稲盛和夫の名言 一覧

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稲盛和夫のプロフィール

稲盛和夫、いなもり・かずお。日本の経営者。「京セラ」「第二電電(のちのKDDI)」創業者。鹿児島出身。鹿児島大学工学部卒。技術者でありながら会計に明るく、「アメーバ経営」など独自の経営手法で同社を大きく成長させた。事業だけにとどまらず盛和塾という私塾を主催し後進の経営者育成を行った。京セラの会計についての著書『実学』がベストセラーとなった。

航空業界ほど不安定な業界はないと思っています。例えば、天候が悪かったり、地震が起きたりしても需要は落ち込みますし、世界的な景気変動の影響も、まともに被ってしまうのが宿命です。突発的にいろいろなことが起こって経営が左右されてしまう不確実な業界なのです。ですから、私はたとえ再建がうまくいって、今は経営が順調でも決して安心はできないと思っています。


トップがいくら優秀でも、下が忠実に決まったことを守りさえすればいいという経営手法は時代錯誤。トップの経営陣と同じようなマインドを持った従業員がどれだけいるかで、会社の強さは決まる。


私は単純に、リーダーが組織を引っ張っていく上での物事の判断基準は、人間として何が正しいかという一点だと考えています。打算を捨て、自分に都合がいいとか悪いとかではなく、時にはそれが自分自身や会社に不利益をもたらしたとしても、正しいことを貫いていくことが立派なリーダーになるためには必要なのです。


最初は勝算も何もなく、どうすれば良いかという策も持っていませんでした。JALという会社はどういう会社なのか、どんな経営陣が残っているのか、それらを知ることから手探りでやらなければならない状況だった。
【覚え書き|JALの経営再建に取りかかった当時を振り返っての発言】


これは預かりものや。もちろん、その中から京セラの将来のために投資することは必要。それを怠ってはいかん。しかし、それがすべてではない。天からの預かりものだから、できるだけ多く、世の中を良くするために使うことが大事や。
【覚え書き|京セラの余剰資金について語った言葉】


いま、私に一軒の飲食店を任せてもらえば、何人かの人を雇って見事な店をつくってみせます。それは、ラーメン屋でも、おでん屋でも同じ。売上を増やし、コストを抑えるための創意工夫は、どの商売にも通じるからです。


商売には「損して得とれ」という言葉もあり、今回は目をつぶり、次で儲けさせてもらうという考え方もあります。とはいっても、シビアに原価計算ができていないと、どこまでなら値下げしていいか、判断をくだせません。


私も経営者になりたての頃は、研究開発、製造、営業に忙しい日々を過ごしていましたが、経理については素人で、ベテランの経理部長に任せていました。あるとき彼と、次のようなやりとりがあったことを記憶しています。私が「利益は出ましたか?」と訊ねたところ、部長は「売上の一割程度の利益が出ました」といいます。そこで「そのお金はどこにあるの?」と聞くと、彼は「お金はありませんよ。まだ売掛金のままですから、税金は銀行から借りて払います」と答えるではありませんか。いわゆる「勘定合って銭足らず」という状態です。つまり、一割程度の税引前利益が出ていても、場合によっては資金繰りが苦しくなります。手元のキャッシュが少ないようでは、経営戦略上も有効な次の一手が打てません。


JALの再建で、私はあらゆる機会を通じて教育に全力を尽くしました。それが功を奏し、全社員が経営者意識を持って仕事に取り組んでいます。


会社を経営していると、思わぬ外部環境の変化に戸惑うことがあります。しかも、そこで対応を誤ると、取り返しがつかなくなることも少なくありません。しかし「変化はチャンス」でもあり、上手に生かせれば業務拡大にもつながります。


私は「値決めは経営者の最も重要な役目のひとつである」と常々いっています。なぜなら、売り手にも買い手にも納得を与える値段でなければ商売はなりたちません。そのためには絶妙の経営感覚が求められるのです。


会計システムを確立し、原価、費用などの細かい数字を把握し、経費を最小限に抑えることで利益をあげることが会社継続の源泉。


私は、経営を学んでいく過程で、会計が現代経営の中枢と考えるようになりました。会社を長期的に発展させるためには、財務状況の実態を正確に把握されなければならないと気づいたのです。


「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」という京セラの経営理念を実現するには、どうしても高収益体質の企業にしなければなりません。


私の家が裕福で資産があり、それを元手に会社を設立したのであれば、オーナーとして余裕のある経営ができたでしょうが、創業時はお金もなく、実務経験もありません。黒字化は緊急課題だったのです。幸い、全員で必死の努力を重ねた結果、初年度から黒字決算になりました。


残念ながら、最近の経営者は何かというと「為替の変動で苦しい」とか「マーケットが冷え込んでいて」などという言い訳が先。うまくいかない条件を並べることは簡単ですが、そう思うことが、自分自身を、そして会社を低迷させている元なのです。信念があれば、悪条件を乗り越えてやっていこうという気持ちになれるのです。


いまに西ノ京原町一になるな、原町一になったら中京区一や、その次は京都一やで。そして日本一までいったら世界一を目指そうな。
【覚え書き|創業当時、従業員に語った言葉】


部下を叱ればいいというものではないし、褒めればいいというものでもない。経営者の目的は、組織を正常に機能させること。そのためには優しさと厳しさの両面が必要だ。
【覚書き|ある人に部下は褒めて伸ばした方がいいのか、叱って伸ばした方がいいのかと問われたときの返答】


おまえは、大学を出ているから「知識」は十分あるんだろう。通信事業をやってきたのだから「見識」もあるんだろう。だけどおまえには「胆識(たんしき)」がない。物事を決めるときには知恵だけじゃダメなんだ。本当にそれを自分がやりたいと思う。もしくはやらないといかんと思う。そして、そのためにはどうやればいいのか。それを考え抜いたうえで発言しろ。
【のちにKDDI社長となる小野寺正氏に言った言葉】


上司から指示された仕事を我が事にしてしまい、創意工夫を加えながらその仕事の範囲をどんどん拡大していけば、やれることは無限にあると同時に、いくつもの壁が立ちはだかってくることがわかります。営業ひとつとっても、「お前はこのテリトリーをやっておけ」と指示されて、そのとおりのことしかしない人は成長できませんが、決められたエリア内を深掘りしようと思えばいくらでも工夫はできます。そうすることによって仕事はいくらでも広がっていき、そして広げれば広げるほど、苦労は増えていくのです。頭角を現わしてくる人間は、みなそうやって「苦労を買っている」わけで、そのなかで揺るぎない信念が養われていくのではないでしょうか。


子供時代を過ごした鹿児島で、「若かころの難儀は買うてでもせい」とよくいわれたものです。いま振り返ってみると、まさに至言だと思います。信念とは苦難のなかで養われるものであり、そういう意味では、天が自分に苦しい状況を与えてくれたことに感謝しています。


私はつれづね利己ではなく「利他」が重要だといっていますが、簡単に妥協してしまう人は利己的な人が多い。残念ながら、日本企業のリーダーにはこのことを自覚できている人が大変に少ないと思います。


私の世代は、大学を出ても就職先などないのが当たり前でした。そして、幸運にも仕事に就くことができたら、その仕事を必死でやるのが当たり前の時代でした。逆境のなかで耐えて、耐えて、必死になって働き続けることによって自分の精神が鍛えられ、揺るぎない信念が磨かれていったように思います。つまり私の信念は、自分で求めたのではなく、他動的というか、環境から授かったものという気がいたします。


揺るぎない信念はいかにして身につけることができるのかといえば、それは逆境のなかで辛酸を嘗めるような苦労を経験をすることでしか身につかないと、私は思います。


50人の従業員がいれば50とおりの個性があるわけで、リーダーがそれを束ねてひとつの方向に導いていかなければ会社はバラバラになってしまう。そして、従業員にとってたんに居心地がいいだけの甘い会社は、いずれうまくいかなくなります。リーダーは揺るぎない信念で、「いまこの会社にとって何が正しいことなのか」を従業員に説き続けなければなりません。


リーダーという存在は、相手が聞く耳をもっていようともっていまいと、自分の信じるところを諄々(じゅんじゅん)と部下に説いていき、心から納得させなくてはならないのです。


盛和塾でもよくいっているのですが、いろいろな交渉などで簡単に妥協してしまう経営者がいますが、そういう人は信念が希薄だから妥協してしまうのです。なぜ、信念が希薄なのかといえば、それは大義を考えていないからです。つまり、簡単に要求を呑んで妥協してしまうのは、「この厳しい交渉を一刻も早く終わらせたい」という、経営者の私心にすぎません。相手が利己的なのではなくて、経営者こそ利己的なのです。


意識の変化には、JALの社員が倒産という「死の淵」を覗いたことも大きかったでしょう。その恐怖心がなかったら、本気で意識改革をしようなどとは思わなかったかもしれません。


私が塾長をしている盛和塾には、中小企業の経営者の方がたくさん集まっておられます。私が、「あなたはなぜ会社の経営をしているのですか」「経営にはビジョンとミッションが必要なのではありませんか」「会社をよくしようと考えたら、まずはみなさんの考え方から変えていかなくてはならないのではないですか」といったお話をしますと、みなさん「ハッ」と驚かれます。それまで、自分の会社の利益というミクロな問題にのみ汲々としていた経営者が、自分の仕事の大義とは何かに目覚め、思考がほぐれていくと、急に視界が拓けるように感じるのではないかと思います。大義を考えることには、こうした効果があるのです。


人間は多かれ少なかれ、世の中の役に立つべきであり、世の中の役に立つことをやるべきだという思いは昔からありました。「世のため人のためになること」を成すのが、人間として最高の行為であり、自分の人生はそのためにあるのだと信じて生きてきたつもりです。それが私のいう「大義」です。事業の展開を図るときも、つねにこれをベースにして考えてきましたので、大義は私にとって非常に大切な言葉です。


今の日本はあまりにも平穏で、安逸をむさぼっています。もうちょっと根性入れて仕事をせんかと思います。


会社が潰れたのは皆さんの考え方がおかしかったからで、その気持ちを変えて会社を立派なものに変えなきゃならん。
【覚書き|日本航空立て直しに取りかかったときに幹部たちに語った言葉】


些細なことでも社会に貢献したらどうですかと言いたいですね。いったんこの世に生を受けた以上、世のため人のためになるようなことをしようじゃありませんか。私たちは皆、何かを成すために生を受けています。それに気がつかないのは、空しいじゃありませんか。


生きていくには自分で何とかしなきゃならない。本来は社会がこうした強い自覚を持てるように仕向けなくてはならなかったかもしれません。ですが、「ダメなら助けてあげましょう」という制度が奮い立つ熱情を失わせていった。これは成熟した社会になればなるほど、ついてくる問題なのかもしれません。


日本は非常に成熟し、博愛の念や弱者への思いやりも強まっています。国民は生活保護法などで手厚く保護されるようになりました。しかしそれが、「何くそ」という思いで生きる人を阻む要因になっているのかもしれません。非常に逆説的な結果ですが。


日本はバブル崩壊後、平穏な状態になりました。あまり悪くもならず、そのまま二十数年間経過した。しかし「可もなく不可もなく」じゃいかんのです。


若い頃、私は思想家・中村天風さんの言葉に出合いました。「新しき計画の成就は、ただ不屈不撓(ふくつふとう)の一心にあり。さらばひたむきに、ただ想え。気高く強く、一筋に」。新しいことをやるには何事にもくじけない強い精神力がいる。であれば気高く、強く、一筋に思いなさいという意味の言葉です。


いまは核家族になっていますから、両親が美徳や価値観を子供に教えていかないとならない。両親にも日本人としての美徳や価値観が薄らいできている可能性があります。世界に誇れる日本であり続けるには、やはり親御さんの教育といいますか、親にしっかりしてもらうことが大事じゃないかと思います。


日本は今後、少子高齢化が進んで人口が減少していきます。そういう中で、これまでのような経済発展を求めるのは非常に難しくなると思うんです。そんな中でも日本が未来に残さないとならんものというのは、日本人の美徳といいますか、親切心やおもてなしの心、礼儀正しさといった人間性です。


よく言霊と言いますが、本当に自分の意思を伝えようと思えば、言葉に魂が乗り移っていかなければならない。だから終始一貫、相手の心に伝わるように精魂込めて話すんです。


技術的なことだけ進化発展しては近代文明は危ういものになってしまいます。人類の精神面の進化や豊かな人間性がなければ危なっかしい。


イノベーティブなことをやる人は、それはもう好奇心の塊で、探求心の赴くままに研究に没頭し、これまで成し得なかった研究や開発を完成させる。


人は誰でも幸せに生きていける。心のままに人生は存在するんだよ。


ちっぽけな満足はすぐに弾ける。事業は大きくしなければいかん。より多くの人たちの幸せのために、人一倍努力しなさい。さらに高みを目指せば信用も自然と蓄積される。


従業員に話すことは、世のため、人のために仕事に打ち込もうということだけ。純粋に物事に取り組んでいると、想像もできないようなことが起こる。


会社を成功させるための3条件

  1. 会社を経営する目的を明確にすること。私は、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という誰もが共感する経営哲学を掲げ、それを全従業員に伝え、共有化しています。
  2. 目標を数字で具体的に提示し、全員で共有し達成する仕組みを整えること。
  3. 従業員の求心力を高めること。そのためには社員とよく会話して、思いを伝え合うこと。

昨今では、企業の不祥事で企業の内部管理制度が非常に厳しく問われています。しかし管理制度を強化するだけでは、不祥事はなくなりません。その根幹に正義感がなければ意味がないのです。すべての社員が正しい経営哲学を共有しなければ、不祥事はこれからも続くでしょう。


私自身は、全くの新しい事業を成功させるのは容易ではないと考えていたので、自らの事業の延長上にある領域を拡大していくやり方を選びました。ここで決めたルールは2つです。「自分が得意な事業分野に絶え間なく進出する」「得意ではない全くの異分野には何があっても手を出さない」です。


私はさほど悩みません。損得ではなく、「人間として何が正しいのか」、その一点で考える。自社にとって不利でも、正しいと思うことを選択するのであまり迷いません。


楽観的に構想し、悲観的に計画せよ。計画するときには慎重に進めなければなりませんが、考えるときには楽観的に発想する。楽観的でないと、せばまったことしか思いつかない。


私も中学生のとき、初めて挫折感や屈辱感を経験しましたが、でも、それがバネになり、私を励まし、背中を後押しし、勉強へと向かわせた。だから、その後の私がある。


上司として「こうすべきである」という信念や、「部下に成長してほしい」という思いがあるから、叱ることができる。信念と愛情を持って、一生懸命指導し、説得すれば、必ず通じる。


最近は、上司が部下を叱るのを避ける風潮があるようです。しかし、叱ることができないのは、信念も思いも希薄な証拠です。リーダーが叱らざるをえないときに叱らないと、組織は弱体化します。


機械の泣いている声が聞こえるか? 設備を擬人化し、その声が聞こえるほど対象と一体化し、仕事に打ち込まなければ、手の切れるような高品質の製品はできない。


錐(きり)は力を先端の一点に凝集させることで効率よく目的を達成する道具です。その力の源は集中力です。錐のようにすべての意識や神経を一つの目的に集中すれば、誰もが必ずことをなしうるはず。


世の中で自分の好きなことを仕事にすることができる人は少ない。だからこそ、自分から仕事を好きになる。好きになれば、自ずと集中できるので、上達も早く、やりがいが生まれる。


今の仕事が「嫌だ嫌だ」と思っていたら、それが原因となり、結果としてモチベーションなど上がるわけがありません。成績も悪くなり、いい評価などもらえないでしょう。人生は強く思ったことが現象となって表れる。だから、今の仕事を好きになることが大切。


モチベーションが上がる仕事に就けたら、人間は幸せですが、大半の人はそうではありません。結局はモチベーションが高まるよう、自分で努力をしなければならない。


迷いが生ずる状況では、まず人間として何が正しいかという基準で臨む。とにかく不屈、不撓の精神で行く。日本経済が低迷しているから、計画を立てられないと言いわけをせずに目標をやり遂げていく。思うことが大事で、そこが出発点。


会社経営の目標はあくまでも従業員の物心両面の幸福を追求していくことにある。そうすれば社内に向上心が生まれ、顧客のためになる商品・サービス開発につながり、利益を生み、株主へ配当することもできる。


大企業での経験をバックに「俺が助けてやろう」なんていう傲慢さは、まったく見せなかったつもりです。航空業界の知識は皆無だったわけですから、謙虚に振る舞うことを心掛けました。とっくにリタイアしてもおかしくない老人が、ちっとも威張らないで、無給で頑張っている。だから皆さん、味方として受け入れてくれました。


経営で一番大事なのは、幹部がどういう哲学、判断基準を持っているか。その基準が正しければうまくいきますし、間違えば会社は傾きます。


日本はあまりにも平穏で豊かになりました。親御さんも優しいので、子どもは働かなくても生きられます。でも本当は逆境に陥れて、そこから自力ではい上がらせる、そういう状況にしなきゃいけない。皆を奮い立たせるには、逆境に追い込まないといけないと思います。


長年の行いの結果、尊敬を受けるようになる人は本当に少ない。それはその間に、経営者の心が変わってしまうからでしょう。


私は、「自分だけがよければいいという判断基準で経営をするな」と常々言っている。再建で資金がいっぱいできたから、今こそ相手を潰そうなんて、そんなケチな人間ではありません。


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