リーダー・管理職の名言格言一覧

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人の頼みがたきを言うは、人その人を得ざりし所以にして、人その人を得れば必ずや好結果を得る。

私が役員やミドルのリーダーを選ぶときの評価基準は次の4点。

  1. 人の心がわかる人。人の気持ちがわかる人でないと、人とのつながりが広がって行きません。
  2. 自分の気持ちをきちんと整理して相手に知らしめることのできる人。いい考えを持っているんだけどうまく表現できない人がいます。そういう人は役員にはなれない。
  3. リーダーシップのとれる人。親分肌的なところがなかったらできません。
  4. 頭が非常にやわらかい人。時代の感覚を受け入れることのできる頭の持ち主。これからは、感受性がある人でないとリーダーは務まりません。

私が入社した当時、ホンダは後発メーカーだからリソース(経営資源)が少なかった。研究所の体制にしてもそうです。国外にビッグスリー、国内には大手がいる中で、ホンダは本田宗一郎の指揮のもと、本社が一丸となってドーンとパワーを出した。1971年に発表した低公害のCVCCエンジンはまさにそういう結果から生まれた。

予見性がなければリーダーにはなれませんから、最先端のアップツーデート(最新)な情報を集めて検証していくことです。そのためには頻繁に現場に行くことだと思います。米国だろうがどこであろうが、必要なときには積極的に会いに行く。私はそれを実行しています。

リーダーはバランスよく全体を見ることです。全体を大きくとらえて小さく実行することが必要ではないでしょうか。それから長期的な視点で物事を動かすには、常にトップと付き合い、ネットワークをつくっていくといった言わば情報戦略が重要になります。

決裁すべきことは無数にあります。だから明日やるなんて言って、一つのことに時間をかけてぐずぐずしてはいられないんです。調べなければわからないものは別にして、90%以上、その場でどんどん決めます。うかつな判断をしてはいけないけれど、ほとんど間違いはないですね。即決即断です。

持って生まれた優れた長所を伸ばす教育をしなければ、リーダーは育たない。闘争心、競争心を潰すような教育をしてはいけません。たとえば小学校の運動会の徒競走で全員が一直線に並んでゴールのテープを切るような勝ち負けのない競争はおかしい。

決裁のためには日ごろから頭の中にレーダーを置いておくことです。レーダーを回しておくと、海の中であれば他船や岩礁とか何か障害物を感知してピカッと光るように、いまこういう問題があるなと頭の中にぱっと浮かぶわけです。つまり常に問題意識を持つということです。これは新しいことに取り組むときの心構えにも通じます。

成功体験だけでは有頂天になり、うぬぼれてしまいますので、同時に失敗も経験させる。満足の頂点から一転、どん底まで落ちることで、さらに努力を重ねて結果を出し、以前の数倍の感動を得る。こうした経験を積むことで、個性の強い人材が育つのです。

研究者を鍛え活性化させる「場」が、わが社でいえばレースです。ホンダには「カンボコ」という言葉があります。これは「感動」と「ボコボコ」に叩かれていることを意味します。すなわちレースにおいて成功と失意を繰り返し体験することを意味しています。成功体験だけでは有頂天になり、うぬぼれてしまいますので、同時に失敗も経験させることで個性の強い人材が育つのです。

部下には動機づけが大切です。それにはぐっと胸に来るような言葉を投げかけることです。「よし、この親分のためにひとつやってやろうじゃないか」と思わせるような言葉が吐けなければいけない。

質問をするときイエス・ノーで答えられるような質問をするようじゃだめだ。「どうしてできたの」と聞いて、「こういう背景でこうなりました」と答えたとします。その時、背景を聞くだけの質問を投げかけてはいけない。「いやじつはこうなんです」「いや本当はこういうことなんです」と言わせなければいけないんです。

企画書を7回やり直しを命じられ、半分ノイローゼ状態でした。そうなると、どこにいても、何をしていても、アイデアのヒントにならないかと思うようになるんです。トイレの中でも、お風呂に入っているときでも、絶え間なく「あんなのはどうだろう。こんなのはどうだろう」と考え続けていますから、寝る間際までアイデアが湧いてくる。あるときは布団の中でハッとひらめく。枕元にメモ用紙を置いていつアイデアが出ても即座に書き留められるようにしていました。

人を鍛えるという意味では、いまも厳しいですね。人を大事にするということはつまり鍛えるということなんです。厳しく鍛えると、諦めることをしなくなります。粘り強くなります。ある大阪のデパートの外商を担当した時のことですが、目標が達成できるまで戻ってくるなと言われて、夜になっても会社のドアを開けてもらえなかったことがありました。課長がドアの横についている小窓から目だけ覗かせて、「どうやった?目標行ったか?」と聞くんです。「あきませんでした」と言うと、「あかん。もう一回行って頑張ってこい」と送り出される。結局なかなか注文は取れなかったけど、そうやって上司に鍛えられたんです。

やみくもに「やればできる」というのではなく「これはいけるぞ」という経験則に基づいたある程度の確信があるからこそ、リーダーは「やるぞ!」と言って、強いリーダーシップを発揮して部下を牽引できる。そもそも「できるわけない」ところにこそ、ビジネスや成長のチャンスがあるんですから。

部下をやる気にさせる上司というのは、部下に対して「やるぞ!」と言えること。私自身サラリーマンになりたての技術者時代にそれを強く実感しました。リーダーが大きな目標を掲げるのは会社の中でこれだけのチャンスがあるんだと、社員に教えるためなんです。

私は上司と喧嘩をしたこともありましたが、やるべきことはちゃんとやって、その上で意見を言っていました。何もやらずに文句だけを言うのは一番駄目で、どうしようもないですね。私は失敗しても怒こらないけれど、やる気がない人に対しては怒ります。やる気というのはまわりの誰かがくれるものではない。自分自身の問題なんです。

おもてなしの感性を持ったプロが上司にいました。大阪の話ですが、ある日、高麗橋の吉兆に会合の下見に行くように言われました。心の中では「前の日にも接待で行っていたので、わざわざ下見に行かなくてもわかっている」と思いながらしぶしぶ出かけて帰って報告すると、「クーラーの風はどの方向に流れていた?」と聞かれたんです。ギョッとしましたね。「最初に言ってくれればいいのに」と思いましたが、いま振り返ればそれが教育なんですね。はじめからクーラーの風の向きを見てくるようにと指示してしまうと、それしか目に入らなくなってしまうわけです。ただ行って見て来いとしか言われなければ、自分で問題意識を持ちます。それが大切なんです。

現場のリーダーとして大切なのは、嘘をつかないこと。現場に入ること。それから若いころは俺がやっているんやと言いたくなったけれど、それは人が言うてくれることであって、人から見てああよくやっているなと思われればいい。

よく「部下のモチベーションを上げれば成果があがる、それこそが管理職の仕事だ」と思っている人がいますが、これは間違いです。仕事に対するやる気が高い人もいれば低い人もいるのは当たり前。それに、いくら上司が頑張れと言ったところで、上がらないものは上がらないのです。そうではなく、モチベーションが低い部下でも結果を出せる仕組みをつくる、これこそが上司の役目なのです。

上に立つ人の仕事は、自主性の発揮しやすい環境を作ることだと思います。僕は若いころからずいぶん任せてもらいました。当時の上司は我慢してくれたんだと思います。いま任せる立場になって、そのことがよくわかります。仮に部下の仕事に首を突っ込みガミガミ言えば、部下はもう言われたとおりにやろうと思う。仕事を任せてもらえなければいいものを作ろうという気持ちにならない。

上司が部下に向かって「あれしろ、これしろ」というのはやめたほうがいい。元来人間と言うのは、人から指示されるのは嫌いなはずです。本人が自発的に取り組んで初めていい仕事ができるし、やりがいも出てくる。人から与えられた仕事をいくらやっても、達成感はなかなか得られません。やりがいのある仕事ができるかどうかはすべて本人次第。

私は失敗を気にせず好きなことをどんどんやれと言っています。本来ならば失敗はあってはいけないことです。しかし、新しい技術に挑戦していくうえで、失敗は当たり前なんです。

社員に対する評価も三年待てと言っているんです。三年待てば何とかなるものがたくさんある。種をまいてから目が出るまでに時間がかかる商材はありましたが、そのうちのいくつかは今すごい成果を上げています。

100人中80人の人が他人の擦ったマッチで燃えられる人です。マッチを持ってもいないし、誰かが燃えても自分は燃えられない人が100人中17人くらいいます。マッチを持っている人はどんどんマッチを擦り、檄を飛ばし、人を燃えさせなければならない。せっかく手中にあるマッチも、ポケットに入れたままにしておいては、湿って使い物にならなくなってしまいます。

手前味噌で恐縮だが、私は社長就任以来、組織開発、人材育成に力を入れてきました。ここで大切なのは大胆な権限移譲。以前は社長の決裁が必要だったものを各事業のトップに任せるのはもちろんのこと、現場のことはその担当者の判断に委ねるようにしました。その結果、若手社員は明らかに変わってきて、若い技術者は、かつては上司からの指示待ち組が多かったが今では自ら発想して行動するケースが増えているのです。

リーダーの条件とは厳しさの中に隠れた優しさだと思います。信頼がなくなれば、リーダーシップは瞬時に崩壊します。それはお客様との関係においても同じです。信頼とは、一度築き上げればそれで完成するものではありません。ときが経てば消耗するし、錆びてきます。常に磨きをかけ続け、機能障害を引き起こす前に新しいものにしなければいけないと思います。

現代は一人で何かをするとか、一人の個性で何かが動くという時代ではない。私の場合、みんなで同じ夢を持ってやってきた。仕事というのは仲間たちで夢を共有することでしか成功できないんじゃないでしょうか?それから、若い人にどんどん仕事をさせることが大切だと思います。

「仲よく喧嘩」をしないと妥協の産物が生まれかねない。進化もない。スピードも生まれない。「仲よく喧嘩」をするには、議論の接点を設けることです。その接点を高いレベルに設けるのか、低いレベルに設けるのか。レクサスでは「高級の本質」という高いレベルに接点を向けて、妥協せずにベストの選択をしてきました。

はじめて「緊プロ(緊急プロジェクトチーム制度)」が組織されたのは1977年です。緊プロは社長直轄下で一年から二年をめどに活動させ、集中して独自商品技術の開発を行い、終了後は解散してメンバーは元の部署に戻ります。緊プロのメンバーに任命されると役員と同じ金色の社内章を胸につけることが許されます。役員と同じ権限を与えるという意味が込められています。

いまでも下の人がガンガン意見を言って向かってきたとしても、まったく違和感がない。むしろそれが当たり前だと思っています。何か意見を言うたびに、「うるさい」と怒鳴られて発言を抑制されたら誰だって「こんな会社に何十年もいるのか」と思うでしょう。経営には社内の意見を柔軟に受け入れる姿勢が必要ですし、自分の意見を自由に言える環境というのは人を育てます。

人間を評価することはそんなに簡単なものではありません。私は「アソシエイト経営」と言っていますが、社員一人一人がアソシエイトとして「自立」と「自律」をもって、マネジメントの主役になってください。そして、社員同士が議論しあうことで、新しい価値を生み出していきましょうということです。【覚書き:アソシエイト=仲間。外資系企業では役職なしの基幹業務に従事する従業員のこと】

上に立つものは見識と判断力を養い、部下に将来への確かな筋道を見せてやる。同時に下意上達、つまり部下の意見をくみ上げる気配りを欠かさないことだ。そうすれば信望は自然と集まる。【覚書き:上記はトップが部下に影響力を持つにはどうすればいいかについて聞かれた時の答え】

業務上の組織は必要だが、それに属していても、人間としては上も下もないはずだ。したがってなるべく権限を部下に移譲し、若い社員にも大事な仕事を任せる。【覚書き:積水ハウスの成長の秘訣を問われての発言】

鼓腹撃壌の歌。十八史略にある逸話で、民衆が自由に行動すれば社会も実にうまく回る様を描いている。企業の理想もこうだ。若い人たちが勝手気ままに大きな仕事を成し遂げていくのが理想だ。

人は「天下一品の使命」といって、その人でなければ持ち合わせていない特性、あるいは才能がある。これを自由に発揮させる場を作ることが、経営者にとって最も必要なことだと思う。【覚書き:日立製作所を発展させた中興の祖と言われる氏の人材登用、社員教育の哲学を語ったもの】

創業期には事業アイデアや営業力など、プレイングマネジャーみたいなところが必要なので、そういう資質のある人は、そのステージの会社に望ましいと言えるでしょう。また、ある程度会社も事業も形ができてきて、社員数も増えてくると、今度はその人間たちを組織としてマネージメントして動かしていくという、また別の資質も必要になってくると思います。

社員に社長の気持ちになれといっても、なかなかこれが通じない。ところが、一方で自分が報酬を払う立場になると、その気持ちがよくわかるわけですね。そういう意味で、フォーシーズに対するロイヤリティー意識も高まりました。教育の意味でもうまく行きました。【覚書|ピザーラにはピザーラ・サクセス・システム(PSS)という「社員が会社に勤めながら自分のフランチャイズ店を持つことができる制度」がある。上記はPSSがスタッフに及ぼした影響についての発言】

リーダーはまず、どういう言葉を選ぶのかということです。ネガティブな言葉を使うことによって、社員がやる気を失ってしまうことがあると思うんです。でも一方で、言葉は人をやる気にさせることもできるんです。その言葉から、みんなが5年後、10年後のビジョンを描いて、やる気を起こしてくれたら、みんなでそこへ行くことができると思うんです。

人材教育をしっかりとしておくということは、指揮命令系統を明確にしておくことが大切だと言われますが、それは間違いです。そんなことをすれば、その指揮命令系統が形骸化して役に立たなくなってしまう。重要なのは、優秀で賢くて誠実な人材を集めて、彼らを良い状態に保つように常に教育しておくことです。

僕は創業以来、あんぱんまん通信という名称で、社員にメッセージを書いています。自分の思いや考えをあえて直筆で書いて、ファックスで全支店に送っているんです。確かにメールで配信した方が早いですし、最近ではホームページでアップするようにもなってきましたけど、文字に人は出ますから、それってすごく大事だと思うんです。

「あながのやっていることはよくないからこうしなさい」って人に言うのは、本当に面倒ですよ。根気がいります。エネルギーもいります。自分でやった方がよっぽど楽ですね。だから、ほとんどの飲食店のオーナーは料理人を使わずにアルバイトを使うんですよ。

自分が若くして事業を始めたのでよくわかるんですが。若者にはステージとチャンスを与えて徹底的に期待すると、ものすごく伸びるんです。大人が若者にやるべきことは、背伸びをさせてあげることだと思っています。

リーダーに必要なのは有言実行ということです。目標に向かって自分がどこまで行動で示していけるかだと思うんです。お客様に最高のサービスを提供することに始まり、マネジメントの中にあるさまざまなカテゴリーに至るまで、きちんと目標を定め、それに向かって自分が先頭に立って貪欲に挑み結果を出すこと。これがリーダーには一番重要なことじゃないかと思います。このことを僕は自分の体でレクチャーしているつもりです。

まず、全社員を頻繁に集めて、その場で僕が語ったり、自分の言葉を入れて制作した映像を一緒に見ることです。そのほかには、自分で撮ったメッセージビデオをインターネットの動画配信で各自流したり、メールで伝えたりしています。また、T&G本という自分たちのビジョンについて書いた小冊子を配り、それを朝礼でみんなに読んでもらったりもしています。

少数精鋭という言葉がある。この言葉には二つの意味がある。一つは「精鋭を少数使う」ということである。そしてもう一つは「少数にすれば皆が精鋭になりうる」ということである。私は後者の意味を重視したい。前者だとすでに出来上がった精鋭を自分の手元に集めるということで、虫がよすぎるというものだ。後者では今自分の手元にいる玉石混交(ぎょくせきこんこう)の人々を、玉にはますます磨きをかけ、石にはトレーニングによって玉に変えていこうということで全員の能力を底上げすることを意図している。

どんな人にも必ず一つぐらいは長所がある。上に立つものは、その長所を活用するのだ。長所をどんどん伸ばしていくと、短所はだんだん影をひそめてゆくものだ。このことを忘れてはならない。複数の人による共同作業のとき、もっとも重要なチームワークといわれるものも、各人の長所をうまく組み合わせることに他ならない。一人一人の長所が異質であればあるほど、チームワークの相乗効果は大きい。

我々は、一つの重要な分野で強みを持つ人が、その強みをもとに仕事を行えるよう、組織を作ることを学ばなければならない。仕事振りの向上は、人間の能力の飛躍的な増大ではなく、仕事の方法の改善によって図られなければならない。知識についても同じことが言える。優れた知識を大量に持つ人を大量に手に入れようとしても、そのために必要な費用が期待できる成果に比べて高すぎる。

知識労働者を直接、あるいは細かく監督することはできない。彼らには助力を与えることができるだけである。知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。自らの仕事を業績や貢献に結び付けるべく、すなわち成果を上げるべく、自らをマネジメントしなければならない。

人が人に向かってとる態度には、四つの類型がある。(1)自分にも甘いし、相手にも甘い。(2)自分には甘いが、相手には厳しい。(3)自分には厳しいが、相手には甘い。(4)自分にも厳しいし、相手にも厳しい。ある心理学者によれば、職場における上司の自己評価は3、4に集中し、部下に上司を評価させると1、2に集中する。ここで言いたいのは、人に向かって厳しさに欠けることがあるのは、自分自身に厳しくなかった証拠だ。管理者が部下をよく管理するためには、まず自らを管理することが必要なのである。

上司へのリーダーシップをうまく取れない人が、どうして部下へのリーダーシップをうまくこなすことができようか。上へのリーダーシップといえば、奇矯というかもしれぬ。しかし我が国では、あまりにも上下の差別が強すぎると思う。たしかに、年齢や勤続年数や賃金では上下の差がある。だが一人一人が担う職能は、横に並んでいると考えたい。横に並んで切磋琢磨するのである。このように考えれば、リーダーシップは上へ向かっても発揮されなければならない。

私どもの東芝では、上位者ほど早く出勤するという習慣がすでに定着している。私に言わせれば、当然のことといえる。上位者ほど忙しいはずである。その日の準備段取りは、部下が来る前に済ませておかねばならぬはずである。格別の美談でもなんでもなく、先進国のエグゼクティブやマネジャーがとっくに実行していることなのだ。そんな上司の姿を見て部下たちも変わってきた。古い言葉だが率先垂範こそ、人が人に向かう基本原理だと信ずる。

従業員はビジョンを感得することによって、自分がその集団に所属する意味を見出す。私どものある工場に勤める女性から次のような要旨の手紙をもらったことがある。「私は今まで単純な作業に従いながら、来る日も来る日も無自覚に過ごしてきました。ある日上司から、長期計画の話を聞きました。この工場を世界一のモーター工場にするので、私にも参加してくれと言われました。自分の仕事がこんなに素晴らしいものだと感じたのは初めての経験でした」

石川島播磨重工の社長のとき、こんなことがあった。ある部長がきて「部下に何回もアドバイスしても仕事が思うようにはかどらない」と、ほとほとまいっていた。そこで僕は言ったんです。それじゃ君、息子さんに下駄をそろえろと言って、三べん言ったらそろえるか?と。自分の子供が洟(はな)を垂らしていたら洟をかむまで、100ぺんでも200ぺんでも注意するだろう。ところが自分の肉親とは違うからといって、社員に三べんいってもやらんからと、放り投げるのはおかしいじゃないか。その社員が仕事をやるまで忠告しろ。

「人はその長所のみとらば可なり。短所を知るを要せず」この荻生徂徠(おぎゅう・そらい)の言葉は誠に感銘深い。完全な人は存在しない。どんな人にも長所短所が必ずある。そこに人生の妙味があるはずである。ところが、人が人を見る場合、とかく長所は見たがらず、短所を見たがる。飲み屋でのサラリーマンの会話を聞いていると、そのことがよくわかる。職場でも短所をあげつらう減点主義が横行している。こんなマイナス評価は、人の心を腐食するばかりだ。短所を知るを要せず。

私が常日頃から強引なワンマン体制で下からの声を無視してきたならば、組合を作ろうとした社員たちを説得できなかっただろう。あの時点で労働組合が発足していたならば、山種証券は違った方向に歩き出していたかもしれない。何事も平素にあり。いつも必ず誰かが自分を見ている。日常の心がけが大切なのだ。私は生涯この言葉を肝に銘じていくであろう。

人間にとって何がつらいといって、自分が何の役にも立っていないと感じるほどつらいことはない。仕事の価値は収入の多寡で決まるわけではない。その仕事を通じて社会にコミットメントして、世のため人のために役に立っているという実感が得られたときに初めて、私たちは働く喜びや生きがいを持つことができるのである。

リーダーとしての責任を果たすためには、多少の遠回りは覚悟の上で、自分の頭で考えられる部下を育てなければいけない。あいつらに任せるより自分でやったほうが早いと短気を起こすと、結局は忙しくなって自分の首を絞めることにもなる。

リーダーが考えるべきは部下に仕事を任せることだろうと私は思う。全体的な方針や仕事の大枠はリーダーが決めたとしても、具体的な仕事の進め方は部下に任せる。ここはお前に任せると言われれば、誰だって自分で考えようとするだろう。「仕事を任される」と「自分の頭で考える」は表裏一体の関係にある。マニュアル人間が自分で何も考えようとしないのは、何一つ任されていないからだ。

働いている人間は、必ず自分の仕事に対する評価を求める。自分自身でよくやったと思えたとしても、それだけで満足できる人はまずいない。いい仕事をしたという手ごたえがあるときほど、他人にもいい仕事をしたと認められたいのだ。評価の程度や内容は仕事によってさまざまだが、それが次の仕事への意欲につながると言う点ではなんら違いはない。その評価が収入の増減に結びつくとなれば、なおさら本人にとって大問題だ。

部下に仕事を任せるのは非常に勇気のいることだ。安心して任せることのできる右腕的な部下がいればいいが、現実はそう甘くない。どの部下も頼りなく見えてしまい、つい自分ですべてをやってしまいたくなる人が大半だと思う。だが、それをやっていると、いつまでたっても部下は自分で考えるようにならない。気がつくと決められたことを黙々とこなすだけの人間ばかりが現場で働いていることになってしまう。

私が「任せて任さず、和して同せず」を座右の銘にしているのは、会社というものが決して個人の力で動くものではなく、いろいろな人間がそれぞれの立場で考え、行動することによって成り立っていると信じているからです。社長一人がいくら頑張っても、人間の能力には限界がある。あれもこれもと自分で抱え込んでいたら、かえって組織が円滑に動かなくなる場合も多い。

企業という人間の集団には和が大切なことは言うまでもありません。しかし、和を尊ぶあまり、個性を摘んでしまったのでは、組織が沈滞化してきます。業務にあった個性や能力を生かしながらチームワークづくりをするのもまた、上に立つ人間の役目だと考える。

上司から部下へ、そしてそのまた下の人へと権限が移譲され、それぞれの人が自分の持ち場に適した能力を発揮することで、企業の組織力が生きてきます。トップはそのための交通整理をすればよいのです。もちろん、権限は部下に委譲しても、責任は常にトップにあります。「君に任せるけど、あとは知らんよ」では、部下が怖気づきます。反対に「後は引き受けるから、君の判断でやりたまえ」と言われれば、勇気百倍になります。またそのほうが、熱心に相談に来たり、経過報告に来る回数も多くなってきます。

能力があっても一人の人に何もかもやらせるのは無理ですから、企業活動の様々な領域で、できる人をたくさん養成する。そのためには思い切って任せることで、失敗してもやかましくしかってはいかんのであって、そこで親切に教えるのがコツです。そうしてこそ、企業の活性化が達成できると思うのです。

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