三宅占二の名言 一覧

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三宅占二のプロフィール

三宅占二、みやけ・せんじ。日本の経営者。ビール酒類メーカーのキリンホールディングス社長・会長。慶應義塾大学経済学部卒業後、麒麟麦酒(現:キリンホールディングス)に入社。営業畑を歩み、大阪支社営業第2部部長、キリンビールとハイネケンの合弁会社ハイネケン・ジャパン副社長、マーケティング本部営業推進第1部部長、営業本部営業部長、常務執行役員国内酒類カンパニー社長を経て、キリンビール社長。

競合他社のことを言っても意味がない。我々は我々のやり方でやっていくまでです。


私が「キリンブランドにはこだわるが、キリンブランドで世界制覇するつもりはない」と言うと、皆がっかりした顔をします。しかし、自分の実力を認識したうえで、キリンらしいグローバル戦略を立てることが重要です。


未経験分野への異動には戸惑いや不安が伴うかもしれません。私自身、寝耳に水の人事を経験しました。18年前、オランダのビール大手、ハイネケンとキリンビールの合弁会社、ハイネケン・ジャパンへの営業担当副社長としての出向です。しかし、外国人社長と一緒に経営の舵取りをすることで、英語力と国際感覚を鍛えることができました。


営業の最前線を当社では「お客様接点」と呼びます。顧客のニーズが多様化している今日、マーケットでどういうことが起きているかは、得意先も知りたいはずです。そこで、キリングループ独自の、また自分が足で稼いだ情報を提供し、一緒に戦略・戦術を考えるのです。それによって、さらに信頼が深まることが実感できれば、営業の面白さもわかってくると思います。


私は営業の特性はいまも昔も変わっていないと思います。人と人との付き合いの中から、信頼関係が出来上がり、モノが売れるようになっていく。もし、アドバイスをするとすれば、まず自分の担当エリアなり得意先を知るために、徹底して現場に出向くことです。社名を覚えてもらい、名前で呼ばれるようになればしめたものです。


給料をもらって働く以上、仕事は会社から与えられたものです。組織に身を置いているからには、職種は自分ではそう自由に選べません。辞令は覚悟を決めて受け入れ、やり抜くしかありません。たとえそれが未経験の業務だとしても同じでしょう。


最近の営業は、同じセクション内のコミュニケーションにとどまらず、製造とか物流とのチームプレーも求められるようになってきました。それぞれの立場で「お客様の笑顔」に向けて工夫をし、組織全体のクオリティを高めていくというやり方です。


アルコール離れと嘆いて、指をくわえていてはメーカーとして責任回避ですから、いままで以上に総需要拡大へ取り組み、ビール、焼酎、清涼飲料といった区分ではなく、飲料全体をとらえて実際にあるかくれたニーズを引っ張り出す必要があります。


求められる社員をつくるのはリーダーの役目です。こういう社員はいらないというのは、天に唾するようなものです。不要な社員を語る前に、社員を育成するリーダーの工夫が求められます。


専門性というと、研究開発やマーケティングといった職種が思い浮かびますが、たとえば営業現場でも、お客様が買いやすく、当社にとっては売りやすく、お店にとっては売上が増加するような提案ができるかどうかも一種の専門性です。しかし、普通にやってもこういう人は育ちませんから、会社として育てる組織風土や仕組みを仕掛ける必要があります。「社員の自助努力」で済ませてはいけません。


営業や物流、製造などいろんな部門の人間をごちゃまぜにして5から6人のチームをつくり、組織の課題や我々が目指すべきキリンウェイという行動規範についてディスカッションさせています。そうするとまったく異なる他部門が苦労しているポイントの理解や、向いている方向は一緒なんだと思いの共有ができるのです。


みんな腑に落ちなくてもある程度業務をこなしますけど、そういう仕事はやらされ感が強く、上手くいかないと「やらせる方がいけないんだ」となってしまいます。だから私は「なぜこれをやるんですかと上司に何度でも聞いてみろ」と言っています。2回、3回聞かれただけで「会社が決めたんだから黙ってやれ!」というリーダーはいりません。実際、こういうリーダーのもとで求める人材は育っていませんし、何よりリーダーを選べないことが部下の不幸ですから。


自由闊達な雰囲気の中で、お互い意見を言い合い、楽しく生き生きと仕事ができて、自分が成長している実感を持てる組織をチームごとに作っていかないといけません。現場で気づいたことを提案して実現する現場力は、自由闊達な雰囲気の中でプロ意識を持った人間が互いにおせっかいをしながらワイワイやらないと出てきません。こういう時代ほど、そんな人たちがズラリと揃うと強いというのが実感です。


どの業界もそうですが、将来の見通しが非常に立てにくくなっています。ただ、我々はお客様の暮らしに密着した商品をつくっていますから、ことさら経済危機と構えるのではなく、安全・安心で美味しいものづくりと、ものづくりを通じたお客様への価値提供をきちんとやっていくことが大切だと思っています。


高い専門性と目標を達成する能力だけを求めると、専門分野のプロにはなっても機能別組織の中に閉じこもってしまい、会社は部分最適に陥ります。私は「役割や部門の壁をいい意味で越境し、おせっかいを焼きなさい」と言っています。タコツボに陥らず、全体最適の視点で各機能を連携させていく能力を身につけて欲しいのです。


経済全体の成長の中で、過去の成功体験を引き継げば、社員も会社も成長できる時代はとうに終わっています。現在は高度な専門性を持ち、自分に合った専門性ののばし方を、会社から与えられるのではなく、自分で勉強する気概を持たないといけません。


経営方針や経営計画が出たときに「会社が決めたからお前やれ!」という人や、経営方針を自分の職場に落とし込んでその意味やメリットを自分の言葉で説明できないのはダメなリーダーです。これが結構多い。リーダーは「腑に落とす」努力を怠ってはいけないと思うんです。


こういう先の見えない時代にはまず、定番商品をしっかり強化することが大事です。また、健康志向の高まりに対応した商品を出して、お客様のニーズに応えていくのです。


キリングループの長期経営構想でも、当社の中期経営計画でも、以前からマイナス市場の中でどう会社の体力をつけるかという課題に取り組んでいます。計画立案時より環境はさらに厳しくなりましたが、急にプラスがマイナスに転じたわけでも、赤字が出たわけでもありません。大変なのは確かですが、逆に長期ビジョンや質的な成長へチャレンジするには良い環境ではないでしょうか。


大事なことは、つくる人、運ぶ人、売る人が、それぞれのテリトリーを超えて横の部門にもおせっかいを焼き、課題を共有することです。


会社としての目標を達成するため、個々の現場はどう動かなくてはらなないのか。現場が常にそういった問題意識を共有し、話し合いを持つような体質になっていれば、問題が発生してもすぐ解決することができます。逆にそういう土台ができていないと、個々の現場で問題が起きても自分たちで抱え込むとか、不都合を不都合のまま放置してしまいます。


競争すべきところはうんと競争してもいいのです。しかし、余計な部分にはコストをかけて収益の足を引っ張る、それをお客様に負担していただくというのはよくない。


原点に戻るには、マインドや働き方を変えないと駄目なのではないか。熾烈なシェア競争をしているときに、我々はどこを見ていたのだろうかというと、お客様ではなくアサヒばかり見てしまっていた。アサヒがこういう商品を出したからうちも出さなくちゃいけないと。いったいキリンは何をやっているんだと長年のお客様は怒り、「落第の通信簿(シェアの下落)」をもらってしまったわけです。
【覚書き|社長就任時のキリンの状況について語った言葉】


まず7から8人のグループに分かれてディスカッションをしてもらいました。工場のラインの人もいれば、契約社員もいるし、物流子会社の人もいる。多様な人が多様なテーマで議論していくことで、分かり合ってくる。「目指しているものは同じじゃないか」と。これを1時間ちょっと。この後は会社が会社ですから、缶ビールと乾きもので一杯やりながらという感じです。


売上のシナジー(相乗効果)は、たとえばワインでいくと、いまはメルシャンのかなりの商品が東名阪の大都市部で売れています。それ以外に薄く広くメルシャンの営業要員を配置するよりは、キリンビールの営業網を使った方が効率的です。メルシャンは商品を決めて、キリンの営業にこれを売って下さいと頼めばいい。九州でテストしたら、達成率が全国より高くなったんです。


国内の最大の課題は「総合飲料戦略」です。キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンなどで、資源分配だとか、コスト削減や売り上げ面のシナジー(相乗効果)をしっかりやっていく必要がある。少子高齢化で市場は厳しいですが、ビアテイスト飲料の「フリー」が新しい需要を創造できたように、カテゴリーの枠にとらわれないような商品開発に取り組むことが課題です。


営業が工場の品質管理の人と話して、こんなにこだわっていたのか、しっかり売らないとこの人に申し訳がないと思うわけです。逆もしかりで、店頭でこんなに頑張っているのかと気づく。だんだんわかってくるんです。


社長就任当時は、生産は生産、物流は物流、営業は営業と縦割りになっちゃって、横の連携が全然なかった。私はそれを「内向き上向き箱文化」と言っていたんです。内側ではものすごく熱心なのですが、箱の中で上しか見ずに横を見ていない。


1993年からの4年強、ハイネケン・ジャパンの営業担当副社長で出向させられました。ここの社長がオランダ人でね。もともと英語は嫌いじゃなかったです。片言の日常会話ぐらいはできるつもりでした。しかし、実際にオランダ人社長と会議室に入って話すと、マーケティング計画とか事業計画とか、とてもじゃないけど大変でした。でも、やっていくうちに聞こえてくるし、しゃべれるようになってくる。いまでも米国人の英語よりは、フランスやドイツの人がしゃべる英語の方が聞きやすいです。


グローバルマネジメントプログラムという研修を実施しています。英語で経営学やマーケティング、財務を学ぶコースです。いわゆる座学で、大学院でやるような講義を、ある一定期間、集団で研修します。本人の希望もありますが、会社側からの抜擢も組み合わせて構成しています。卒業生は60人。この春の異動で卒業生の中から、十数人を一気にシンガポールを含めた海外に行かせました。


(海外の競合他社と比べて)足りないことはいっぱいあると思いますが、ひとつ挙げるとすれば組織能力でしょう。海外事業あるいは国内事業、グループ全体を横串にして、しっかりと収益を上げていく。国内人材はそこそこいますが、グローバルで活躍できる人材の育成も必要になるでしょう。日本人がグローバルになるだけではなくて、外国人にも来てもらう。多様性を受け入れられるような文化も作っていかなければなと思います。


日本の清涼飲料市場はプレーヤーの数が多く、世界でもまれな競争市場です。我々も商品開発の引き出しをたくさん持っていますから、マーケティング力、市場リサーチ力で彼ら(マレーシア、シンガポールで大きなシェアを持つ清涼飲料水メーカー、フレイザー・アンド・ニーヴのこと。キリンと資本提携を行った)のお眼鏡にかなったんだと思います。


東南アジアの地域統括会社という位置づけで、キリンホールディングス・シンガポールを立ち上げました。ここに7人、30代後半から40代前半の若手を送り込みました。若い世代の人に思い切って権限を移してしまおうという考えです。


世界的なビールメーカーと比べると、キリンはビールと清涼飲料の両方を持っているという点が強みです。これらはバリューチェーン(価値連鎖)がほとんど一緒なんです。両方を合わせ技で持っていき、国際化の道を探っています。東南アジアでいえば、ビールはフィリピンのサンミゲルがありましたが、清涼飲料はほとんど白紙状態だったわけです。清涼飲料で東南アジアをどうカバーするか。ここにヒト、モノ、カネを集めている状態です。


余計なところにコストをかけるべきではないというのが震災の教訓です。「生茶」のキャップは緑にしたいとか、いろいろ現場で要望はありますが、そのために全体の生産量が落ちては意味がない。白のキャップだっていいじゃないかと。その方が生産性が10%上がるのです。


一般にはリスク分散とかよく言われていますが、我々はメーカーですから、サプライヤー(原料や部品の供給元)がそれぞれのミッションを遂行するために分散させるというのは、そちらで考えればいいと思っています。我々がペットボトルのキャップの仕入れを分散させた方がいいとか言い出すと絶対コストアップになり、最終的にはお客様に負担してもらわなければいけなくなります。


失敗事例は担当者としては書きにくいことだと思います。実際に上がってくる営業日報に目を通してみると、「商談がまとまりました」などの成功事例は数多いのですが、失敗のほうはとても少ない。しかし、実際に役立つのは失敗事例です。これを担当者には誤解してほしくないと思います。


キリンビールでは、営業日報の提出のほか、情報共有のために「キリノロジー」というシステムを活用しています。会社はこれをもとに営業戦略や戦術を練ります。日報の記述の中に他の営業マンや営業拠点でも参考になりそうな事例があれば、上司の判断によって、全員が目にするトピックス欄に転送されます。営業日報はいまや営業マンの活動履歴というよりも、組織的な営業活動を行うための情報共有ツールになっています。


営業日報で最も大事な要素は、会社名・店名・役職名・人名といった具体的な固有名詞です。それを担当者の判断で曖昧にしてはいけません。取引先の事情に通じている上司が人名入りの日報を読めば、取引先の発言に対して「あの人がこう言うなら、裏にはこんな事情があるはずだ」と真意を酌むことができます。そうすれば、表面的な発言に惑わされずに新しい意思決定ができるでしょう。


起承転結を踏まえて冗長に書くのは営業日報としては失格です。営業日報はたとえて言えば「生野菜」のようなものです。煮物や炒め物にするのは上司の役目。とにかく簡潔に、具体的に書くことです。


キリンの弱点を克服するために「対話」を始めました。営業も生産も物流も全部門が一緒になって問題点を議論する「フォーラム」をつくりました。リベート撤廃で無理な営業をやめ、代わりに「ビールに合う料理」のレシピを売り場で紹介するなど、知恵を使った営業に切り替えました。09年に9年ぶりに首位を奪回できたのは、こうした小さな積み重ねの結果です。


ハイネケンの人たちは、自社のビールが「どういうグラスに注がれているのか」を気にするのです。冷えたグラスに注がれたビールが、ハイネケンのマークをプリントしたコースターを敷いてお客さんに出される。そこまで確認しないと彼らは納得しないのです。「なるほど、これがブランディングか」。とても新鮮で、勉強になりました。


ハイネケンでは「ブランディング」という考え方を知りました。キリンビールの営業時代、私はとにかくビールをたくさん売ることに夢中で、売った後のビールが飲食店で、お客様にどう飲まれているかなど、考えたこともありませんでした。


ハイネケン・ジャパン社長のビヘラー氏の日本語は片言で、私の英語も英会話学校で勉強中といった程度です。最初は正確を期すために通訳を使っていましたが、ある日、思い切って通訳を外しブロークンイングリッシュでドンドン話すようにしました。不思議なもので、そのほうが気持ちが通じる。そうこうするうちに1年もすると、どういったときには相手がどう考えるのか、わかるようになってきました。


社長というのは、なかなか落ち着いてやれるものではないと実感しています。国内外の市場環境の変化は激しい。どう事業をアジャスト(調整)するのかという難しさもあります。社長3年目でも「慣れました」とはとても言えません。


海外展開の遅れた日本のビールメーカーは、ビールも清涼飲料も両方つくれることが強みです。採算面からいえば酒類専業の方がいいですが、我々は出遅れた分、成長をとるのか利益率の絶対値をとるのか、常に選ばざるを得ません。


今後は、商品ブランドを育てるのが各事業会社の仕事、その商品ブランド作りにキリンとしての横串を入れるのがキリン株式会社(持ち株会社)の仕事。商品ブランドが育つことで、キリンの企業ブランドを伸ばした。


人名ランダムピックアップ


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