中原淳の名言 一覧

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中原淳のプロフィール

中原淳、なかはら・じゅん。日本の教育学者。北海道出身。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。文部科学省大学共同利用機関メディア教育開発センター助手、東京大学大学総合教育研究センター講師、同助教授、同准教授、東京大学大学院学際情報学府准教授。主な著書に『企業内人材育成入門』『ダイアローグ 対話する組織』『ここからはじまる人材育成』『リフレクティブマネジャー』など。専門は職場学習論、人材発達支援論。

誰もが付加価値の高い直接経験を手にできるわけではありません。獲得するためには、経験の持つ3つの特徴を押さえておく必要があるでしょう。

  1. 経験とは「資源」であるということ。それは、悲しいかな、全員に均等配分されるわけではありません。将来の見通しを持って付加価値の高い経験へと前向きに取り組み、こなせる人に対し、上司の手によって選択的に配分されるということです。
  2. 経験とは「資本」として機能するという側面があるということ。つまり、付加価値の高い経験を成し遂げた個人は、上司に「あの経験を積んでいるから、これもこなせるだろう」と判断され、さらに大きな経験を付与されます。
  3. 経験によって得られた価値を第三者に示すには、ストーリーが必要であること。どのようなことを経験し、そこから何を得たのか。定期的に内省(振り返り)し、語れるようにしておくことが求められます。

若い時期から貴重な経験を積み重ねてきた人とそうでない人では、10年も経てば大きな格差が生まれるはずです。


直接経験の中でも、ビジネスの観点から、もっとも付加価値の高いものは何でしょうか。私は、「ともに働くこと」「ぶつかりつつ、決めること」「成し遂げること」の3つが含まれる経験であると考えています。つまり、ビジネスの現場で多種多様な人々と出会うこと。彼らと議論・討論し、ときには衝突や葛藤を経験しながら、意思決定を行うこと。さらに、それらをともに乗り越え、何かを成し遂げることです。


よく指摘されるように、日本企業では「成果の報酬は、次の仕事の面白さで払われる」という特質があります。たとえば、多くの人を巻き込んで。プロジェクトをやり遂げた経験が、より大きな経験を呼び込むための資本として機能するのです。また、そうした経験を通して得た人間関係がきっかけになり、別の新しい仕事へ声がかかる、という可能性もあるでしょう。


模倣が容易な社会にあって、容易にコピー&ペーストできず、他者にも代替できない。さらに、本人が確かな能力を持っていることを第三者が想像できる。そうした経験の価値が飛躍的に高まっているように思います。


かなり前にある若いビジネスパーソンから「手っ取り早く取得できる資格を取って転機をはかりたい」と相談を受けました。しかしこれは論理矛盾です。端的に述べるならば、資格は「差別化のための記号」です。しかし、看護、医療といった高度な専門性を有する資格ならば話は別ですが、手っ取り早く取得できる資格は、ほかの誰にとっても取得が容易で、差別化の記号としては機能しない可能性があります。すなわち、この選択には、そもそも矛盾があるのです。


部下を育てるためには、部下にとって耳が痛いこともきちんと伝えて、軌道修正を繰り返すことが必要。自分だけで正しい方向に走っていける部下はいません。上司が教えることは不可欠。


僕は大学院生たちに「自分の研究の宛先は誰なのか」を明確にしなさいと言っています。そのうえで、「自分の研究を読んでもらえる人々のコミュニティーを作り、持続可能で有用な研究を生み出しなさい」と。そのためには、小まめに情報を発信し、イベントを起こすとか、いろんな工夫と努力が必要になります。僕自身も、自分の研究の読者になっていただける方のために、ほぼ毎日ブログを書いています。


研究の現場でも、僕の研究分野では参加型の研究が増えてきています。研究の受け手になってもらう実務家の方々に参加してもらいながら、知見を生み出し、使ってもらうのです。


僕の場合は、自分の周りに常に「緊張屋さん」と「安心屋さん」がいてくれるようなネットワークをデザインしています。緊張屋さんは「君、このままではヤバいよ」と脅かしてくれる人、安心屋さんは「君は今のままで大丈夫だよ」と慰めてくれる人。周囲が緊張屋さんばかりだとメンタル的につらいし、安心屋さんだけだと研究者として丸くなってしまう。両方がそろっていれば、振り返りの機会を持つことにつながります。


研究の知見に基づいて言いますと、企業に就職して3年間ぐらいは、仕事を覚える中で適職感覚を感じ、経験を積む方がいい。しかし、年齢を重ねるに従って、経験を積むだけでは不足してきます。経験を振り返って意味づけることが大切になります。どんな出来事が起きたのか。自分はなぜそう判断したのか。次に同じ場面に遭遇したらどうするか。このような振り返りで作られる、ひとつひとつの「自分軸」が、ビジネスパーソンとしての力量になってきます。


現代においては、間接経験の機会が増えていく一方で、直接経験の機会がどんどん減ってきています。つまり、インターネットなどを通じて誰でも間接的に経験でき、マニュアルに落とし込めるもの、いわばコピー.アンド・ペーストできる経験が増えている。だからコピペができない直接経験の価値が高まっているわけです。


僕が最近強く感じているのは、これまで以上に、経験が「資源」や「資本」として機能してしまう社会に移行しつつある、ということです。会社の中には様々な仕事がありますが、社員の能力を伸ばし、社員を成長させるのに役立つ経験は限られた資源であり、社員全員に均等に配分することは不可能です。


熟達の研究にも「10年ルール」というのがあって、人が何かに熟達するには、だいたい10年、1万時間ぐらいかかるとされています。ちなみにビジネスパーソンは、22歳から60歳まで働くとしたら、職場にいる時間は、残業を除くと、平均6万8400時間ぐらいです。何かに熟達するためには、少なくともその6分の1を使う必要があるわけです。


グローバル展開している企業で海外赴任したことのあるマネジャーの調査をしてわかったのですが、海外で活躍できているマネジャーがよく口にするのは「武器」という言葉です。自分が持っている強みや専門性のことを指していて、「武器」を持っていないといくらポストを与えられていても、現地社員の信頼を獲得できないと言います。


近年、ミドルマネジャーのプレーイングマネジャー化が進み、現場を持つマネジャーが増えています。そのため、マネジャーの負担が重くなっていると否定的な文脈で語られることも多いのですが、これからの時代、現場を完全に離れてしまうことはリスキーだとも思うんです。


キャリアの複線化とか、多元的な働き方というのは、名刺の肩書を増やすこととは違うんですよね。学生に話していることですが、自分のできることを表現する際は、漢字2文字で「○○屋」と言えなくてはダメ。人はその「○○」の2文字しか認知してくれませんし、リスペクトしてくれるのも、その部分でしょう。


人材育成の原理とは、「できるかどうか分からない人」に仕事を振って、適切なフィードバックを与えることです。しかし、組織がムダや失敗を恐れるあまり、「できる人」にばかり仕事を振るようになると、「できるかどうか分からない人」が経験を積めなくなります。


組織が安定・安泰であるなら、それでもいいのでしょうが、惰性を獲得し、世間感覚を失った状態というのはリスクです。だから僕は、マネジャー以上の人に対して、積極的に社外へ越境して学ぶことを勧めています。


ひとつの組織に属して、仕事に熟達してくると、その組織特有の物の見方や考え方が身についてしまい、惰性を獲得し始めます。ひどい場合には「世間感覚」を失ってしまう。組織特有の知識があるからこそ、その組織で効率的に仕事ができるのですが、その半面、失うものもある。


自分は何者か。自分には何ができるのか。その答えは、自分の過去からしか見つかりません。ですから、過去の自分をすべて捨てる必要はないと思います。


僕は学生にいつも「ピボットターン理論」と言っているんですけど、異なるコンテクスト(文脈、背景)の世界に行くときは、軸足は自分のフィールドにつけておいて、もう一方の足で踏み出す要領でやればいいんです。


仕事がしんどいことは、未来も変わりません。重要なのは、「楽しむ姿勢」を持てるかどうかです。特に、変化の激しい時代には、「物事を前向きに捉えるかどうか」という心理的な性質自体が「資本」として機能することを忘れてはなりません。前向きな姿勢こそが、明るい未来をつくるのです。


相手の良くない行動を指摘するときのポイントは「SBI」を伝えること。これは、「シチュエーション」「ビヘイビア」「インパクト」の頭文字を取ったものです。「どんな状況」のときに、「どんな振る舞い」をしたことで、周囲やその仕事に対して「どんな影響」をもたらしたのか、という3点をセットで伝えることが重要。そうして初めて、相手はあなたの言いたいことを理解してくれます。


相手の良くない行動を指摘するといっても、「最近、やる気ないんじゃないか?」「もっと熱くなれよ!」のような曖昧な言葉では効果がありません。相手は困惑するだけ。自分のどの行動がどう問題なのかが具体的に理解できず、何をどう改善すべきなのかがまったくわからないからです。「熱くなれ」と言うのなら、どういうときのどういう行動が熱くなかったのか、噛み砕いて指摘する必要があります。


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