って対応する。これを続けることだと思います。


私どもは装置産業でコストがかかりますが、ハードの更新はやはり続けるしかありません。毎年の予算でも固定費の部分はかなり高いので、数字を見ると「もっとどうにかならないかな」という気持ちは正直あります。多少苦しい時期も当然ありますけれども、それでもやり続けるということです。


私どもはキャスト(従業員)が財産ですから。彼らに感謝の気持ちを表したいということで、いつも1月の終わりにキャストを呼び、マネジメント層がパークを運営しておもてなしをする。そこでまたマネジメント層とフロントライン(現場の最前線)の方の信頼感も醸成されるのです。


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