三宅秀道の名言 一覧

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三宅秀道のプロフィール

三宅秀道、みやけ・ひでみち。日本の経営学者、コンサルタント。神戸育ち。早稲田大学商学部卒業後、都市文化研究所、東京都品川区産業振興課などを経て、早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員などを経て、東海大学政治経済学部専任講師に就任。専門は製品開発論、中小・ベンチャー企業論。

意識されていなかった名前のない問題を発見することが新しい文化の創造に結びつく。技術開発はもちろん大切ですが、いまは比重がそちらに寄りすぎていると思います。未知の問題をもっと発見していくことが明日への希望になると信じています。


TOTOのウォッシュレットにせよ、ホンダの原付自転車にせよ、ソニーのウォークマンにせよ、画期的な新商品は新しい文化の開発から生まれている。でも、その文化に慣れ親しむと商品の改善に軸足が移り、先人たちの発明を技術開発の結果と錯覚しはじめる。技術さえ高めれば、いつか自然現象のように発明が生まれると信じていく。しかしそれだけでは、いつか市場は行き詰ります。


未知なる文化をとり入れ、新しい価値に気づけば、その先に新しい市場が生まれるのです。


私も大企業の技術開発にフォーカスしたストーリーを聞くのは嫌いじゃないですが、それ以外の勝ちパターンも軽視すべきではありません。


作ってみたら新しい習慣として世の中に普及した。そういう製品を探してみればいくつもある。どんな製品も、最初は高度な技術で開発されたというより、あった技術をなかった用途に転用して、社会がその用途を後から認知するようになったものが少なくない。製品ができる最初の過程はそういうものだ。


主流のマーケティング理論では潜在ニーズを発見しろという。それはいまあるコンセプトを、いろいろな生活の場に投げ込んでみれば、細部で改善できるところがある、という言い方と同じだ。しかし、これでは後手といっていい。社会につねにある生活文化の変化に作り手が追いついていない。生活者の変化を先取りして、たとえばトイレでは尻は洗うものという習慣が生まれたように、主導権をもって生活文化の「家元」になることが大事だ。


知らない人と友達になる効用は、意図せざる情報をインプツトできることだ。とかく役に立ったという目分のフレームの変化には気づかない。そうでなくても、情報はあふれている。だが、自分自身の必要、不必要の情報判定はあいまいであやふやな中で行われる。いま感じている必要性は知り合いの中での入手では高がしれている。組織にいると、結局ある人の手のひらの上で動いていることにどうしてもなりがちだ。とかくアクシデントやハプニングが起きなくなっている環境にいるのに、そうなっていることに気づかない。この意図せざる友人によって生き方が変わる。


問題の発明は決して特別なことではない。自分のわがままな考えをわがままと思わずに、こんなことがあっていいと考えついたら、できそうにないという無意識の自己規制を外せばいい。


企業は技術が主導の権力、価値構造になっている。組織の成功体験が組織内の権力体系をもたらし、根本のコンセプトの革新・改善はトップでも進めにくい。それでも、誰かが考えていなければいけない。


ソニーの前身、東京通信工業時代に井深大さんは炊飯釜を作っていた。その時代はユニークなおじさんと見られていただろう。有名な会社になってから取り上げたときは成長論で斬れるが、市場の発生論というまったく違ったアプローチも必要だ。


日本の製品開発は、より低コストのものがいい、より省エネがいい、より省スペースがいいと、コストパフォーマンスの比率をよくする方向ばかりに意識が偏る。それを使ってこんな楽しみもあるといった別の暮らし方を提案するようなことは弱い。とりあえず、上司から言われたから特許件数だけはノルマをこなすため取るとしても、それを組み合わせて暮らしの中で喜ばれるサービスに結び付ける提案はお留守になっている。いままで文化を開発することをなめてきた。暮らしの幸せは米国製を借りてきて、それを軽薄短小、省エネで実現しようとした。


同じ価値観、物差しを使って具体的にいろいろな生産現場を見ると、ここはムダを省けるとか、ここはもっと安くできるなど、「改善点が発見」できる。それが、トヨタ自動車の工場では年間100万件もの「改善点の発見」になる。


中小企業を研究してきてわかったことは、製品としても生産技術としても抜きんでたところはないが、その製品によって、以前は需要さえなかったところで需要が作られ、そのマーケットでトップを占めるようになるというような、技術の優位性では説明がつかない成功例が結構あることだ。これは、従来の経営学が教える企業の勝ち方のロジックにそぐわない事例だが、いまはそれも「王道の勝ちパターン」の一つとして分析できる。


文化人類学の人たちと話をしていると、トウモロコシはネイティブアメリカンの聖なる食べ物だったとか、インドネシアでいまポカリスエットが受けているといった話がぽんぽん出る。新しい文物が、違う社会から輸入されて普及していく現象が、当たり前のようにある。その形態は、新しい文化が波となって広まり、その波に乗って、特定の企業がマーケットを占有していくものだ。このような生活文化、消費文化の開発はその地域で大いなるビジネスチャンスを生む。これは、製品技術より文化で説明して初めて説得力があるし、そういった事例も豊富にある。今の日本でそれができないとすれば、これまでの成功体験が障害になっているからだろう。


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