中原淳の名言 一覧

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中原淳のプロフィール

中原淳、なかはら・じゅん。日本の教育学者。北海道出身。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。文部科学省大学共同利用機関メディア教育開発センター助手、東京大学大学総合教育研究センター講師、同助教授、同准教授、東京大学大学院学際情報学府准教授。主な著書に『企業内人材育成入門』『ダイアローグ 対話する組織』『ここからはじまる人材育成』『リフレクティブマネジャー』など。専門は職場学習論、人材発達支援論。

研究の現場でも、僕の研究分野では参加型の研究が増えてきています。研究の受け手になってもらう実務家の方々に参加してもらいながら、知見を生み出し、使ってもらうのです。


僕の場合は、自分の周りに常に「緊張屋さん」と「安心屋さん」がいてくれるようなネットワークをデザインしています。緊張屋さんは「君、このままではヤバいよ」と脅かしてくれる人、安心屋さんは「君は今のままで大丈夫だよ」と慰めてくれる人。周囲が緊張屋さんばかりだとメンタル的につらいし、安心屋さんだけだと研究者として丸くなってしまう。両方がそろっていれば、振り返りの機会を持つことにつながります。


研究の知見に基づいて言いますと、企業に就職して3年間ぐらいは、仕事を覚える中で適職感覚を感じ、経験を積む方がいい。しかし、年齢を重ねるに従って、経験を積むだけでは不足してきます。経験を振り返って意味づけることが大切になります。どんな出来事が起きたのか。自分はなぜそう判断したのか。次に同じ場面に遭遇したらどうするか。このような振り返りで作られる、ひとつひとつの「自分軸」が、ビジネスパーソンとしての力量になってきます。


現代においては、間接経験の機会が増えていく一方で、直接経験の機会がどんどん減ってきています。つまり、インターネットなどを通じて誰でも間接的に経験でき、マニュアルに落とし込めるもの、いわばコピー.アンド・ペーストできる経験が増えている。だからコピペができない直接経験の価値が高まっているわけです。


僕が最近強く感じているのは、これまで以上に、経験が「資源」や「資本」として機能してしまう社会に移行しつつある、ということです。会社の中には様々な仕事がありますが、社員の能力を伸ばし、社員を成長させるのに役立つ経験は限られた資源であり、社員全員に均等に配分することは不可能です。


熟達の研究にも「10年ルール」というのがあって、人が何かに熟達するには、だいたい10年、1万時間ぐらいかかるとされています。ちなみにビジネスパーソンは、22歳から60歳まで働くとしたら、職場にいる時間は、残業を除くと、平均6万8400時間ぐらいです。何かに熟達するためには、少なくともその6分の1を使う必要があるわけです。


グローバル展開している企業で海外赴任したことのあるマネジャーの調査をしてわかったのですが、海外で活躍できているマネジャーがよく口にするのは「武器」という言葉です。自分が持っている強みや専門性のことを指していて、「武器」を持っていないといくらポストを与えられていても、現地社員の信頼を獲得できないと言います。


近年、ミドルマネジャーのプレーイングマネジャー化が進み、現場を持つマネジャーが増えています。そのため、マネジャーの負担が重くなっていると否定的な文脈で語られることも多いのですが、これからの時代、現場を完全に離れてしまうことはリスキーだとも思うんです。


キャリアの複線化とか、多元的な働き方というのは、名刺の肩書を増やすこととは違うんですよね。学生に話していることですが、自分のできることを表現する際は、漢字2文字で「○○屋」と言えなくてはダメ。人はその「○○」の2文字しか認知してくれませんし、リスペクトしてくれるのも、その部分でしょう。


組織が安定・安泰であるなら、それでもいいのでしょうが、惰性を獲得し、世間感覚を失った状態というのはリスクです。だから僕は、マネジャー以上の人に対して、積極的に社外へ越境して学ぶことを勧めています。


ひとつの組織に属して、仕事に熟達してくると、その組織特有の物の見方や考え方が身についてしまい、惰性を獲得し始めます。ひどい場合には「世間感覚」を失ってしまう。組織特有の知識があるからこそ、その組織で効率的に仕事ができるのですが、その半面、失うものもある。


自分は何者か。自分には何ができるのか。その答えは、自分の過去からしか見つかりません。ですから、過去の自分をすべて捨てる必要はないと思います。


僕は学生にいつも「ピボットターン理論」と言っているんですけど、異なるコンテクスト(文脈、背景)の世界に行くときは、軸足は自分のフィールドにつけておいて、もう一方の足で踏み出す要領でやればいいんです。


人材育成の原理とは、「できるかどうか分からない人」に仕事を振って、適切なフィードバックを与えることです。しかし、組織がムダや失敗を恐れるあまり、「できる人」にばかり仕事を振るようになると、「できるかどうか分からない人」が経験を積めなくなります。


仕事がしんどいことは、未来も変わりません。重要なのは、「楽しむ姿勢」を持てるかどうかです。特に、変化の激しい時代には、「物事を前向きに捉えるかどうか」という心理的な性質自体が「資本」として機能することを忘れてはなりません。前向きな姿勢こそが、明るい未来をつくるのです。


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